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年度末の一冊 #夕陽海彩の呟き

数年前から、年度末のこの時期になると自然と手が伸びる本がある。

それは、
香月日輪先生の「妖怪アパートの幽雅な日常」。

学校の図書室で偶然見つけたのがきっかけで、
瞬く間にその世界に魅せられた。

そこには、
理想だけを語らない教えが詰まっていた。

テンポの良い面白さやキャラクターの個性もすてきだったけれど、
何よりも私が惹かれたのは、
物語の至るところに散りばめられたその教示。

何度も読みたくなって、
本屋を回って全巻を買い集めた。

シリーズ全10巻、そして番外編まであるから、
なかなかゆっくり読める時は限られている。

でも、毎年この年度末になると、
どんなに時間を捻り出してでも読みたくなる。

それはきっと、
私にとってはこの物語が、心の大祓えになるからだろう。

大祓え。
敢えて少し古い表現を使った。
大掃除、というよりももっと、
1年間の色々な思いを浄化させるような
そんなイメージで。

理想だけを語らない、
人の世の現実が詰まっているから

そしてそれを嘆くことなく、
良いことも悪いことも受け止めた上で前に進む姿が描かれているから

読むとどこかすっきりと気持ちが静まる。

私にとって、大切な年度末の一冊、
いや、一シリーズ。


2023年度も、色々なことがあった。
楽しいこと、辛いこと、悔しいことも嬉しいことも。

今はほんのひとときの、
振り返りと次の年度への切り替えの期間。

1年間の全てを受け止め受け入れて、
心をまっさらにして、
新たな年度に向けてスタートできるように

練習と執筆の合間に、
私は今年も「妖怪アパート」を読んで、
心の大祓えをする。

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