見出し画像

渡越日記、エピローグ。

京都で働き始めて約2年半、はじめて長期の夏やすみをとった。
転職した会社は想像以上に忙しく、長期休みを取れるほどに慣れるまで、相当の時間がかかってしまった。

それでもなんとかやってこれたのは、
大好きな京都の街で、小さな休みに美味しいご飯を開拓し、
オーナーさんのこだわりが光るお店で素敵な感性に触れ、
鴨川の近くに居を構え、自然の中で深呼吸をしながら暮らしてきたから。

20代の頃は3連休もあれば海外に飛び出し、
そこで出会う刺激的な冒険が仕事の糧になっていた。
ところが30代、体力と同時に気力の回復もゆるやかになり、
余暇の刺激が仕事を押し進めるということもなくなってきていた。
気持ちは若くいたくたって、からだは本当に正直!
昔は月曜日に深夜便で帰国して空港でシャワーを浴びてそのまま出社、
なんて全然余裕だったのに・・・

そうして都会の高層マンションから鴨川まで徒歩圏内の小さな家に引越し、
ピラティスとアーユルヴェーダで身体を整え、
海外から受ける刺激よりも、
京都という文化的な土地で心地の良い小休止を繰り返し
ひとつひとつの仕事をのりこえていく暮らしにシフトした。

ところが、ある程度仕事に慣れてきた転職3年目、
週末にこころとからだを整えるだけでは、やはり前に進めなくなってきた。
休み休み、少しずつ前に進んできた足を止め、
大きく息を吸って次の大きな一歩を踏み出すための、
「少し大きめの休憩」が必要だった。
これは、ついに、海外旅行を再開する時だ・・・!

以前から再訪したいと思っていた国があった。
2014年に初めて訪れたベトナム。
アジアの文化とフランスのデザインが共存し、
おしゃれなカフェと雑多な市場が混在する、不思議な国。
急発展するがゆえにバイクの大気汚染からの煤汚れもあり、
大量生産によるプラスチック率も高い印象だった。

それがZ世代のエシカル意識の向上や欧米の駐在員が増えた影響か、
それとも30代に入り自分の情報収集の質が変わってきたのか、
年々エコなお店やデザイン性の高いブランドが
最近ぐっと増えてきたように感じていた。

ベトナム伝統の古民家や、フランス統治時代のコロニアル建築のデザインを
現代に生かしたカフェやレストラン、
量り売りをおしゃれに次世代へ伝える店舗や、
ローカル作家さんのお洋服やアクセサリーを集めたギャラリー、
ベトナムの伝統工芸を今風にアレンジした器やカトラリー、
サーキュラーエコノミーをテーマにした高原リゾート・・・

心と体を大事にするエシカルな生活を送りながら
世界中の素敵な器、雑貨、アート、文化を紹介するやさしい空間を持ちたい
という夢がある私にとって、
ベトナムはこの10年で、とんでもなく魅力的な国になっていた。

幸いにも、学生時代の友人がホーチミンに駐在中で、
ベトナム国内を飛び回る仕事をしていた。
素敵なものや美しいもの、美味しいものを見つけることが得意な彼女は
「今のベトナム」を熟知していた。

完全に今、ベトナムに呼ばれている!と感じた私は
たっぷり9日間の夏休みをとって、
心と時間に余裕を持ったベトナム縦断旅行を実施することにした。

今回の旅の目的は、
・ハーブたっぷりのベトナムご飯でデトックスする
・最新のベトナムデザインにたっぷり触れる
・大都市を離れてベトナムの山奥で心を慈養する
・ミシュランの目利きで発掘された最旬ベトナムグルメを堪能する
それから、
・帰国後に開催するベトナム雑貨のPop Up Shopで紹介するオタカラを見つける

ハノイに2泊、サパに2泊、ホーチミンに3泊。
さらに、ハノイ〜サパの移動で夜行列車に1泊と、
深夜便の飛行機で1泊。

学生の頃のようなワクワクドキドキな冒険は無いけれど
この10年で急激に発展し、
その間にいろんな価値観が生まれたであろうベトナム、
そして自分自身が10年の間に養ったフィルターを通してみるベトナム、
目と心で感じた9日間の旅の記録をこれから綴っていこうと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?