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『愛の裁きを受けろ!』収録レポートみたいな感想(興津和幸さん×斉藤壮馬さん//平川大輔さん・松岡禎丞さん)

どうもどうも……気持ち悪い感想を書いていいですか…… 11/18発売の、『愛の裁きを受けろ!』ドラマCDのアフレコの感想を書こう書こうと思って月日が流れ、もっともっと言いたいことがあったのに今印象的なことだけを書くしかなくなっててめっちゃ悔しい気持ちなんですが、一言言わせてほしいのです。

みんな、損はしない。だから買って聴いてください。まじで素晴らしい演技ですぞ。ほんとに! 私の原作うんぬんじゃなく、役者さんに泣かされます!

※画像はお借りしました。(fifth avenueさん特設ページ

『愛の裁きを受けろ!』は『愛の罠にはまれ!』に続く前の物語なんですが、シリーズとしては3作目になります。前の2作品のCDもぜひ聴いてほしいのですが、単品でも聴けます。ぶっちゃけて言うと、このお話は、生きることとか死ぬこととか、生き死にそのものをテーマに書きました。斉藤壮馬さんが演じてくださった、受けの郁は、明日にも死んじゃうかもしれない、喋れないし体も弱いという状態の子で、(カイコガだからなんだけどそのへんは原作を読んでください、説明するより読んでいただきたいのでありますよ!)まず、もう、喋れない子を、どうやってドラマCDで演じるのよ!?っていう難しさがありました。そしてもちろん、その点もそうだけど、それ以上に、「生きること・死ぬこと」をテーマに背負った子を、どう表現して、作品の本質を演じきるかというところまで、役者さんが下りてきてくださるだろうか……という不安が、原作者としてはありました。下りてきてくださるか、というと、ちょっと上から目線に感じるかもしれないのですが、私は作品を作る時、一年以上、『愛の裁きを受けろ!』に関しては、およそ三年かけてそのテーマを練って、作品の本質的なところに下りていっているので、作家の感覚からすると、そんな短期間に本質が掴めるんだろうかっていう不安はあるものなんです。(もちろん、掴むかたは一瞬で掴むことは分かっているのですが、それでも、やっぱり自分がそこまで理解するのに時間がかかっているので、人もそうじゃないかって思い込みがあるんですね)

でもね~ もう、役者さんって、すごいんですね。

すごいんです。本当に、こうも正確に掴むかというくらい、ぴたりと合わせてくれるんです。驚いちゃいます。そんなわけで、もう結構収録から経ってしまったので、印象的なことだけなんですが(悔しい~もっといっぱいあったのですよほんと)、各キャラの感想、書かせてくださいね。本当に感動しました。

郁役(斉藤壮馬さん)

