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(10)街へ行く。

染液に浸けて一晩置いた布を洗い、出かける支度をしていると猫たちはお留守番モードになる。遅くならないからと説明して家を出る。

都心へ出かけるのは2月以来だから4カ月ぶりで地下鉄の乗換えがまたヘタになっている。竹橋の東京国立近代美術館のピータードイグ展は珍しく前売り券も用意して心待ちにしていて、コロナで予約制になっているが前売り券ならいつ来ても良いという。予約じゃないと却って入場制限に引っかかったりするのではと心配していたがまったく心配無用だった。

ピータードイグ展は年末に坂口恭平さんが勧めていたので観てみたくなったのだけど、たぶん一回では分からないからとペアチケットを購入していて、一時間やそこらで初めての絵や画家の世界を受け止めきれなかった。若い頃はそれでもグラグラしながらも吸収していたのが出来なくなってしまったので、二回見ることにしておいて良かった。

渋谷へ寄ってパルコの蜷川実花さんの写真展を観たらほっとした。東京があった。まったく自分とは異なる日常なのに1%の成分が似ているのだろうか。パルコはきれいになっていた。若い頃はまったく感じなかったけれど、パルコのような場所はおばさんというだけで異物として目立ってしまうような気がするから気をつけなければ。

タイトルの「街へ行く」は大井町に住んでいた頃、銀座へ行く時に同居人が使っていて便利なので私も使うようになり、大森に住んでいた友人に大笑いされた。もっと田舎に住んでいるから、東京へ行く、がいいのだろうか。


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