山下実紗

心地よさと違和感は人それぞれ。X軸でもY軸でもない、自分なりのZ軸の第三解を見つけたい。

山下実紗

心地よさと違和感は人それぞれ。X軸でもY軸でもない、自分なりのZ軸の第三解を見つけたい。

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丁寧な暮らしなんてどうでもいい。ただ、生きていることを実感したかっただけ。

東京で会社員だったとき、生きることに、そして食べることに必死だった。毎日、朝ごはんもほどほどに会社に行き、昼になったら混み合っているエレベーターで外に行き、ランチをする。 夜は仕事をしながらコンビニで買ったご飯を食べるか、もしくは家に帰って何を作ろうか、と考える。1日3食も食べるのって、大変で気が重い。社会人になりたての頃、気合を入れて素敵な曲げわっぱのお弁当箱を買ったのに、毎日おかずをつくる余裕なんて全然なくて、断念した。 冷凍食品ですら、詰めるのがしんどい。社会人にな

    • 鰹節となって私は「私たち」になった

      私は変わった夢をよくみる。 娘の名前も、夢に出てきた女性から告げられた名前だった。 昨日は、鰹節になった夢を見た。 私は鰹節みたいにカチカチな塊だった。それをゴシゴシ削られて、私は気づいたら、粉になっていた。サラサラの粉だ。 その粉は風に飛ばされて、川に流れて、一部は川の底にある土と一緒になって、残りは風にのって、あちらこちらに散っていった。 私というものが、いつの間にかあちらこちらにいて、私は世界と一体になった安心感を得た。私、が私たち、になったのだ。 なるほど、これなら

      • 計画無痛分娩で産みました。

        5ヶ月前に、計画無痛分娩で出産しました。計画無痛分娩というと、え、痛くないの?とか、高いんでしょ?というコメントを頂くことも多いです。無痛分娩は、フィンランドでは約9割、フランスは約8割、アメリカでは約7割にのぼるらしい。(読売新聞インタビューより)日本だと自然分娩に比べて、「痛みに耐えてこそ出産…」などなんとなく周りに言いづらい雰囲気などがあります。実際に厚労省の2020年9月の調査では、日本の無痛分娩の割合は8.6%だそう。 かの与謝野晶子も5男を生むときには、麻酔を腕

        • だから妊婦7ヶ月目の私はゾウを見て泣きたくなる。

          書くだけで満足して、ずっと下書きに置いていたnoteだけれど、出産前日に読み返してみた。また今は当時と少し異なる感情があって、面白いなあと思う。 ****** 私のお腹には、誕生してから176日の小さな命が宿っている。順調にいけば、その方と今年の7月に初対面になる。妊娠する前は、10ヶ月で家族が増えて色々が変化してしまうなんて、あっという間で大変だなあ、と思っていたが、自分が妊娠したら思いのほか妊娠期間はとても長かった(特につわりのある前半は永遠に感じた…) はじめて妊娠

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        丁寧な暮らしなんてどうでもいい。ただ、生きていることを実感したかっただけ。

          そういえば、先日自宅が火事にあいまして。

          「先日、自宅が火事にあいまして」 そんな聞き慣れない言葉がまさか自分の口から出る日が来るなんて思わなかった。 1ヶ月ほど前の3月29日の深夜、愛を込めて手を入れてきた家が全焼した。それは、出火してからたった3時間ばかりのことだった。 何もできず目の前で燃えていく家を見つめている時間は永遠のように感じた。 数時間前まで、地域の人たちにたくさん手伝ってもらいながらDIYをしていた。その夜は、DIYの最終日。お疲れ様、と仲間たちと温泉に入り、近所の行きつけの中華屋さんでご飯を

          そういえば、先日自宅が火事にあいまして。

          早くおばあちゃんになりたい女子高生

          ある日の休み時間、私たちはベランダの手すりに寄りかかりながら、外をぼんやり眺めていた。春の温かい日差しが差し込む、気持ちの良い日だった。 隣にいる彼女は突然、小さくつぶやいた。 「いいなあ」 彼女の瞳の先にはグラウンド隣の運動場でゲートボールをしているおじいちゃん、おばあちゃんの姿があった。 「わたし、早く年を取りたいんだあ。おばあちゃんになって、ああやって仲間とゲートボールしたり、あったかい日には縁側に座って猫を膝に乗せたりしてさ。なんかそれってすごく幸せそうじゃな

          早くおばあちゃんになりたい女子高生

          イッツオーケー、シーシー(小声)は妻の心を落ち着かせる魔法の言葉だった。

          最近、犬が飼いたすぎて、狂ったように犬が欲しい、犬が欲しいと言っている。でも、明らかに私たちのライフスタイルでは飼えないので、誰か犬を飼っている人が近くに住んでくれないだろうか、ちょっと旅行に行くから少しだけ預かってくれなんてお願いされないだろうか、なんてことを妄想している日々だ。 ところで、私はよく落ち込む。生理の2週間前になると、ホルモンバランスの波にのまれて、こっそり涙や鼻水を垂らす。でも、またすぐ元気になる。まるでジェットコースターに乗っている人みたいだ。 私はど

