ゲームの話

ポケモンから学ぶ理由を求めるモノ作りの大切さ | ゲームデザイナー三島健の「ゲームの話」vol.1

今日から、一つの連載として、ゲームデザイナー三島健の「ゲームの話」を始めます。
このマガジンでは、タイトル通り「ゲームの話」をコンシューマ・ソーシャル関わらず、僕が気になったものを自分の解釈を踏まえながら取り上げていこうと思います。

ぜひ、ゲームが好きな方・ゲーム業界の方など、見ていただければと思います。
よろしくお願いします。

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さて、vol.1では、「ポケモンから学ぶ理由を求めるモノ作りの大切さ」をテーマにお話していきます。

先日発売されたファミ通5月16日で、ゲームフリーク30周年を記念した特集がありました。
その中に、「ゲーフリイズムを引き継ぐ次世代クリエイター座談会」というテーマで、「ポケモン オメガルビー・アルファサファイア」のディレクターや「ポケモン ウルトラサン・ムーン」のディレクターなど、今ゲームフリークを引っ張るクリエイターのインタビュー記事がありました。

そこでは、ゲームフリークがどのようにゲームを作っているのかを中心にお話をしているのですが、その中の「ゲーム都合は絶対に許さない、すべてに理由を求めるモノ作り」の話が、非常に興味深かったです。

ゲームフリークでは、すべてに理由を求め、身の回りの感覚からなるべく離さないように心がけているそうです。

ポケモンを例にすると、ポッポやコラッタなどが、物語の序盤にでてくるのには「現実でも身近にいそうなポケモンにし、物語が進むにつれて非日常の特徴をもったポケモンを出す」ためという意味が込められており、これも、身の回りの感覚からなるべく離さないようにする工夫として作られています。

乱数の使い方にも、ただ何となくでランダムにするのではなく、プレイヤーの動きに合わせて意図的に設定しているという話を聞いて、ポケモンでいわゆる「乱数調整」というものが流行ったのを思い出し、ポケモンの深みの一つだった「乱数調整」も、この理由を求める姿勢のおかげで出たのかなと思いました。

この理由を求める姿勢というのは、本当に素晴らしく大変大事なことだと思います。
僕も極論全ての物事には理由があると思っていて、それを一つ一つきちんと理由を想像して自分のものにしていくことが、モノ作りにおいて一番の引き出しになると思っています。

例えば、RPGではよくHPゲージはあるのに、モンハンではHPゲージはおろか、ダメージ値すらでないのだろう?とか、なぜPC版の人気は落ちてしまったメイプルストーリーが、スマホでまた人気がでたのだろうか?など、ゲームの仕様から流行の理由まで、その一つ一つの理由を紐解いて、持論を持てば、自分がゲームをデザインするときに非常に役にたちます。

また、ゲームを作る際に理由を込めて制作することで、無駄なものが省かれ、洗練されたゲームになっていき、プレイヤーの満足感も上がっていくと思っています。

ですが、一つ一つの物事に対して理由を求めるというのは非常に大変で、厳しいときが多々あります。
なので、それだけ一つ一つの物事に理由を求める、このモノ作りの姿勢は、クリエイターとしての本気度が伺えます。

魂を込めて、一つ一つの物事に最後まで理由を求めることが、ポケモンのような世界中を熱狂の渦に巻き込むようなゲームをつくる要素になるのだと思います。

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