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「納得できない!」は価値ある仕事を生む鍵ーー『イシューからはじめよ』を読んで

PCを開くと流れてくる膨大なメール。Todoリストから消えることのない日々のタスク。「これって、本当にやる意味あるのだろうか...」手を動かしているうち疑問が浮かんでくる、経験はありませんか?

その感覚、大事。絶対に捨てないで!と、この本を読んだからには胸を張って伝えたい...!

今回紹介するのは、著書『イシューからはじめよ― 知的生産の「シンプルな本質」』


上司から頼まれた仕事に疑問を抱くこと。それは、業務を効率化し、質の高いアウトプットを生み出す鍵です。

指示を受けてもすぐに納得できない。考えずに動けと言われて苦しい。もし心当たりがある方がいたら、目の前にあるタスクに手を止めて。この本を手にとってみてください。

noteでは私の感想を交え、著書に書かれていたユーザーにとって価値ある仕事を生み出す考え方をご紹介します。

「その問いは解くべき問題か?」見極める

そもそも「仕事ができる人」の定義とは何でしょう。
タスクを素早く終わらせられる人?上司の期待を超える成果が出せる人?営業成績がいつもトップな人?

著書では「世の中にバリュー(価値)を生み出せる人」と定義されています。会社員であれば毎月固定給が支払われるため、価値に対するフィーが支払われている意識が薄れてしまいがち。ですが、そもそもお給料とは、働いて生み出した価値に対して支払われているものです。

朝から晩まで机にへばりつかなくても、午前中でその日やるべきことを終えたのなら本質的には退社してもOK(会社の規則としてはNGかもしれませんが)。逆に、徹夜して頑張ったんです...!と提出した資料が求められるレベルまで仕上げっていなければ、残念ながら価値を生み出せたとは言えません。

「時間」ではなく「質」を意識すること。それが「仕事ができる人」への一歩目なのです。

では、バリューのある仕事とは何か、具体的に見ていきましょう。
著書では、「インプットの量に対し、どれだけアウトプットができたか」が判断基準だと述べています。わかってはいるけど、その方法を模索しているんだよ...という方。著書では、実践に移すときのポイントを2つ紹介しています。

・イシュー度:答えを出す必要性を見極める
・解の質:イシューに対してどこまで明確な答えが出せているか

イシューとは、問いそのもの。「これ明日までにやっておいて」と上司から頼まれた仕事や、「これは今潰しておいた方がいいのでは?」と頭に浮かんだ小さな仕事まで。私たちは多くの問い、すなわちタスクに囲まれています。

イシュー度とは、「そもそも、その問いに答えを出す必要性が本当にあるか」を見極める基準になってくれるもの。解の質とは、「イシューに対しどこまで明確な答えが出せているか」を確かめる指標です。

ここで著者が伝えたい最大のメッセージが出てきます。

価値ある仕事を生み出すポイントは、解の質にこだわるのではなくまずイシュー度に目を向けるべきである。

与えられた仕事を鵜呑みにしてとりあえず手を動かすのではなく、本当に答えを出すべきタスクなのかを見極めてから取り掛かる。価値あるサービスを生み出すスタートラインに立ったところで具体的にどういうことなのか見ていきましょう。

犬の道はアウト!

がむしゃらに働いても成果が出ない理由は、そもそもそのタスクに取り組む価値があるのか?を見極めず、何でもかんでも手をつけているから。たとえ徹夜して、イシューに対する解が出たとしても、そのイシューに価値がなければ、ユーザーにとって価値ある解に繋がるとは限らないのです。

気合いや体力勝負で成果が出ない状態のことを、著書では「犬の道」と表現しています。若い頃は「数打ちゃ当たる」働き方が通用したとしても、果たしてその体力は定年退職まで持つでしょうか。マネジメントの立場に立ったとき、部下にとって再現性のあるやり方でしょうか。

イチロー選手を目指しているのに毎日うさぎ跳びばかりのメニューでは努力の方向性が間違っているため到底目指している目標には到達できません。価値を生み出すビジネスマンは、まずはイシューを検討することから始めているのです。

日々取り組んでいる業務にも、同じことが言えます。
「これって、本当にやる必要があるのかな? 」と疑問を持たなければ、数をこなし疲弊するだけ。新人は自分でイシューを見極めることが難しいため、上司に確認しましょう。

「自分が思いついた問題の中で、本当に答えを出すべきものは何でしょうか? 」

この一言で膨大なタスクにフィルターがかかり、優先して取り組むべき課題から手をつけることができるのです。

正しい問題に集中した、正しい訓練が必要。イチローのようなバッターになりたければ、うさぎ跳びは正しい訓練でないことは容易にわかりますよね。どれだけ働いたかではなく、どれだけ価値あるアウトプットを生み出せるかで、ビジネスパーソンの意義は決まるのです。

イシューは自分の頭で考え、チームで共有する

イシューを見極める具体的な方法は、著書で詳しく紹介されています。
その中での方法にも共通していた「インプットした情報を自分の頭で考える」は、情報溢れる日常で意外とできていないように感じました。

著書では、一次情報(自分の目で見て感じること)を大事にするべきと述べています。記者やライターの仕事でいうところの取材に当たる部分、営業ならお客様の元へ足を運びヒアリングをする行程に当たるでしょう。

ネットの情報や先輩から聞いた話しなどの二次情報だと、情報発信者の主観やフィルターがかかっている可能性があります。情報を正確にキャッチするためには自分の目で見て聞くことがベストです。

情報をキャッチしたら、鵜呑みにしてそのままアウトプットをするのではなく、自分の頭でイシューは何か見極める。次々に流れてくる情報に対し何も考えず全てに手をつけていたら犬の道まっしぐらです。自力で見極めることが難しければ、仮設を立て上司に確認するといいでしょう。

また、イシューの共有はチームでプロジェクトを動かすときにも役に立ちます。「なぜこのプロジェクトをやるのか?」目的の明確化をしておけば、チーム内で認識のズレを防ぐことができる。いきなり役割分担をする前に、プロジェクトを実行する意味や目的を考える時間を設けることで、質の良いアウトプットに繋がるのです。イシューはチームで共有しましょう。

経験してみなければわからない

価値を生み出す仕事をするには「イシュー度」を見極め「解の質」を高める必要があるとご紹介してきまいした。

新人のうちは上司にイシューを投げかける習慣づくりから始めれば良いとはいえ、理屈は理解できても具体的にピンとこない方もいるかもしれません。(著書を読んだ私も概要は掴めたものの、ふわっとしている部分が多いです)そんなことは想定済みといわんばかりに、著書にはこのようなメッセージが残されています。

「結局、自分で経験してみなければわからない」

著者が受け取る読者からの感想では、勉強にはなったが腑に落ちていないと言われることが多いようだ。それは当たり前のこと、と著者は述べる。いくら美味しい料理をレポートされても食べなければ味を知ることはできない。恋をしたことがない人には恋心はわからないですよね。それと同じで、イシューを見極められるようになるためには、自分の頭を使いやってみなければ習得はできないのです。

まずは、「これは本当にイシューなのか?」自分と周りに問う習慣をつけること。
「いちいち疑問を立ち止まっていまう」「取り組む前に色々考えてしまって周りより動きが遅い」と悩んでいる方もいるかもしれない。でもそれはむしろ、価値ある仕事を生み出す大事な鍵なのだ。


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