鈴木みそ【マンガ家の生活】 vol.40(2016年5月19日発行)締切なのに風邪引いたー!

5月9日(月)

Facebookのアカウントを乗っ取られて、知らないうちにレイバンを売っていた。
レイバンいかがっすかー。
同じメアドとパスワードの組み合わせをいろんなところで使っていたので、慌ててパスワードを変えた。銀行はバラバラのパスワードにしていたけど、ネット系のお買い物ができるカードを同じパスにしていたので肝が冷えた。

これだけ悪評がたっても、レイバンを買う人がいるのかずっと不思議だったんだが、(この乗っ取り広告を流しているのはレイバン社ではないですが、買った人のアフィリエイトでお金にしようという目的であるので、やっぱりレイバンを売らないと意味が無い)何周かまわってレイバンのサングラス欲しい気がしてきたので、何事も続けることは大事ですね。
もしかして、同じパスワードを使っていると危ない。という警告目的で乗っ取りしているんじゃないか。とか思ったり。違うけど。

朝7時起床、英語を2時間。
電車に乗って銀座のファミ通編集部へ。ドワンゴといっしょになったので、ファミ通もビームも今は銀座にあるのだ。
編集部で銀座。初めて行ったのだが、立派なビルですよ。出版社には見えないわ。

ファミ通の現編集長から、浜村さんまで。歴代の編集長が4人並ぶ中、やらかしてしまった思い出を聞く。

それほど謝ってないですけどね。と言いながら年間2回ほど浜村さんは出動しているそうだ。
ゲラゲラ笑いながら聞いていたが、これマンガにするの難しいことに気づいた。
謝る時はちゃんと謝らないといけない。というのがネットの基本で、オレがそれをおちょくるのはアリでも、ファミ通の内部の編集長などが発言するのはとても微妙である。
へたすると大炎上でこの漫画自体が謝罪に追い込まれてしまう。
今、シャレにならなくなっているので、注意深く描かねばならず、むちゃくちゃ描いても2週間で消えるからいいか。などとやっていた昔はいい時代だったなあー、と思ったり。

もう時間が全然ない。内定ゲームのネームがー。と叫びながら銀座でラーメン食べて帰ってきた。
その前にダンチュウのマンガの色付。やっとアップ。かなりいい感じでできた。発売に合わせて前に描いたカレーマンガをnoteにアップしよう。

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5月10日(火)

朝7時起床。英語を1,5時間。
内定ゲーム、クラウドファンディングの最高額、100万円で広告マンガ描きます。に入札してくれたゲーム会社「ヘキサドライブ」の取材で品川へ出発。
10年ほど前にカプコンから独立。プログラマ5人で始めた会社が今は80人ほどいる会社に成長。大阪から東京に居を移した。
元々プログラマが作った会社なので、技術力があり、いろんなゲームを下請けで作っていたが、おかげで内部保留も増え、余裕が少しできたので、念願のオリジナルの自社ゲームの開発。というあたりまで来たという。
その話だけでマンガが1冊できそうだが、なんの広告を描くのかというと、新人にうちの会社の良さを知ってもらって、力のある人に来てほしい。という求人目的だという。
おおー。そこなのかー。
最近ゲームは下火なのかと思っていたが、PS4とスマホの開発をやっているので、忙しくて景気がいいという。
いやあ、さすがマンガの広告にぽんと100万払う会社ですよ。
これを6月くらいまでにまとめないといけないが、その前に色々やることがあるので、ひとつずつ片付けていかないとー。
一緒に取材に行ったのが、内定ゲームの編集宮坂さんと、Tシャツのデザインを待たせている小林社長。あーすいません。もうできますーと電車に飛び乗って帰る。
できそうでできない。もにょもにょ。

Surfaceを開いたら、島本和彦さんからFacebookの友達申請が来ている。
ええー? 面識はないけどもちろん了承。
この時、間違えて電話をするボタンを押してしまったので、慌てて消す。
それがその後のきっかけになることはその時に気づかなかった。

「アオイホノオ」はテレビ放映の時、頭を見逃していて、5話目あたりから見始めた。
後でレンタルで借りようと思ったままだったが、ふとAmazonPrimeを見てみたら、なんと「アオイホノオ」あるじゃん! 

これはラッキー! と1話目をクリック。そんなもの見ている暇がない時に限って見たくなるものである。漫画家とはそういうものなのでしょうがない。

すると、再生中にiPhoneが鳴った。
なんと島本さん本人からの電話だった。
うわー、どうも初めまして。と挨拶するが、頭のイメージは俳優の彼である。
向こうの携帯に履歴が残っていたので、かけてきたらしい。さっきの間違えボタンだ。
ちょっと話していたら、来週東京に行くのだが、オレの仕事場に行ってもいいかと言う。電子書籍の話を聞きたい。というのでスケジュールを睨む。
月曜夜か火曜昼かなー。ということで先生がやってくることに決まった。
あれまー。

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5月11日(水)

煮詰まってくると大変なことになるので、マックファンのネームをアップ。
本ちゃんは18日あたりまでひっぱれるので、内定ゲームの後でいい。問題はその前に来るゲットナビのペンをどこでやるかだ。うんうん唸りながら机に向かうが、まだ見えない。もう時間がなくて焦りまくる。

ヨメが書道教室か、小学校で風邪をもらってきたらしく、ひどい咳で寝込んでいる。
インフルだったらどうしよう。今うつされると大変なことになるので、できるだけ近くによらないようにする。

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5月12日(木)

