見出し画像

スペイン回想記5 パンプローナまで

友人に会いに1泊2日でパンプローナを訪ねることにした。1泊2日しかないので朝一番のAVE(高速鉄道)の席をとった。たしか8時少し前の電車だったと思う。公園を抜ければアトーチャ駅まですぐだと思ってピソを出たけれど、真っ暗でとても通っていけそうにない。冬の日本の朝4時とか5時の暗さだった。それにそもそも朝は公園の門が閉まっていて入ることができなかった。

歩いていっては間に合わないし、どうしようかと考えた結果電動スクーターで向かうことにした。しかし真っ暗で通ったことない道だったので見事に迷子になり、途中でスクーターを乗り捨ててタクシーに乗った。そしたらアトーチャ駅まで5分もかからず到着した。最初からCabifyかUberを呼べばよかった。電動スクーターは明るい時間だけにすることをおすすめする。

出発時間ぎりぎり到着したはいいものの、AVEは手荷物検査があるため10分前にはつかないと間に合わないので、その電車には乗れなかった。がっかりして泣きたい気持ちだったけれど、きっぷも買ってしまったしどうしたものかとひとまずrenfe窓口の向かった。幸いにも乗り遅れたチケットは次の電車に振り替えることができた。次の電車はなんと4時間後だった。新幹線のように次々やってくるわけでないようだ。ピソに戻るか街をブラブラするか決められず時間をつぶそうと思って駅で朝ごはんを食べた。スペインではどこでも搾りたてのオレンジジュースが飲める。こんな簡素な朝食でもオレンジジュースがついているだけで健康になれる気がするから不思議だ。

食べ終わってこの先どうしようか考えているヒターナ(gitana ジプシーの女)が寄ってきた。小銭をくれと言われて財布を出すと財布ごとくれと言われるときいていたので、お金を持ってないからあげられないと話したらすぐに消えていった(事実財布に現金はあまり入れないようにしていたので数ユーロしかなかった)。アトーチャ駅はジプシーが多い。

調べてもまだ美術館はどこも開いていないし、外も明るくなっていたので駅を出てピソに戻ることにした。朝のレティーロは通勤で通り抜けていく人も割と多くて夕方より慌ただしい空気が漂う。時間があったので、散歩がてらレティーロ公園内の図書館によった。小さいけれどきれいな建物で、ここで窓辺の椅子に座ってぼーっと外を眺めたり、本を読んだりするのが好きだった。

前の夜に適当にパッキングしたのでいくつか忘れ物していて、それらを取りに図書館を出た。ピソに戻るとちょうどマリオがピソを出るタイミングだった。こんなに遅く家でるのかと驚いた。私の語学学校は朝九時からでいつも私が一番に家を出ていたのでみんなが何時に家を出ているのか知らなかったのだ。

ピソを出て、再びレティーロ公園を抜ける。アトーチャ駅に行く途中に屋外の古本屋街があり、水色で可愛らしい外観で気になっていたので寄ってみた。パンプローナまで3時間かかるので旅のお供の本を買うことにした。日本ではスペイン語の本は高くてあまり買えないが、安く買えたことが嬉しくて、本を片手にルンルンしながら駅まで歩いた。

昼食がまだったのでアト―チャ駅でボガディーヨを買った。renfeは電車によってホーム階が違うので電光掲示板で確認する必要があり、緑の広場から見える二階の掲示板を見て表示が出るのを待つ。この日のパンプローナは一階のPlanta baja発だった。持ち物検査を済ませて待合室に入ったが、30分ほど遅れて電車が到着した。つまり出発も30分ほど遅れた。なんのアナウンスもなくただ遅れるので不安になるが、ここはスペインだと思えば平然としていられる。日本の外で電車の時間が正確であることを期待するのは間違いだ。特に予定がなければのんびり構えていればよい。

車内販売で買ったカフェコンレチェを飲みながらボカディーヨを食べた。このカフェコンレチェのレチェ(牛乳)はコーヒーフレッシュのような感じだったので駅で本物の牛乳のカフェコンレチェを買ってくればよかったなと少し後悔したが車内販売を利用してみたかったのでまあよし。砂糖もミルクも日本の2〜3倍ついてくる。

車窓からみえる風景は驚くほど殺風景で、延々と乾いた大地が続く。民家が見えることはほとんどない。駅のあるところにしか街がないようだった。本当にみるものがないので古本屋で買った本を読んで過ごした。

隣の席のお姉さんはマドリードを出てからパンプローナまでずっと電話で話していた。よく3時間も話すことがあるものだも関心する。スペインに来て会話で困ったのはスペイン語よりも自分が沈黙に慣れているということだった。彼らは文字通り休むことなく話す。会話の中に沈黙が生まれることはほとんどない。どうやって話題を見つけているのかいまでも謎だ。

当初(朝イチで出るつもりだった)予定よりだいぶ遅れて、15時頃パンプローナに到着した。北スペインでも日差しはしっかりスペインの強い日差しで、暑いくらいだった。パンプローナはバスク地方に隣接しているので標識などいろんなところにバスク語も併記されている。マドリードとは違う街だと思うとなんだか緊張した。タクシーに乗ると運転手さん(taxista)が私の緊張を察したのか、「どこからきたのか」「パンプローナははじめてか」「いつまでいるのか」「英語は話せるか」とかいろいろ話しかけてくれた。旧市街の前を通るとここは古い地区で歴史があるんだとか訛りのある英語で説明してくれた。緊張が解けてきてこちらからスペイン語で話してみると、「パンプローナは牛祭りで有名だけれど、祭りの期間は観光客が多すぎて外に出たくないよ。でも一番の稼ぎどきだから仕方なく働くけどね。」「パンプローナにも桜があるんだ。桜は日本の花だろう?山口から来たんだ」ともっとパンプローナのことを教えてくれた。会話が弾んで楽しかった。

語学学校ではAprender en la calle es más importante(外・通りで勉強するのが一番大事)と言われていたけれど、マドリードではむずかしかった。パンプローナのこのタクシスタのおかけでaprender en la calleとはこういうことかと学んだ。

旧市街を抜けてホステルに到着し、チェックインした。ロシア人のような訛りの男性が受け付けしていて、パンプローナの地図をくれた。木曜日はフエビンチョ(juevincho)というピンチョスが安くなる日で、夜の街に人が出てきていい雰囲気になるそうだ。散策が楽しみになる。支払いを済ませ、鍵を受け取り、ホステルの案内を受ける。共有スペースは広々としており、きれいなテラスもついていて気持ちがいいところだった。

友人からもう待ち合わせ場所についたと連絡を受けて、荷物をベッドに放って、急いで向かった。

http://www.booking.com/Share-nlNcf0

よろしければサポートお願いします🙇