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「何者かになりたい」からの卒業

いつの間にか「何者かになりたい」から卒業していた。
はっきりと言葉にして認識したことはなかったけれど、誰かのことを羨んだり、自分に対して大きな不安を抱くこともあったから、無意識のうちに「何者か」になりたかったのだろう。

そんな願望は、気づかない間に消え去っていた。
大人になったんだね〜と緩めに祝杯をあげることもできるけれど、これには明確な変化がある。

それは「自分」を生きると腹を括ったことだ。

自分の足で立って歩き続けるのは難しいだろうと、心のどこかでスーパーヒーローを求めている弱さを認め、自分が本当に求めているものと深く向き合うことで、少しずつ腹を括れるようになっていた。

決して分かりやすい出来事があったわけではない。
弱さが顔を出してくる日もあり、一進一退の道のりだったけれど、いつの間にか山を登りきっていたようだ。

溢れる情報の中で暮らす私たちにとって、心が揺らぐタイミングも多いけれど、しんどい日々も無駄ではなかったと思える景色は期待しても良いと思う。
そして、そんな景色を共有できる人がいればもっと良いなと思うのだ。

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