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『愛の罠にはまれ!』収録レポートみたいな感想(平川大輔さん×松岡禎丞さん//斉藤壮馬さん・阿部敦さん・前野智昭さん)

どーもどーも……また気持ちの悪い感想を書くよ。ごめんね。許してください。私は声優さんのことはけっして詳しくない、言及できる資格があるかもあやしい人間なのですが、収録を前にすると、すごい!!! すごくない!?!?! ってことだけは分かるのと、感動した!!ということだけが言いたくて、そのことを書きます。

先日制作のフィフスさんのプロデューサーさんから、「レポート読みましたけど、あんなに書く作家さん珍しいです」と言っていただき(褒められてはいないんじゃ……)そ、そうなの!? とちょっと気まずかったんですけど、もうだってすごい技術の集大成みたいなの眼の前で見せられて感動せずにいられないから書いちゃうから許してみたいな感じです。今回も暑苦しく語りますね……ごめんね。☆『愛の裁きを受けろ!』レポート

あのね。損はしない。だから買ってください。前も言ったね同じこと。でもほんと役者さんが素晴らしいのでよろしくお願いいたします!!!

※画像はお借りしました。(fifth avenueさん特設ページ

『愛の罠にはまれ!』は前作『愛の裁きを受けろ!』に続く物語です。前作を聞いてない人は是非前作も聞いてください。そして原作もよかったら読んでください。どっちも私の魂がこもっているよ……。そしてCDには役者さんと制作さんの魂がこもっているので、BLが好きな人はまあ試しにでもいいので、聞いてみてください! 前回のレポートでもお話のテーマについて書いたので、今回も少し書いてみます。『愛の罠にはまれ!』のテーマは、「愛することに意味なんてあるのか」ってことです。愛することは苦しくてたまらない。愛したことでこんなにも傷ついた。もう愛したくなんてない。それでもなんでも容赦なくやってくる「愛」の機会に、再び愛するという選択は意味があるのか、ないと感じている、あるいはそれが辛くて仕方がないという人間が、やっぱり愛するという選択をするって、それはなに? どうすればもう一度その選択ができるの? という問いかけを、全力で篤郎に担ってもらいました。篤郎ごめんかった。そしてその答えが出たのは、原稿があがる二日前でした。だから本当に大変だったんですけど、そんな大変なものを背負った篤郎という主人公は、だからこそわたしにとってとてつもなく大切でした。(まあみんな大事なんだけどね)そのため、篤郎についてだけは、キャストを選ぶときに、結構いろいろな心配があったんです。

篤郎役(松岡禎丞さん)