編集の宮坂さんから相当せっぱ詰まったmailが来る。
もうそろそろ限界であることがわかったので、ページ数を減らす算段に。
ネーム何とか12ページまできたので、今月は18ページくらいにして、もうペン入れに入りましょう。
ということであとは来月になんとかしてもらうことにした。頑張ってくれ来月。
先月、今月と少しずつページ数が減っているが、全部のページ数は決まっているので、来月は40ページを超える量を描かないといけない。借金が雪だるま式に増えていく人の気持ちが少しわかった。
しょうがない。今を超えないと次はないのだ。今日を生き延びることが生きることの全てである。

朝3時半、風呂にぼんやり浸かっていたら、マンガのシチュエーションがイメージで浮かんできた。
山田仁五郎が、小峰達也にプレゼンしている。
本当に学歴偏重はいけないのか?
実力とは何か。
就活のゴールはどこで、人生のゴールはどこか。
ブラック企業はどこが悪いのか。
ああ、そうか。仁五郎が語ればいいんだ。
するするとお話が進み、一気に仁五郎のペースになる。これだ。
すごく面白い!
頑張るのは来月ではなく無意識の自分だった。強いキャラクターというのは大事だなー。風呂から仕事場に戻って一気にネームを書き上げた。よし。

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5月13日(金)

金、土、日の3日で18ページは、楽勝のペースだが、そこにゲットナビの2ページが入ります。
火曜にならないかなー、無理かなー。と思ったら、担当がハワイに取材に行くので、日曜の夜には欲しいです。とメールが来ていた。もう今日やるしかないのでとりかかる。
ゆっくり描くと2日かかるがなんとか7時間でアップ。よし。
続いて内定ゲームのパソコンでの下書きに入る。オレの場合ネームと下書きはかなり変わるので、もう一度ネームを切り直す作業にあたる、これが相当しんどい。
苦労のかいがあって、仁五郎の動きがネームの時より格段によくなった。これがあと3日早かったらなー。
3日早いと出ないんだよなー。
GWも返上してやっても、特に進んだ感じがなかったが、締切間際には一斉に片付く。そんなものである。
さああとは一気にペン入れすればよい。
というところで体に異変が生じた。

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5月14日(土)

恐ろしく体が重い。
ペンを入れようと机に座っても、手があまり動かない。うわなんだろうこれは。どんより眠くて起きていられない。
とりあえず30分仮眠を取るが、ソファに体が沈み込んで動けなくなる。
1時間半後、体をドロの沼から引き起こし、コーヒーを入れてテーブルにあったチョコレートをバリバリ食う。
チョコレート? 
オレがチョコレートを食べたくなるのは、風邪を引いた時だけなのだ。やっばい。
ヨメが寝込んだあれか。息子も鼻水をズルズルさせている。
風邪の自覚症状はないが、体の重さと仕事の進まなさ加減がハンパない。これはかかってしまったかも。
ペンを始めるが、まったくペースに乗れない。これはやばい。相当やばい。
高速道路に乗ったのに時速40キロしか出ない。という感じ。
どうすべえ。
明日日曜。月曜の昼過ぎまで時間があるので、まだ40時間くらいはある。ズルズル続けてもだめなので、横になることにした。
このところ休みなく続けていたので、疲労も溜まっている。
しょうがない、寝るしかない。
5時間寝る。ここに来て今日は7時間も寝ていることになる。
起きると、ダンチュウの色校が来ていて、文字やイラストの直しがあった。2時間ほど直しに集中。体調あまり変わらず。

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5月15日(日)

まだペン入れ2ページ。残り24時間で16ページやらないといけなくなった。これはだめかもしれん。オレのマックスの速度でも追いつかない。
昼ごはんを食べて、午後3時を回る頃、少しずつピッチが上がってきた気がした。5時から6時。お、やっぱりスピードが出ている。
夜になり普段のペースが回復。辛さがどんどん遠のいていく。ペンが走り始めた。
ああ、体が治ってきた。
こんなに違うのかー。健康って大事だなあー。
もしガンになったら告知してもらって、最後はそのネタをマンガにしよう、などと思っていたが、オレには無理かもしれない。
文章打ち込むのだってつらそうなのに、マンガが描けるわけない。手塚先生は亡くなる直前までベッドに紙とペンを持ち込んでいたという話だが、さすがは神様である。手塚先生は辛くなかったのかしら。
などと思いながらペン。もう昨日寝ているので気力十分である。遅れを取り戻すようにペンをガシガシ。

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5月16日(月)

人物のペン午後1時終了。バック処理に入る。なんとか夕方には上がりそうな気配になってきた。すごいハイペース。これがあるからつい引っ張ってしまうのだが。
6時終了を目指してダッシュ。
そこに島本さんからメッセが入る。
「今日大丈夫ですか?」
うわー、すいません! 明日なら大丈夫です。と返事を返す。そうかー、もう月曜かー。締切しか見えてなかったー。

6時10分。原稿アップ。
死ぬかと思ったけど、あがったわー。やばかったわー。
頭から汁が出ていて、テンションが高い。
風呂に入って腐れ神の油を落としてのんびりテレビを見る。
「重版出来」はヨメが1話目を取り逃してしまって、見てなかったが、2話を再生してみた。(マンガは読んでる)
すげえ、漫画家たちが褒めるわけだ。リアリティあるなー。
後半涙ぐんでしまった。くそ、こんなこぐまに泣かされるとは。
作者の松田奈緒子さんたちと馬の肉を食べにいったのは去年だったか。となりに座ってたのにあんまり話さずにモクモクと馬食ってワインを飲んだのだった。あれはうまかったなー。
仕事上がったばかりだというのに、ついワインを1本開けてしまった。死ぬからほどほどにしないとね。

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そんなわけで今週はここまで。
次週、島本先生がやってきたの巻。お楽しみに。

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鈴木みそ

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