ドラフト2023② 大学生野手

前回の投手編に続き、今回は野手編を書いていきます。
ポジション別にただ選手をまとめていくのは、この手の記事ではよくあることですが、正直、ベタすぎますよね。ということで、まず最初に、どのポジションの上位指名が多いか?という点についてまとめていきます。


【2018-2023 ポジション別 指名順位まとめ】

2018年ドラフトから昨年までの5年間について、上位(1~3巡)・下位(4巡~支配下最後まで)・育成 の3項目に分けてまとめます。なお、1巡目の選手に関しては右に個人名を記載します。複数ポジションを守っている選手は、大学4年次で守っていたポジションでカウントします。

(捕手)
上位 8人
下位 6人
育成 9人

(一三塁)
上位 4人 佐藤輝明 渡部健人
下位 4人
育成 1人

(二遊間)
上位 8人
下位 8人
育成 4人

(外野手)
上位 11人 辰己涼介 ブライト健太 蛭間拓哉 森下翔太
下位 13人
育成 15人

これを見ていただけれたら顕著ですが、大学生外野手は、1巡目や上位指名を含め、全体の指名人数もかなり多いことが挙げられます。それ以外のポジションで1巡目での指名があるのは、三塁メインの選手。ただ、指名人数自体はとても少ないです。
とはいえ一三塁メインで指名されても、過去に守備経験があったり、打撃力がある選手なら、入団後は外野で使われるケースは少なくありません。メインポジションが一塁でも、打撃力が評価されれば、外野手を必要とする球団が指名する可能性は十分にあるといえるでしょう。

1巡目まで届くかどうかで言いますと、捕手や二遊間だと1巡目はなかなか届かなくなっています。最後に大学生捕手が1巡目で指名されたのは15年前ですし、大学生二遊間が最後に1巡指名されてから7年が経とうとしています。ただ、上位指名人数で言えば外野手に次ぐ多さ。市場人気は高いです。

対照的なのは育成指名で、捕手は育成での指名が多いのに対し、二遊間は育成までに指名されることが多いです。捕手の場合、普段は出番がさほどなくても、たとえば二軍のメイン捕手が2人以上故障して出場できない等の事情があると、他ポジから持ってくるのも難しいため、バックアップの捕手をどの球団も必要としていますが、わざわざ支配下指名でバックアップを指名するぐらいなら育成で、と考える球団は少なくないのでしょう。

それでは、ここから、まず上位指名候補について触れつつ、その後、各ポジションごとに気になる選手を紹介していきます。

【上位候補】

それでは、上位候補について簡単にまとめていきます。記事内や、スカウトのコメントで「上位候補」と言われている選手が少ないので、個人の判断で加えていきます。

進藤勇也  捕 身長182㎝ 50m6.4 大学代表 上武大
廣瀬隆太  二 身長182㎝ 50m6.3 大学代表 慶應大
上田希由翔 三 身長182㎝ 50m6.0 大学代表 明治大
辻本倫太郎 遊 身長168㎝ 50m6.1 大学代表 仙台大
宮崎一樹  外 身長184㎝ 50m5.9 大学代表 山梨学院大
天井一輝  外 身長177㎝ 50m6.0 大学代表 亜細亜大

現実的にはこの辺りまででしょうか。このうち、記事内やスカウトのコメントで「上位候補」と出ているのは、進藤勇也・廣瀬隆太・上田希由翔の3人です。大学生は、大学代表(候補)が上位指名されることが多く、2018-2022年の5年間で上位指名された大学生野手31人のうち、大学代表が17人、代表候補が12人。上位指名予想をするのであれば、まずは大学代表を調べ、次に代表候補として名前が挙がった選手を調べれば良いでしょう。

それでは、上に挙げた野手を、動画付きで紹介します。

【進藤 勇也】

数年前から注目され続けてきた、大型強肩捕手。2年生にして正捕手の座を掴み、春季リーグで3本塁打、全国大会でも本塁打を放つ活躍(リーグ戦通算打率.331、8本塁打)。セカスロも実戦で何度も1.8秒前後を記録するなど、爆肩の看板に偽りなし。全国大会でも活躍していますし、大学代表でも昨年から正捕手を務めるほどで、捕手としての信頼は厚いものがあります。

前述のように、大学生(&社会人)の捕手が1巡目で指名されることは正直考えづらいです。加えて、彼は捕手としては少し大柄なのですが、大柄な捕手を狙う球団と、逆に狙わない球団とがあるように思いますので、その関係で、彼を上位で評価する球団は思った以上に少ない可能性があります。ただ、例えばウエーバー順の早い球団の場合、3巡目まで待てないので2巡目で、というケースは大いに考えられますので、2~3巡目での指名となるのではないでしょうか。

【廣瀬 隆太】

慶應大の火薬庫。はちきれそうなマッスルボディの見た目通りの圧倒的ムーンショットを連発します。大学通算18本塁打に加え、二塁打数が本塁打数を上回ったシーズンが一度だけというのが彼の打球傾向を表しているかのようです。三振数は割と多く、特に昨秋はかなり多かったですが、本塁打を狙いにいっている結果として増えている面はあると思います。2年秋・3年春はあわせて104打席で16三振(三振率.154)で、個人的に基準としている.150を僅かに上回る程度に収まっています。