上記したとおり、わたし、篤郎に関してだけ、制作さんへキャスト選びについて、とある注文を入れました。これまで四作のCDのキャスト選考は、もちろん希望は訊いてくださいましたが、基本的には制作さんにお任せしてました。候補をあげていただいて、その中から私がこのかたがいいなということはあっても、まあでも、本当にそちらが推してくださるかたがいるならそのかたでいってください、という感じでした。というのも、私は声優さんのことは並程度の知識しかないのもあるし(アニメは好きですが、すべてを見ているわけではないから知らない演技もあるだろうし)、なんといっても難しい題材なので、演技力がある方じゃないと務まらないだろうけど、実際の収録現場を見ていない以上どのかたが上手とかそんなことは知らないので、プロのかたに任せたほうがいいという考えでした。でも篤郎に関してだけ一点お願いしたのが、「演技力はもちろんほしいけれど、人格的な部分も含めて、篤郎の悲しみや苦しみが分かる、感情の豊かな人にお願いしたい」というのがありました。篤郎は一度とことんまでおちて、大事な人を傷つけて、それに苦しんで、死にたいとまで思って生きている子です。美しくてきれいなのに、足りない部分が多くて、もがいているけれど、人に頼ろうとはしない。そんな痛々しさというのは、技術ではない、もっとその人の人柄的に、その痛みが分かる、という人でないと難しいという思いがありました。そこで真っ先にあがってきたかたが、松岡禎丞さんでした。実は、読者さんからも、随分前にいつか愛の罠がCD化するなら松岡禎丞さんに、という声をいただいていたので、あれ、と思いました。制作のかたからいただいたメッセージも、とても熱く、絶対にこの方がいい、という情熱に溢れていて、そこまでおっしゃるならもう、是非に、とお願いさせていただきました。ただ私としては、演技を拝聴させていただくまで本当にぴったりくるんだろうか、とドキドキしていました。初めて松岡さんの篤郎を拝聴したのは、愛の裁きの現場です。このとき印象的だったことは、裁きの段階ってまだ、全然愛の罠の篤郎じゃないんです。全然ただのクズ(おっと)なんです。なんですが、松岡さんの演技はこの時点で既に、根っこのところに、愛情深く苦しんでいる篤郎のいる感じがあって、でもそれがものすごく微妙なニュアンスで、それが分かるってほど分かるわけでもないんだけど、なんか分かるんですよ。それでわたしは「おおおお」というよりも「あ、あれ? んん?」と不思議な感覚に陥ったことを覚えています。合わないとかじゃなくて、想像と違っていた、のだけど、あれこれ篤郎だわ……という感じでした。そしてすごく上手いのに、どう上手いかが分からない。どう言えばいいか分からない感覚でした。ただ一つ言えるのは、これは技巧ではないという感覚。いやしかし、技巧がなければできない。どういうことだ!? とやや戸惑っていましたが、インタビュー中もそっと輪の中にいらっしゃり、けれど篤郎に対するコメントに静かな愛情が滲んでいて、ここでもまた、裁きモードでいたわたしは、あ、あれ? 既に愛の罠モードが入っている? と戸惑った覚えがあります。帰宅しながらの編集さんとの会話も、「松岡さんめちゃくちゃ上手かったですね」「ですね」「でもどう上手いかが言えない」って感じでした。ただ技巧じゃないぞ。なんだろう……と思いつつ、やがて愛の罠の収録となりました。でね、その収録中もさ、この不思議な感覚がずっとつきまといました。それで思ったのですが、松岡さんの演技は、言葉じゃないんだと思ったんです。言葉って論理的で理屈っぽいものです。今まで私が拝聴してきた役者さんのほとんどは、ある程度役を頭の中で組み立てて演技をされている、ようはロジックな部分がかなりあったと思います。(これは悪いことではまったくなくて、ものすごく重要な要素です)でも松岡さんは、もしかしたらロジカルな部分もあるんだろうけど、少なくとも演技されている間、完全にその役というかその人として立ってる。剥き出しの心そのものでマイクに向かってる印象があって、それがもう……なんていうか、言葉では形容できない。痛々しいシーンや、弱さをさらけ出すシーン。普通の人なら、心そのものを剥き出しにしてマイクに向かうなんて、怖くてできない。でもされている。最初からトップギアなんですよ、感動しましたし泣かされるしでもそんなこっちは理屈なんかこねらんないんです。剥き出しの心を前に屁理屈こねるなんてできないよぉママ~~!! 泣いちゃう。泣いちゃうしかない……みたいな。感受性全開で演技されているから、ものすごく繊細なところに声が入っていく。そんな印象でした。で、声がさ……かわいいんだよね。いやちゃんと男の人の声なんです。結構張りもあるし。なんだけどちょっと弱ったときとか、かすれて少し鼻にかかってるとこが、か、かわ……かわいいんだけどぉ……!?(出ましたミーハー)この甘ったるさ絶妙なんですけど……視聴だと泣いているところが多いのでみなさん是非きいてほしいのはローテンションや呆れてるときのあっちゃんの声です。かわいい……かわいいよぉ……。もう篤郎と松岡さんがリンクしすぎてまんま松岡さんて篤郎なんじゃない?って思ってしまって、ナチュラルに蜂須賀篤郎を、松岡篤郎って打ってしまうくらいでした。あと松岡さんの演技は、音源のなかできいたときには収録の何倍も艶があるというか、裁きでCDになったときの篤郎をきいて、「ファアア!? こんなにすごかった!?」て思ったので、今からわたしも完成品をきくのがとても楽しみです。あれ以上になってる篤郎って……わたし死期が近い? もう二時間くらい聞いていたかった……篤郎とお話するシチュエーションCDほしいです、フィフスさん宜しくお願いします。(無理だよ)たぶんフィフスさんのトークCDでお話されてそうなんですが(初回版CDかな?どちらかのトークです)松岡さんて篤郎じゃん!! 篤郎じゃん!! て思う可愛いエピソードがあるのでそっちも聴いてくださいね……(お前は一体松岡さんと篤郎のなんなんだ)お人柄で選んでほしいと言ったのは私だけど、篤郎のこと、こんなにこんなに、心で分かってくださっているなんて……ってすごく感動しました。ほんとに可愛かったよ……兜にやるの勿体ないと思ってしまった……でも兜も平川さんだからかっこいいんですけど……。なんていうか、理論じゃなく愛でキャラを分かってくださっている感じがして、こちらがもう、愛しさを感じさせられてしまう……そんな役者さんでした。

