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6-4. まじり、ほどけ、またまじり合う 【ユクスキュル / 大槻香奈考】

ひとつのたとえ話をしましょう。


陰陽模様の描かれたコマがあるとします。二色に塗り分けられた模様のどちらかがずっといいこちゃんたちのようなキャラクター的な作品、どちらかが人間ポートレートもやネオ少女ポートレートなどを指すこととします。

コマの円錐部分の面も、軸に沿っていくつかに分割され、塗り分けられているとしましょう。面積比は同じで、それぞれが写真作品であったり山作品や家作品だったりと、各シリーズ作品が割り当てられています。


コマを回すと継時混色(回転混色)が起きます。この陰陽模様の継時混色により現れた色を、曖昧輪郭線画法による作品群と仮定しましょう。もちろん円錐部分の面でも混色が起きています。
回転の力が弱まればコマは止まり、またそれぞれの色面が現れます。コマの軸は、ことばやステートメントとしましょう。


この回ったり止まったりするコマのイメージが、私が大槻さんの作品から感じるイメージです。


様々な要素を持った「個」のコマであり、それぞれの要素(色)が混ざり合ったり解(ほど)けたりを繰り返すものの完全なる混色は起きず、あくまで要素は独立しています。

しかし高速で回っている時は、見た目としては蛹内部のドロドロのように「すっかり溶けてしまったようにも見える」。そんな感じです。

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あえてコマで例えたのは、回した時に 2 つの要素が混じり合う様子が「渦」のように見えるからです。渦は、母なるものの象徴でもあります。大槻さんの作品のことを考察してみると、(私自身の知識不足もあり)どうしても「母なるもの」に行き着いてしまいます。

その作品群の中でも父性的なイメージを持つのが、ゆめしかちゃんのような気がしています。彼女は眠りの世界に囚われているように見えて、実際には眠りの世界を「自分で選び」現実を「切り離して」いるように見えるからです。

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