二塁の守備も思ったよりかは動けており、打力でアピールできれば二塁で起用される可能性はあるでしょう。一塁手としては全く問題ありません。個人的には2~3巡指名かなと思います。外国人で一塁を埋める選択肢が難しくなりつつある今、彼のような選手の需要は高いのではないでしょうか。

【上田 希由翔】

明治大のMr.スナイパー。痛烈なライナーを右へ左へ吹っ飛ばし、通算19二塁打。加えて、非常に三振が少なく、直近3シーズン、177打席で12三振という驚異的な数字。足も50m6.0と速く、三塁の守備も問題なくこなします。

打球が舞い上がるタイプではないため、本拠地の広さが彼の打撃成績に大きく関わってくるでしょう。三塁を守れるのはドラフトにおいてかなりのメリットなので、外れ1巡~2巡目あたりでの指名があるのではないでしょうか。

【辻本 倫太郎】

東北の菊池涼介。168㎝と小柄ですが、全国大会でも本塁打を放つようなパンチ力があり、二遊間の守備力は今年のドラフト候補の中では頭一つ抜けています。リーグ戦ではなかなか結果が出ていませんでしたが、今年はOPS 1.026を記録し、キャリアハイを更新。2年連続で大学代表にも選ばれました。

170㎝に届かない身長だけがネックと言えばネックですが、二遊間ならこの身長でも問題なく上位指名する球団はありますし、次世代の二遊間に不安のある球団なら上位指名してもおかしくありません。ただ、仙台六大学リーグの野手は前評判ほど高い順位で指名されないことが多々あります。3巡目と4巡目の間がかなり空く球団が、ワンチャン3巡目で指名するかもといった感じでしょうかね。

【宮崎 一樹】

山梨のフィジカルモンスター。身長184㎝ながら50mは5秒台。昨秋はリーグ戦で打率.600、5本塁打、40打数で3三振という驚異的な打撃成績を残して代表合宿に呼ばれ、今年はついに大学代表にも選ばれました。フォームも実に綺麗な振り抜きができており、三振の少なさと長打の多さを両立できているのも納得です。外野手としてもレーザービームのような強肩を兼ね備えています。

強打の外野手は近年のドラフト市場においてかなり評価が高くなりやすいですが、全国大会未出場で、代表でもなかなか打席が与えられなかったことを考えると、3巡前後というのが妥当なところでしょうか。関甲新の選手はプロ入り後に打撃で苦しむことも多々あります。プロが彼の打撃をどう評価しているか、ドラフトで答え合わせができそうです。

【天井 一輝】

復活の三拍子外野手。3年次は低打率に終わりましたが、今春は打率.280まで戻し、大学代表にも選ばれて打率.316(全選手トップタイ)を記録。ドラフト候補に舞い戻ってきました。身長は大きい方ではないですが、50m6.0の俊足は魅力。

何か強烈なストロングポイントがあるかと言われたらそこまでではないかもしれませんが、東都で好成績を挙げた点や、代表でも結果を出したことが評価されれば、ワンチャン3巡目ぐらいの評価は貰えるかもしれません。

【捕手】

それでは、その他の選手について。今年の4年生で、代表候補に選ばれた選手を挙げていきますと、

宮崎恭輔 身長182㎝ 50m6.6 慶應大 代表
有馬諒  身長181㎝ 50m6.7 関西大 代表
友田佑卓 身長173㎝ 50m6.2 日大
萩原義輝 身長180㎝ 50m6.5 流通経済大

この4名です。個人的には、代表にも選ばれた宮崎恭輔と、代表から漏れはしましたが長打力が魅力の萩原義輝は、上位かは分かりませんが支配下指名されそうだなと思っています。宮崎はリーグ戦で2季連続の打率3割という安定感は買いですし、萩原は長打力に加え、実戦で何度かセカスロ1.80前後を記録するほどの強肩を兼ね備えます。捕手は肩が強くなければ、そもそも起用されることも難しいのが現状ですから、肩についてはシビアに見なければいけないでしょう。

有馬は今春こそ打率3割を切りましたが、それまで3季連続で打率3割以上でした。肩も悪くありません。少し打力が全国レベルなのかどうか怪しいですが、支配下指名されてもおかしくないでしょう(こういう選手はこちらの見立てだと、社会人野球に進みそうな感じですが)。友田は2年春に目覚ましい打撃成績を残したものの、それ以降は苦労しています。プロ志望との話ですから、指名あればと思うのですが…。

【一三塁】

一三塁の選手で、前述の選手以外に、代表候補に選ばれた4年生は以下の選手です。

下山昴大 身長170㎝ 中央学院大
内海貴斗 身長182㎝ 法政大   50m6.4
鈴木虎我 身長180㎝ 国士舘大
生島光貴 身長179㎝ 筑波大

この中で、実際に指名ありそうなのは、内海貴斗鈴木虎我ではないかと思います。内海は今春、3本塁打を放つ活躍を見せ、三振も10打席に1個未満という安定ぶり。打率.269が少し低いものの、昨秋は三塁を守っていたのもあり、三塁の候補として下位指名される可能性はあると思います。鈴木も東都二部で4本塁打という長打力を見せたものの、三振が割と多いことで評価はそこまで高くならないかもしれません。

