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不完全に憧れる

愛の最良の衣装 それは信頼を装うこと
ふたりの嘘が必要なんだ

菅原敏 『超訳 世界恋愛詩集』

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手ざわりが好き。
開いた時の匂いが好き。
文字と文字の隙間が好き。
行間が好き。
ページの余白が好き。

小説と比べて言葉数は少ないけれど。
読むことだけが主眼に置かれていないような、そんな印象をいつも持つ。

恋愛詩集を読むのは久しぶりだった。
相手を想う気持ちはいつだって綺麗で。
こんなにも瑞々しい言葉で描けるものだろうか、とか。
自分の恋は果たして純粋なのだろうか、とか。
いつの間に失ったんだろうか、それとも元々備わっていなかったのか。

どうなんだろうね?

瑞々しさの中には、生々しさ。

「憎くて殺したいほど好き」
「一緒に死んでひとつになりたい」
「苦しいのに相手と離れられない」
「時がどんなに経とうと忘れられない」

瑞々しいからこその、生々しさ?

純粋を突き詰めていった先は、自分の考えが遠く及ばないところ。
純粋な想いを、綺麗な言葉だけでは表すことができない。
恋焦がれる故に相手に、いや、自分にも、嘘をついて騙したり、傷付けてしまうのであれば、それは多分恋の欠点。

そんな「不完全さ」を内包している恋が、たまらなく好き。

恋に、憧れている。
不完全なものに、心を奪われている。

それは、今も昔も変わらない。

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