          イッツオーケー、シーシー(小声)は妻の心を落ち着かせる魔法の言葉だった。

          Wishリストが真っ白すぎて、頭が真っ白になった凪ちゃん

          「好きなことを仕事に」「好きなものを大切にしよう」 好きなことを… そんな「好き好き好き好き」を具体的に周りに伝えなくてはいけないような世間の風を、感じて戸惑っている。 はて、好きなもの。 たしか昔、スパイごっこが好きだったなあ、あんなアイドルが好きだったよな…実は本を読むのも好きなのだけれど… 色々な好きがあるけれど、SNSを見ているとそんな私の「好き」をはるかに超える猛者が沢山いる。 あー私こんな程度で、好きって言っていいのかしら…。 自分探求の旅に出ると、「あ

          Wishリストが真っ白すぎて、頭が真っ白になった凪ちゃん

          イマドキの女子高生は、電車で枝毛を探すか?ナニモしないってなんだっけ

          電車に乗っているとき、ふと外の世界が気になる。携帯や本から目を離した状態で座っているが、なんだか目線が定まらず、心もとない気持ちになる。 例のごとく、ギリギリで家を飛び出してきたら、いつも通学の電車で読んでいる小説を家に置いてきてしまった。 「明日は、もうちょっと余裕を持って家を出よう」守れない誓いをしながら、おさげにした髪先を無造作に持ち上げて、枝毛を探す。 枝毛を探すのに飽きたら、ぼーっとして、そのうち居眠りを始める。 携帯電話がまだパカパカのとき、私は高校生

          イマドキの女子高生は、電車で枝毛を探すか?ナニモしないってなんだっけ

          銀座のソーシャルバーの店長になってもうすぐ2年。3時間かけて通い続ける理由、居場所づくりについて考える。

          地球がうごめいている。去年、東京から長野に移住して、寒がりの私にとって辛すぎる冬を経験してからの春は本当に美しい。一気にまちがカラフルになり、「起きました!」と自然がアピールしているようだ。人間界はざわついていても、自然は変わらず活発に動いている。 もうすぐでソーシャルバーの店長になって2年近く経つ。まだ東京に住んでいた頃、まっすぐ帰りたくなくてマッチングアプリサイトを開いて、男女問わず、食事に一緒に行ける人がいないか、探していた時もあった。 その時はとにかく生きているこ

          銀座のソーシャルバーの店長になってもうすぐ2年。3時間かけて通い続ける理由、居場所づくりについて考える。

          わたしが思うZ軸の世界①シェアハウスで子育て

          最近、答えがX軸にもY軸にもないとき、私なりのZ軸の世界を探すことにしている。いま東京と長野で二地域暮らしをしている。それぞれに、やりたいこと、関わりたいコミュニティ、在りたい自分があるからだ。 東京で会社員1年目のころ、パートナーと将来のことを考え、2人暮らしを始めることになった。生きることに焦りすぎ、落ち込んでいる私にパートナーがかけた「一緒に考えよう」という言葉が、「一緒に住もう」に聞こえたのである。 そんななか「家族」のかたちを、もう一度考えたいという話になり

          わたしが思うZ軸の世界①シェアハウスで子育て

          Xでも、Yでもない、Zな世界をみたい

          3年前、ちょうど一目惚れで入った会社で働き始めた頃。 入社して1年経ったくらいだったと思う。一生懸命、満員電車に乗って通ってた。 モヤモヤするまいにち。 上手く言語化できない自分を責めていた。 そんなとき、渋谷でたまたま通りかかって参加したイベント。 廃墟ビルのような場所で、アーティストが何人も集まって展示をしていた。 現代アートにあまり明るくなかったため、知っているアーティストはいなかったけれど、アバンギャルドな作品が多くて、面白かった。 いい意味でカオスな会場

          Xでも、Yでもない、Zな世界をみたい

          日常をつくるためのたった1日限りのマーケット(トビチマーケット)

          2019年12月7日(土)長野県・辰野町で開催した、たった1日限りのマーケット:トビチマーケットが終了した。 「トビチマーケット」は、10年後の商店街の未来が1日だけやってくる、ワクワクするワンデイマーケット。 「トビチマーケット」はそんな少しワクワクする10年後の1日を前借りして実現させる1日です。当日、商店街には、老舗のお店、新しいお店、そしてシャッターのお店が混在しています。シャッターは全部は無理に全て開けなくていい。昔からの商店もいい。新しく始めた商店もある。

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          二地域暮らしのリアルを聞いてみた

          二地域暮らしは、サバイバルだ。体力的にも金銭的にも。なぜ続けられるのか、そもそもなぜするのか。 何をいきなり、と思うかもしれないが、本気でそう思う。かくいう私は、二地域暮らしのビギナーである。 二拠点居住やデュアラーなど多様な表現があるけれど、ここではあえて「二地域暮らし」と言いたい。 その理由や、二地域暮らしの分類については、○と編集社の奥田さんが書いた以下のnoteがある。二地域暮らしをされている方もそうでない方も読んでみると、そうなのか!という気づきがあると思う。

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