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なぜ文章を書くのはこんなにも時間がかかるのか? ー『新しい文章力の教室』感想文

少々、文句気味なタイトル付けをしてしまったのだが、本当に思っているから仕方がない。
日々の仕事の中でのメールやレポート、企画書を作成する中で「時間をかけた割に完成度が低い...... 」と少しの絶望感に襲われることはないだろうか。

文章を書くことを生業にしているライターあるまじきことがだが、はっきり言う。私はある。

「まとまらない」「途中で何を書いているのかわからなくなってしまう」と、迷宮入りの迷路に陥ることが多々あるのだ。結果、時間ばかりが経ち他の抱えている仕事がさばけず、1日が終わるなんて日も。悲しい......。

なんとか打破しなければ!と手に取ったのが「新しい文章の教室」。


短時間でハイクオリティな書類作成や発信を求められるビジネスマンに向けて、仕事がちょっと楽になる「より速く、正確に文章を書くコツ」をまとめてみた。


もくじ
▼そもそも良い文章とは?「完読」を目指す
▼「テーマ」に沿って「何を・どれから・どのくらい」書くのか決める
▼文章はプラモ化すべし!


そもそも良い文章とは?「完読」を目指す

「誤字脱字があると読む気が失せる」「まとまりがないと内容が頭に入ってこない」「難しい言葉ばかりで途中で読むのをやめてしまった」

文章を読み進めるのが厳しいとき、心の中で呟く言葉は大抵、こんな感じだ。

味が合わない料理を残してしまうのと同様、文章も読者に違和感を与え続ければ、たとえ残りの主張が残っていても御構い無しにページを閉じられてしまう。「良い文章」とは一体何だろうか?

内容が面白い文章?ちょうどいい長さ?事実が書かれていること?

「新しい文章の教室」では、良い文章の定義を「完読」としている。美味しい料理をいつの間にか完食してしまうように、良い文章は最後まで読み切ってもらえるのだ。スマホをスクロールする指の滑らかさを、ぜひ読み手に届けてあげてほしい。

完読は、あらゆるスキルを会得した先の最終到達地点であり、揺るぎない「良い文章」の証なのだ。

では完読される文章を書くには、どうしたらいいのだろうか。


「テーマ」に沿って「何を・どれから・どのくらい」書くのか決める

私が「新しい文章の教室」を読む中で一番の学びだったのは、「真っ白な画面にいきなり文章を書き始めるなんて、アウトーーー!」ということ。

理由は、頭の中で内容がまとまっていない状態で書き進めると、途中で書く内容に迷いが生じて手が止まりすいからだ。結果的に作業効率が落ち、時間だけが過ぎていく。

計画性無しにいきなり文章を打つ始めるとは、目的地がわからないまま地図も持たずに大海原を航海するようなもの。彷徨い続けた果て、時間をかけた割には自分でも何が言いたいのかよくわからない文章がいっちょ出来上がり!というわけだ。

じゃあ、どうしたら良いのだ!と、そこで大活躍してくれるのが「構成シート」。

「新しい文章の教室」によると、いきなり本文を書き始める前に構成をつくることで、頭の中が整理しやすくなるという。

やり方は簡単。
まずは箇条書きで記事に盛り込む必要な情報をどんどん書き出す。その中から、読者に伝えたい「テーマ」を設定。次に「何を」「どれから」「どのくらい」書くのか優先順位をつけていく。

構成シートを作成する時間がもったいないと渋っていた面倒くさがりな筆者も、本文を書く前に内容を整理することで執筆途中に手が止まる回数が少なり、作業効率がぐんっと上がった。嬉しい......!

「構成シート」の作成は、目的地に向かって一直線に書き進めるために必要な準備なのだ。


文章はプラモ化すべし!

さらに「新しい文章の教室」では、構成シートを作成するプロセスは、プラモデルをつくる工程と似ていると紹介している。

一体どういうことなのか。

買ってきたガンダムプラモデルの箱を開けると、主に以下の3つが入っている。

①完成図
②パーツ
③トリセツ

トリセツを読みながらパーツを組み立てれば、どんな人でもガンダムが完成するようになっているのは、皆さんもご存知だろう。

ではこれを、文章にも当てはめてみる。

伝えたい「テーマ」は、プラモデルでいうガンダムの完成図。「何を言うか(書く内容)」は、パーツにあたり、「何をどれくらい、どの順番で」書くべきかを教えてくれるのがトリセツというわけだ。

パーツ無しにはガンダムはつくれないし、トリセツが無ければ迷ったときに詰むことは容易に想像がつく。要するに構成シートの作成は、プラモデルでいう「完成図」「パーツ」「トリセツ」を準備する作業なのだ。

準備を怠っていきなりガンダムを完成させようとしていたと思うとゾッとする......。これでは完読してもらえる文章を書くなんて、至難の業だったのだ。


書き始めると頭に浮かぶ「時間がかかる」「まとまらない」「わからなくなってくる」悩みの犯人を捕まえてくれた「新しい文章の教室」にはもう頭が上がらない......。何度も読み返す必須本になりそうだ。

膨大な時間をかけずに、完読される文章を書く人がひとりでも増えたら嬉しいと密かに思っている。

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