兜役(平川大輔さん)

すごい篤郎のところで長文になってしまい私が戸惑っているのですけど、平川さんの演技がすごいのはもう知ってたはずなんですが、ああああ、マジで? どこから声をお出しになられている? どうやってその演技されているの? 人知を超える……っていう演技をされてました。いやほんとだよ、声優さんて……声優さんてすごいんだね。(今さら)兜は一作目、三作目と出演があり、平川さんとも裁きのときにお久しぶりですなかんじだったのですが、裁きのときまでは、頼れるお兄さん的役回りでした。ところがこの四作目の兜は違います。ネタバレ嫌なひとはここでとめといてね。視聴にも一切その部分があがっていなかったので。いいですか? もういい? ネタバレしていい? ダメな人は回避した? いくよ……。======================================================兜はサイコパスです。(言い切ったな)あ、いやべつにサイコパスじゃないんだけど、サイコパスみがあるのです。人の気持ちが分かんないんです。分かってるけど頭で分かってるだけで、優しいけどものすごくドライでもあり、ものすごく簡単に言えばクズです。でもクズだけどクズなりに愛もあるし優しさもあるしスパダリでもあるんです。そんな役どうやってやるんだろ、と思ってました。しかも最初はほんとに優しい包容力高めの優しい感じで始まって、途中でクズになるんですよ。でね、しかもね、そのクズになったときも明るいサイコパスって感じで、べつにがらっとトーンが変わるとかじゃなくて、あくまで明るく話が通じない感じになるんです。バベルだよバベル。これ相当難しいので、わたしはどう演技なさるのか、もうまっっったく想像できなかった。だけどディスク1のラストを演じられている平川さんの演技に、正直震え上がりましたね。制作ルームの全員が凍り付いてました。あまりにも怖い。でもすっごい魅力的。怖いけど引き込まれる。もっとこの人のことを知りたいし聴きたいし、どいう人なのって思ってしまう。優しい平川さん最高に癒されるけど、おいおい、怖い平川さん最高に沼みあるじゃんてなりました。でも凍てつきました。そのシーンのあと全員が「こわ……」「こわい……」「こわかった……」って制作側言ってました。すっごいど迫力です。で、そのあと、ちょっとソフトだけど全然怖いままの兜になるわけですが、そのさじ加減がね……もうね、これがプロだわ。これ、なんの技術!? どの技術使ってるの!? どの技術があるかも知らないけど、どうやったらこんな演技できるの!? どこをどうしてこうなってるか全然分からないんですけど!!!! っていう演技です。だってね、あくまで優しいんだけど、怖いんですよ。その感情の、というよりも、話が通じない感じ、最初は平川さんがご自身が優しい方だからかわりともっとソフトに演じられたのですが、「もっと全然冷たいです。なぜなら兜の心の状態は●●だから」とこちらでお伝えしたら、今思い出しても鳥肌たつのですが、完全にその状態で演じてくださいました。……ひえーどうやってるの!? 上手すぎる……。どこかにチャンネルがあって回すとその声が出るようになっているのかと思うくらい見事でした。だってそれはものすごい細かいニュアンスなんですよ。またそこに感受性でぶつかってくる松岡さんがいて、互いに全然違う感じが素晴らしかった。正直、平川さんの兜の演技がすごすぎて怖すぎたのでこれは音楽で和らげないといけないと思うほどすごかったです。でも怖いけどめっちゃ魅力的で、一度はこういうのに捕まってみたいと思う感じでぞくぞくしっぱなしでした。それで特典の視聴きいたでしょ? (決めつける女が出ましたよ)特典の兜、どうですか。やさ、やさ、優しい……。なんだよもお、きゅんきゅんしちゃうじゃん……。この落差。平川さんの声の攻め声最高じゃないですか。優しさと執着とサイコパスのすべてが演じられる……。囁くときの声が優しくてきゅうんときます……。で、すっごいな、ただものじゃない、さすがすぎる……と思ったのが、インタビューで、今まで兜を演じてきたとき、いつも違和感があった、と平川さんが答えられたことです。でもその違和感がなにか、今回でやっと分かったと。す、すごくないですか? これまでの一作目三作目は、いわば兜の表面しかない。この四作目で兜の奥底まで踏み込んでいる。でもね、べつに表面しか描かれてない場合って表面だけ感じていればいいことじゃないですか。しかも一作目なんて三年も前ですよ。なのに、そのときの違和感をずっと覚えていらした……なんてすごい役者さんなんだ。感銘を受けました。人間というものの奥深さをまた一つ見せつけられた思いでした。人への理解度がとても深いおかたなのだなと。そしてでも、平川さん自身はとても苦しそうに兜を演じてらしたので(勝手な感想ですが)きっとサイコパスになってるところ、しんどかったのでは……と想像しました。でもすごい、多面的に深く人間を捉えられるかたなので、よけいに兜の能面みたいな心が分かってしまってしんどいのかなと。これは勝手な感想ですが。そう思いました。あと印象的だったのが、サイン色紙を松岡さんが書かれているときに、たくさん膝の上に置いて大変そうだからと気を利かせて持ってさしあげてて…… 優しい方だなあ……と思ったのと、今回も歌ったり(!)してくれてなんていう……ありがとうございます。平川さん以上の兜なんていないと思います。ほんとに。