彼ら以外ですと、外山優希(専修大)が、身長186㎝の長身から見た目通りの豪打を放っており、気になる存在です。今春は東都二部で打率.358を残し、三振も非常に少ないという好成績でした。主に一塁を守っていますが、育成OKなら指名してみる価値はあるのではと思います。

あと、もう1人、村田怜音(皇学館大)も、身長196㎝のビッグサイズから規格外の打球を放つ巨大大砲。現状、東海地区の大学野球のレベルでも封じられてしまうような脆さがありますが、社会人野球や独立リーグに送るには勿体ない選手だと思いますし、本人の希望次第ですが、育成で指名する球団が出てきてくれたら、と思います。

【二遊間】

こちらもこれまでと同じように名前を列挙します。

熊田任洋  身長174㎝ 50m6.1 早稲田大 代表
石上泰輝  身長172㎝ 50m6.1 東洋大
今泉颯太  身長178㎝ 50m6.3 法政大
松浦佑星  身長174㎝ 50m5.9 日体大
西川晋太郎 身長168㎝ 50m6.3 立教大
原俊太   身長180㎝      鹿屋体育大

この中で最もプロ側の評価が高そうなのは熊田任洋でしょうか。六大学で2季連続・打率.340以上。この間に5本塁打。加えて、昨秋は38打数で2三振のみという三振の少なさでした。二遊間としては少し守備力が心許ないという見方もありますが、サードでも起用されそうな打力のようにも思います。ただ、プロ側の弾んだコメントもあまり出ていないあたり、社会人が濃厚なのかもしれません。指名されるなら3巡前後と思います。

俊足・好守が魅力なのは松浦佑星スピードなら今年の大学生野手の中でもトップクラスで、昨秋はリーグ戦で打率.364を残し、三振も10打席に1個程度という優秀な数字でした。長打が少ないのは不安と言えば不安ですが、今春に故障してしまい、代表合宿でも呼ばれなかったのはそれ以上に不安要素。それでもスピードは圧倒的ですし、秋に万全な姿を見せられれば、4巡前後での指名は期待できるのではないでしょうか。

他の二遊間の選手に関しては、そもそも志望届を出すのかも分かりませんし、指名されそうかどうかは判断しかねる状態です。

【外野手】

最後に外野手も同様に。

中島大輔 身長180㎝ 50m6.0 青学大 代表
福島圭音 身長175㎝ 50m5.8 白鷗大
松井涼太 身長172㎝ 50m6.4 同志社大
桃谷惟吹 身長175㎝ 50m6.5 立命館大

この中で一番最初に名前を呼ばれそうとなると、中島大輔かなと思っています。昨春から打撃開花が始まり、今年は東都一部で打率.333を記録。全国大会や代表では、結果こそついてきませんでしたが、ずっとセンターの定位置を守り通すなど、俊足を活かした守備は信頼されています。CFを指名したい球団であれば、3巡前後でも指名してくるのではないでしょうか。

その中島を凌ぐスピードを誇るのが福島圭音。今春はリーグ戦で打率.526という圧倒的打率に加え、20盗塁という猛烈な数字も残しました。ただ、全国大会で11打数1安打と結果を出しきれず、代表でも最終メンバーには残れないという結果に。少し内野安打を狙いすぎるような打撃になることがあるのは、今後のことを考えるとあまり良いことではないように思います。それでも支配下では指名されると思うのですが・・・。

彼ら以外ですと、西村進之介(専修大)は外せないと思います。昨秋は打率.409に加え、4本塁打を放つ活躍で、今春は長打こそ減りましたが打率.327と好調は維持。三振も少ないのも◎。さらには一塁到達4秒を切ることもあるという俊足も武器のCFですし、下位~育成でもOKなら指名する価値はありそうです。

個人的に注目しているもう1人は東門寿哉(日本文理大)。こちらも一塁到達4秒を切るような俊足を持ち、リーグ戦では打率3割以上の常連。全国大会では合計11打数で三振ゼロ、今春は先頭打者ホームランも放ちました。ワンチャン支配下指名あるかも、と思っています。
今年は打撃成績が優秀な俊足CFが多かったのもあり、両者とも代表合宿には呼ばれずでしたが、上のほうの順位を割かなくても楽しみなCFを指名できそうな年といえるかもしれません。

【おつかれさまでした!】

駆け足でしたが、指名されそうな大学生野手を、上位指名候補を中心にまとめてみました。今年はチームを1人で変えうるような圧倒的野手こそ少なそうですが、3巡前後で指名でき、チームの脇を固めてくれそうな野手は多いなと感じています。

そうこうしているうちに都市対抗も開幕。次回は社会人投手についてまとめてみようと思います。それではまた、次のnoteでお会いいたしましょう。少しでもイイねと思われましたらGoodボタンよろしくお願いします(モチベーション上がります)。それでは!

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