魅惑のウィスパーボイスでした。いきなり俗なこと言ってしまう自分に許してって感じですが、ファンの方はもう知ってますよね、ほんとにきれいなお声でお話なさるので、質問とかしてくださると一瞬ときを忘れました。ここはどこだね天国かね……。そして、ものすごく演技が上手い。上手い……という言葉で言うと失礼かもしれない。斉藤さんは、原作を読みこみ、シナリオを読み込み、そして、ご自分でも調べ物などなさってくださり、本当に丁寧に丁寧に役を作ってきてくださってました。私の書くものというのは、勢いではちょっと分かりにくいというか、私自身が何度も何度も書き直して書いている面があるので、繰り返すという作業にすごく意味があって、斉藤さんもその作業を経て積み重ねて役を作ってきてくださってる感じがとてもありました。演技そのものも、ささやかな積み重ねをとても大事に扱ってくださっているなあという印象で、感動しました。このときの郁とあのときの郁では、実は若干の心の違いがある、という場面でも、すぐさま、その感情にあわせた声を出してくださる。わずかなニュアンスの違いを見逃さず、作品全体のテーマを理解して演じてくださっているのが本当に伝わってきました。真面目で深慮するお人柄がよく分かり、本当にお願いできて、感謝だったなあと思いました。あともう、また俗なこと言うんだけど、死ぬほどかわいいんです、郁が。か、かわ……かわ……かわ~~~……って思ってるうちに気付くと泣かされている……えーん郁ちゃーんかわいそおお……ってなります。斉藤さんは郁が泣いているところで本当に泣いてくださってる感じで演技してくださってました。役者さんとして、常にご自分や周囲を客観されながらも、主観としての郁を据えてマイクの前に立ってくださってるんだなというのが、分かって、すごいかたなんだなあと思いました。陶也じゃなくても好きになるよね! あれはかわいい! しかも喋れないんだよ! 喋れない子をどうやって演じるかっていうのは、いろいろ脚本上でも効果でも工夫していただいたところではありますが、それをさらっとやってのけて(いるように見える)のが、またすごいなと……。で、そうした目立つ外面上のこと以上に、作品の本質的な部分に着目して、取材などでも話してくださっているのが、印象的でした。これはもう完全に、個人としての印象ですが、小説を読むという作業に慣れたかたなのだと思いました。なんていうか、作品の表現するところを、すごく大事に扱うというか、ここなんだなと理解する、柔軟で素直で、かつ真摯なお人柄、という点で、です。本当に深慮という言葉がぴったりの、よく物事を考え、見てらっしゃるかたならではの演技で、技巧でありながら、感情でもあるという、そこが本当に驚きました。眼の前で拝聴させていただくまでは、技巧派のかたなんだろうという勝手な思い込みがありましたが、すごく感受性豊かな演技でしたので、ああ、もっとずっと深みのあるかたなんだと、自分の浅慮を恥じました。で、ご本人は、すごく周囲に気遣いをされる素敵なかたで、トークも大変にお上手でしたよ!

陶也役(興津和幸さん)

興津さんは、一枚目にも出てくださってます。そのときから大分時間も経っているし、一枚目とはかなり性格も違うので、どう入ってくださるのだろうとドキドキしてました。また俗なこと言うんですけど、最初のテストのときに、前回の陶也の声が流れたりしたんですが、やっぱかっこいいんですよね。イケボ……ってうっとりしてしまった。でもいざ演技が始まると、怒濤の上手さよ……演技力と真剣さに打たれて、イケボよ……と思いながらも、泣かされました……泣かされたよ。陶也は、前半、視点人物なのでよく喋るんです。攻めでやさぐれているんだけど、BLでの攻め視点の難しさというのは、繊細さがなければ読者がついてこれない、と言う点があって、陶也はそういう意味ではすごく繊細なキャラクターなんですね。その、にじみでる繊細さ、やさぐれながらも底のほうに優しさや愛情深さがある感じを、興津さんはきちんとおさえて演技してくださってました。特に、二枚目に入ると時間が数年経過してまして、陶也の人となりもかなり変わってしまうのでどうなるんだろうと思っていたのですが、ほんとにね~…… なんの違和感もなく、するりと入れます。CDでは時間の都合上、カットしたエピソード部分も、きちんと読んでくださって、そういう部分があることを踏まえて演じてくださっている丁寧さに、本当に感動しましたし、泣きの演技のところを聴いてほしい。一枚目の後半です。絶対聴いてください!!(うるさい)泣かされます。興津さんの陶也とこれでお別れ?するのが淋しいくらい、もっと聴いていたかったです。初回限定版では、陶也がめーっちゃ喋ってる、ミニドラマがついてます。あのね、かわいいよ。すごいかわいいよ。絶対聴いてほしい。陶也のこと大好きになると思うので聴いてください。私が書いたものより数倍いいので聴いてください。お願いします。郁のことかわいいなって思ってるのが透けて見えます。こう、ガラッと、人が変わる演技をするっていうのは、その背景にどんな数年があるか、を滲ませないと説得力がないと思うのですが、そこが分かる演技をしてくださってて、それは気持ちの持って行きかたであるとか、心構えの部分プラス技術なのかもしれませんが、誰にでもできることではないと思うので、二枚目の、透けて見える陶也の数年を、興津さんの演技から感じていただけると思いますから、聴いてほしいなって思います。言葉にもト書きにもなっていない数年が、ちゃんと興津さんの声の後ろに存在してて、すごく感動しました。これはつまり、最初の第一声から、陶也という人の中になにが本質としてあるのか、表現として出していなくてもきちんとこめて演技してくださっているからこそ出てくる説得力なんですよね。それを演じきれる興津さんなんですね。とにかくかっこいいから、そしてかわいいから、キュンキュンするから聴いてほしいです。あとこれはただのファン目線の感想ですが、興津さんはいらっしゃるだけで、場がなごむというか楽しくなるというか、ほっこりするかたで、それは数年前と変わらずでした。