郁役(斉藤壮馬さん)

前回、愛の裁きを受けろ!で主演を務めてくださった斉藤壮馬さん。今回もまた参加してくださいました。……相変わらずなんて美しいウィスパーボイスなんだ……すぐに俗なことを言うの許してくださいでもファンのかたはもう知ってますよね、ほんとに美しい声だよ天上の声か……? 郁は篤郎の精神のもっとも奥深いところにいます。心の重要な部分を担っている役です。このCDでは数年を経てようやく二人分かり合えるシーンがありますが、前回の収録からかなり空いていたにも関わらず、斉藤さんは以前の郁のことをしっかり踏まえて演じてくださったし、前回の収録についても覚えていてくださり、真面目なお人柄をかんじました。そしてインタビューでも仰ってましたが、兄弟で泣き方が似ていてびっくりした、……ということを仰っているのが、根っからの役者さんだなあ! と感動しました。相手の声をすごくよく聞かなければ分からない点であるし、そこに着目するのは、やっぱり郁としての篤郎への愛情へ深い理解があるからだとしか思えません。自分の声にあわせてくれたというわけではなく自然と似通ったという点が嬉しいという感じでお話しされていて、そこに、一つの物語を丁寧に、また役者みんなで作りたいという思いを感じ取りました。なんていうか、お芝居がほんとにお好きなんだなと感じて、尊敬するやら嬉しいやら……。こちらもつくづく勉強させていただきました! また斉藤さんの郁を聞きたいですね。いつまでも聞いていたい、優しく洗練された演技です。

真耶役(阿部敦さん)

どんなに阿部さんの真耶にお会いしたかったか分かりますでしょうか……。前回の収録がやく三年前。そのとき、最初色っぽい感じで演じてくださった阿部さんに、音響さんからただ一言、「この人は内側に熱いものを持ってる人です」と飛んだだけで、ぴたっと真耶先輩に合わせてきてくれた阿部さん。そのときの感動は言葉では言い表せません。完全に私ごとですけど、ロイヤルキャラ大好きな友人が、「世界で一番阿部敦さんの声が好き……」と言っていて、それを聞いたとき妙に納得しました。この声の美しさ、そして表現の幅広さ、上品さ、聡明さ。分かります。わたしもすごくすごく、阿部さんの真耶の演技をもう一度聞きたいと楽しみにしていました。三年ぶりの阿部さんの真耶は、もう音響さんからの指示も必要ではなく、しょっぱなから真耶でした。凜としていて優しいのに、内側に秘めた熱さのある声。あとねー、真耶が入ったとたんに、流れが一気に楽しくなる。なのにそれまでのシリアスな演技をけっして壊さない。そこがすごいところです。阿部さんはちゃんと前回の収録についても覚えていてくださって、ありがたいなあと思いました。飄々としてみえて、誠実さを感じるお人柄です。どんなにコメディちっくになっても、メインのお芝居を邪魔せず引き立ててくれるのは、バランス感覚の抜群のよさなんだと思います。そして以前の出演作から阿部さんは数年が流れているということで、真耶がどんな人生を積み重ねてきたかも考えてくださってました。真摯だなあ。ありがたい。断然、真耶のお話を書きたくなりました。もし機会があればいっぱい真耶の演技を聞きたい! それにしても兜に対してと、篤郎にたいしての態度の差が面白いから是非きいてほしいです。まさに真耶……。

