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地方で何かしたいと思ったのに、気づけば何もできないと失望したあの子へ

 宮崎県日南市に東京から移住した。もう1年以上が経った。

 地方移住して最初「ここにいてくれるだけで有難いんだよ」と言われてその意味がよくわからなかった。今ならその切実な意味がわかる。
 一人でも地方と関わり、人の流動性がそこにあれば、まだ救いがあるのだから。本当に誰も来なくなりその場所に飽きてしまったとき、地方で生きるハードルはぐっと高くなる。

 地方はコミュニティが残っているというのは個人的主観だと幻想。たしかに道を歩けば知り合いには会うし、地元のおっちゃんやマダムと世間話をしたりはする。けれど、そもそもの人口が減っているのでコミュニティに多様なレイヤーがなく、所属意識が持てる居場所がなければもう逃げ場はない。地方は人口が少ない分それが起こりやすい、と思う。

 地方創生ブームと共にそのキラキライメージに憧れを抱き、気合いを入れて移住したものの、身の丈に合わない自分を見せようとしたり、単純に実力不足だったり、人間関係をうまく構築できなかったり、そんなこんなで挫折した人を何人か見てきた。

 地方で何かしたいのは素晴らしいこと。でも地方で何かするって東京で何かするより、そもそもめちゃくちゃ難易度が高い。簡単だったらとっくに人が集まって、いろんな企業が集まって、人口減少しないで、がんがん盛り上がってっから。だから、うまくいかなくて当たり前ぐらいな気持ちでいいのだよ、と。うまくいかなかったのは、単純にあなたの天命じゃなかったのだよ、と。

 わたしは昨年移住したその日にいろんな取材が来てNHKまで来て、謎な待遇にかなり戸惑った。東京からハイキャリア女が、全部捨てて日南にやってきた、異常だ!クレイジーだ!頼む!地方を救ってくれ!みたいな具合に。なんか嫌だなぁと感じた折、わたしのその様子を見て、親切な人に言われた言葉でけっこう救われた。

「地域に潰されないで」

 今でもその言葉に支えられてる。わたしはここが好きで、仕事が何だろうとここでのんびり生きる暮らしがしたい、ここで市民になりたいのです、という動きを移住してからしてきたつもりだ。

 新しい人に出会い、別れ、その人が自分は何もできなかったとか、地方に搾取されたとか、そんな具合のことを聞くとそれは違うよと心から伝えたい。

 チキン南蛮をやめて地元民っぽく600円のオムライスやカツピラフを食べたり、宿つくる為にDIYで壁を白く塗ったり、日南弁を真似て「そうやっちゃ〜」って乱用したり、そういう日々をピュアに楽しいと思って暮らせたのだから。何かを成し遂げようと力まず、時々ここに来て、地域との関係を続けるだけで、ここに暮らし生きる人は嬉しくて楽しいのだから。

 最近いくつか地方を放浪して久々に自分の日南に帰ってきた。来週からはまた四国を放浪する。過疎が進む地域は一人でも誰か来てほしいと切実で、複雑な理由はたくさんある。きっとその一つは、凝り固まった地域のコミュニティを、一緒に時間を過ごすだけで柔らかくしてほしいから。地方に人の動きと、流れがある、それを構成する一人であればいいんじゃないかな。

 改めて、地方で何かしたいと思ったのに、気づけば何もできないと失望したあなたへ

「ここにいてくれるだけで有難いんだよ」

 時々ここに来てくれたら、鍋パか、餃子パーティー、いや、百合旅館の鴨鍋パーティーでもやろうね。あ、そういえば昨日から日南の伊勢えびまつりだわ。伊勢えびパーティーでもいいかも!(パーティーばっかり)

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神明美里

*東京出身/東京育ち🗼新卒DeNA / 元リクルート→宮崎県へ移住🏝 *美術館巡りと、日本の風景巡りと、お酒が好き *U29宮崎ツアーのクラファンで紹介されました→ https://faavo.jp/miyazaki/project/2893/report/18019

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