兜役(平川大輔さん)

兜はこの次のCDですごい大活躍なので、そちらでしっかり語りたいのですが、平川さんにも、一枚目に出ていただいてて久しぶりにご出演いただきました。いつお会いしても本当に優しい素敵なかたです……(俗な感想)これね、口笛のシーンがあるんです。すごいよ、吹いてくださいました。こんなことしてくださるもの!? まさかしてくださると思ってなくて、驚きましたし、謙虚なかただなと、役者さんとしてやっぱり素晴らしいかただなと、再確認というか(えらそうな言い方すいません)そして出番少し?というかまあ脇であるにもかかわらず、原作をしっかり読んで、テーマを理解してきてくださっている感じがとても伝わって、ありがたかったです。愛の罠にはまれ! のところで、その演技の魅力をまた詳しく書かせていただきたいです。とりあえず裁きの兜はいいお兄ちゃんでした。

篤郎役(松岡禎丞さん)

篤郎は、原作のなかではマヤマヤか篤郎かくらい人気あるので、最初にちょこっと挨拶のときに松岡さんにそれを言ってしまって、いらんプレッシャーをかけてしまった……と反省しきりでした。でもね、篤郎の不安定さ、(裁き時点での)ゲスさをみごとに演じてくださりながらも、シナリオ上では特にしっかりと明記したわけではない、篤郎と郁だけの特別な繋がりまで理解したうえで演じてくださっているのが、あとで分かり、真摯なかただなあと、感動しました。嬉しかったです。このお話ではそこまで、篤郎の郁への気持ちって、分からないと思うのですが、松岡さんは裁き収録の段階で、もう一番、篤郎の理解者なのかなーと思わされるというか、篤郎が郁を大好きだからこうなったみたいなところを、理解してくださってました。罠にはまれでね、その演技のすばらしさについて、感動をお伝えしたいです。この段階ではまだちょっと更生前の篤郎くんで、松岡さんもそっと他のキャストさんの中に入ってくださってましたが、本当に、深く物語を理解してくださる素敵なお人柄だということはまた、愛の罠の感想で語りたいです。

脇を固めてくださった、素晴らしいキャストのみなさん

脇役のかたが素晴らしくないと、メインがどれほどいい演技をしてもお話ってよくならないのだと痛感させられました。今回、裁きに参加してくださったキャストさんがた、全員本当に素晴らしい演技でした。

特に印象的だったのは、刺野役、中島ヨシキさん。まあもう聴いてください、ほんとに刺野です。私にとって、刺野というのはものすっごく重要な役所で、単に七雲家の秘書というだけではなく、その裏には幼いころから陶也を見てきた慈愛とか、だからこそ叱咤できる感じとか、言わばもう一人のお兄さんみたいな、それでいて秘書でもあるみたいな、非常に難しいバランス、しかしこういう人がいるからこそ陶也って実は愛情深いんだよっていう立ち位置の人で、そこは小説にも書いてないし、シナリオにもないんです。でも本当に、そういう刺野を演じてくださってます。見えないしない情報まで含んで演技してくださるのだから、役者さんすごいってなりますよね。

それから三須役の木下章嗣さん。実はシナリオをチェックしているとき、三須のセリフはこう演ってほしいっていうのがあって、担当さんに、ここはこんなふうに言ってほしいんですよね~って自分の声で何度も演じて聞かせてたんです。でももちろん、当日、そんなことするわけがなく、こちらが勝手に思っていることなので、誰にも伝えずに違う演技でこられてもそれはそれ、と考えて収録にのぞみました。でも木下さんは私の思ったとおりの三須をやってくだあいました! これってすごくないですか? 感動しました。三須は郁の死に怯える人という立ち位置ですが、実は脇でありながらもすごく重要です。郁がどんな眼にさらされ、どんな人々に囲まれて生きてきたか、を代表する役なので。なので、本当に嬉しかったです。善人の中に眠る、異質なものへの怯えをそのまま演じてくださって、感謝です。そして原作も読み込んで参加していただいていたようで、頭が下がる思いでした。