澄也役(前野智昭さん)

前野さんは一作目のメインとして出てくださってますが、今回に関しては完全に、「医者」役なんです。信頼でき、頼もしい医者です。なので澄也なんだけど、篤郎から見た澄也なのでめちゃ頼りがいがありつつ、兜とのかけあいでは複雑な感情を滲ませるという難しい役をやってくださいました。個人的には、久しぶりに前野さんのフェロモンヴォイスが聞けて(そういうことを言うのはやめろよな……!)嬉しかったです。でもね、一作めのときに、テストで、音響さんが「フェロモン系です」と伝えたとたん、一気に澄也になってくれたこと、忘れられません。えっまじで。その一言でここまで合わせてこられるの!?と驚きました。澄也は篤郎に対して、すごく優しく、冷静に接してくださってる感じがとても出ていました。あと終わったあとに、少しだけ前作のことでお話をしましたが、(何年前だったかとか、そういうことです)もうてっきりお忘れかと思っていたら、ちゃんと覚えてくださっていて、感動しました。役者さんは何本も何本も作品に携わっていますから、忘れていて当然だと思いますが……やっぱり、一作一作手を抜かれていないんだなと思いました。また澄也が活躍する話をCDで聞きたいな……と、欲張ってしまいそうでした。もちろん翼も一緒に。


そんなこんなでメインの方々について書きましたが、前回のレポートで書いたとおり、やっぱり脇役のかたがいかに大事かという話もあるんです。

印象的だったのは、鎌谷役の柳田淳一さんです。ゲスな小物役でしたが、セリフにアドリブを入れてくださってて……笑いました。すごいなー。もうそれがしっくり! という感じで、遊び心があって、制作ルームも笑いに包まれてましたよ。いいなああの鎌谷。あんなふうに書けばよかったです。

ただそういう、脇役で、アドリブをいれてキャラをたたせてくる、というのは実はものすごく難しいことではないかと勝手に推測しています。脇っていうのはあくまでメインの芝居の下支えであって、あまりに目立ちすぎるとかえってストーリーの邪魔になってしまう。しかしただのモブになりすぎるよりは、少し癖があったほうがリアリティが増すとか、メインの人の芝居によっては、このくらいは癖を出したほうがいい、とか、そういうさじ加減があるところだと思うんです。その点、柳田さんのアドリブはぎりぎりのバランスでよいところへおさまっている感じがあって、すごくよかったです。

そんな話と関連して、篤郎の幼少期を演じてくださった藤原由林さん。かわいい。かわいい!!! 回想シーンで、元気いっぱい郁へ声をかけるシーン。かわいいし、少年ぽいし、なのに……心の中に秘めた弱さや切なさが垣間見えます。同時に、懸命に愛を捧げている真っ直ぐさも。もちろんそれらは抑え気味でけっしてつよく表現されていません。ご本人が意識されているかどうかも分からないくらいです。それでもたぶん、物語の本質、篤郎の本質を分かったうえで演じてらっしゃるからあの声が出るとわたしは思って、感動しました。いつでも、あの篤郎の子どもの声が耳の中に自動再生できます。これが篤郎の内側にあるのだと思うことで、篤郎というキャラの深みがいっそうまします。

裁きから続いて、郁幼少期を演じてくださった中田沙奈枝さんも、弾んでいるけど弱弱しい、弱弱しいけど弾んでいる、そして篤郎の回想の中の郁であるという部分を、大事に演じてくださいました。かわいいからね~……聞いてね。

相変わらずのあらゆる役をこなしてくださった吉田麻実さん。リアリティのある大人の女性を次々こなしてくださって、あー耳に気持ちいい声と演技だ……といつも思うのですが、今回なんと……!!!!!なんと!!!!!!!!!赤ちゃんを……演じて……くださってます……す、すごい……。是非聞いてください。

