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ロールモデルのいない夢

前例がないことだとか適切な表現方法がない感情だとか、ずっとお腹の奥で熱くこもっている、なにか、だとか。

そういう本人に忘れられた、取るに足らない夢の結晶みたいなものが、ときどきなんの脈絡もなく、ふっと光る夜がある。

一度その熱い光に触れてしまったら、もう見なかったことにはできない。恐るべし。

けれどそれがどれだけ明るくてまぶしくて、熱くてでも消えそうなのかは、わたししか知らない。

だから、第三者に説明しようにも、言葉が続かない。

わたしが今探しているものにも、名前がないし。

目指すべきロールモデルも、いないし。

まばらに散らばるキーワードを目の前に並べて「よし」と意気込むも、すぐに手をこまねいてしまう。

想いはあるけど、そのかたどりかたが、まだ分からない。

表現したいことは分かるけど、どこから彫っていいか分からない彫刻家のような。

「◯◯のようになりたい」「◯◯のようにやりたい」と言えたら、どんなに楽で分かりやすいだろうと思うけれど、そんな単純な話でもないし。

理解してほしいなら説明できなければ、やっぱり、ダメかなあ。ダメよねえ。

熱っぽさの正体は、理解してもらわないと1人では形にできないことだから。

うまく説明できないけれど知ってほしい、言葉の及ばない熱っぽさは、文章というお皿では受け止めきれないね。

近いようで遠い、形になる前の理想の世界。

青二才という謳い文句で全く異色の武器を、お金をもらって学べる最後のチャンス、かもしれないね。

自分で自分を脱いでゆく、その過渡期。

いつからか着込んでいた分厚い衣は、継ぎ接ぎだらけで使い込まれた青い色。

経年変化を楽しむのは、なにも革とか木とかでできた雑貨だけじゃない。

くすんだりはげたりしながら息をつく暇もなく見よう見まねで塗り重ねられた、自分をまとう、夢の色。

そろそろいったん、身軽になろう。

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