そして、このシリーズで何度も出演いただいている、吉田麻実さん。私が絶大な信頼をしているというか、本当に、母親役をやらせてこんなにぴったりくるかたがいるのか…… 細かなニュアンスをいつも丁寧に拾い上げてくださいます。素晴らしいです。ずっとずっとずっと出てほしいと思ってしまう……。

篤郎と郁の幼少期を演じてくださった、藤原由林さん中田沙奈枝さんも、素晴らしい演技です。かわいい。かわいい……! ぜひ聴いてください。他のみなさんについても書きたいですが、長くなるのでこのへんで……


でも本当に、なんだろうなあ……収録にいくと、必ず思うことですが。

マイクの前に立って、一瞬を凝縮していく演技というか、言葉にされない、書かれてもいない心情や、その人が歩んできた道のり、人生、そういうものを声だけで表現するって、並大抵ではないと思います。それなのに、たった一声聞いただけで、ああ、この人はこういう人生を送ってきたんだなと分かる。この人はこんな背景を持っているから、今、こういうことを言うんだ。と分かる。それは小説には書いていなかったり、シナリオにはないことだったりするときもあるんです。でも、役者さんはそのキャラクターの奥行きを考えて、どこまで表現するか決めて、そうして演じてくださってるんだなといつも思います。私が数年かけ、あるいは何度も書き直して掴んだ本質を、表現してくださる。本当にすごいなあと思います。同じ表現に携わるものとして、心から、尊敬していますし、学ぶことが多いです。小説は繰り返して純化していくけど、演技はそうではなく、心の中に積み重ねてきたものをマイクの前で瞬時に発露するのかなと思うと(全然違うかもしれないけど)やっぱりそれは、本当にひたむきにやって来ないとできないことだと思うので……。えらそうになってしまったかもしれませんが、日々、忙しい中で、感受性を磨かれているのだなあと感じ入ります。それはやっぱり、自分とは違うもの、違う人間を、理解しようという心がなければ、できないものだなと思うし、また、その人の人間性あってこそできる演技というのもあるなと感じますし、ただの技巧だけではなく、もちろん技巧あってのことなのですが、ものの見方、受け取りかたというか、人間の深さというのものを、表現という媒体で、まざまざ、見せられます。

で、またね、監督さん・制作の音響さんたちも、素晴らしいので。本当に。よくこうも、本質的なところを理解してくださるなと、思うんです。これからもドラマCDの仕事をいただけるなら、ずっと担当してほしいと思ってしまう……(すいませんこんなとこで言っちゃう)

つまるとこ、物語というのものは本当に面白いし、人間というのは奥行き深いし、表現する作業は素晴らしく刺激的だなと。それを、収録にいくと感じさせてもらえて、役者のみなさん、制作のみなさんには感謝しかありません。

私が知らない現場でも、みなさんがこうして、真摯に表現に携わっているんだろうなあと思うと、自分も頑張ろう! と思います。ほんとに、普段からこんなふうに真剣に作品を作ってらっしゃるんだろうなあと。そう思える方々でした!

ありがとうございます! 聴いてね! 初回限定版、ちょっとお高いかもしれないけど、CDいっぱいいっぱいのボリュームだし、ミニドラマ最高にかわいいし、フリートークも面白いし、損はさせないと思います! とりあえず買っておけば買っとけばよかった~……って後悔はしなくてすむからぜひお手にとってください。ほんとにみなさん頑張ってくださったから…… 違法アップロードとかで聴いても、役者さんには1円にもなりませんからよろしくですよ。私も一ファンとして、心からお願い申し上げます。

ご購入など→(fifth avenueさん特設ページ

視聴もあるよ!


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