あとBLなのに快く出演してくださる女性キャストのみなさんには頭が下がります。もちろん男性にも……。

脇役って、メインの下支えといいましたが、足し算じゃなくて引き算の演技なのではないかって思ってるんです。メインの方々の演技から感じるのは、眼に見えない、台本にない、その人の人となりや奥深いところを、直接セリフにしなくても声に載せて足していくという、かなり高度な技術です。(憶測)それは技術でもあるけど、心の持ちようでもあるんだろうという、勝手な憶測を持っていて、どのバランスでマイクの前に立っているのかは人それぞれだと思います。(これも憶測)ただ分かるのは、声や演技の奥行きから、見えない人生を演じているというすごさ。以前も書きましたが、一人の人間が、創作の向こう側にいる、もしかしたらまるきり理解できないかもしれない価値観を持った人間を、理解しようとする姿勢の真摯さと、人間の優しさを、役者さんから感じてます。(勝手な想像ですよ!)

そして脇役の方々は、もしかするとそうやって、同じようにご自分の役を掘り下げているかもしれないのに、あえて、強調すべき面だけを選択して、そこを演じきるというストイックさを持っているなと……。これは誰でもできることではないと思っています。わたしは映画などでも名脇役みたいなかたが好きで、それはとある一面だけを選んできりとったときに浮かび上がってくるリアリティを愛しているからなんですが、そのリアリティの積み重ねが、メインの多面的な演技を支えているなと、深く感じ入るからなのです。だから、脇役を演じてくださるみなさんにも、心から感謝していますし、尊敬してしまうんっです。

長々書いたけど、言いたいことは聞いてほしい、買ってほしいということです。笑 ドラマCDって、収録にものすごい時間を使うし、すごく役者さんも集中して、その時間フル稼働で、真剣にやってくださいます。わたしはなんにも、きっともともと役者さんのファンの方に比べたら、いろいろなことを見落としているんだろうと思うのですが、収録現場にいて、演者さんたちが、そして制作さんたちが、その数時間を情熱をもって関わってくださっていることを知っていて、それにすごく感動しています。

だってこれが駄作でもあんまり、みなさんには関係ないと思うのですが、いいものにするぞという思いを感じる。そこにあるのってなんだろう? と思うと、表現するっていうことに対する、ものすごく純粋な敬意だと思っていて、これにどうわたしは報いたらいい? と思うと、買ってほしい!! 聞いてほしい!! だってそうしたら嬉しい人は増えるから!! と主張するくらいしかないなって思います。

資本主義のこの世の中。売れないっていうのは特に良い結果はうまないけど、売れるっていうことは少なくとも携わった人を幸せにしてくれます。わたしはこれを作り、演じてくださった役者さん、制作さん、そして楽しみにして支えてくださった読者さんに恩返ししたくて、そのためには聞いてくださるかたが多い方がいいって思ってます。伝わって、喜んでもらえるって、表現を大事に生きている人間にとってこれ以上のことはないと思うし、だからこんな、こんな……なんの足しになるか分からなくても……気持ち悪い感想を書いてしまうのですけど。でもまあお高いのでね……余裕があったら、よろしくです。ぺこぺこ。

買ってやるぞってかたは、ぜひ聴いてね!!! そのときはくれぐれも買って聴いてほしいです。笑 違法アップロードは役者さんのためにもならないので……。ちょっとお高いけど、初回版には限定のミニドラマがついてくるし、ちょ~~~~~かわいいです。かわいいから損しないよ~~。

特典については、

フィフスアベニュー通信販売特典>メインキャストによるトークCD (松岡禎丞、平川大輔)

中央書店コミコミスタジオ特典>樋口美沙緒先生書き下ろし小冊子

※初回限定版に付属のミニドラマの内容を小説にてお楽しみいただけます。

アニメイト限定盤>ジャケットイラストシール封入

ホーリンラブブックス特典>・イラストカード

だそうです。よろしくね~~~。あわよくば本能と在り処のリクエストも送ってやってね……(図々しい)

そして愛の裁きを受けろ!は再プレスされたそうで、それでも初回版はもう少ないそうなので、ぜひお早めにどうぞです!

夜のテンションで書いたからまた直すかもしれない……ごめんね……



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