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7. まとめ / 7-1. 蝶になることは果たしてゴールなのか 【ユクスキュル / 大槻香奈考】

7. まとめ

それでは、『生物から見た世界』と大槻香奈作品について、私なりの結論をまとめようと思います。

7-1. 蝶になることは果たしてゴールなのか

生物(昆虫)としての蝶の場合、蛹になるというのは蝶になるための(ひいては死に向かう)カウントダウンと言えます。
しかし人間の場合はどうでしょう。蛹になったら△日で羽化して蝶になりますよと言い切ることはで
きませんし、むしろ蛹になることこそが始まりのように思います。


一見受動的に目覚めを待っているように思われる蛹は、実際には内部で全ての成分の溶解するという「蝶になるための能動的な変化」が起きているといいます。つまり人間にとっての蛹化は、「これまでと異なる存在になるための」スタートラインに立つことと言えるのではないでしょうか。


これは大変に厳しい試練であり、身体も精神も全てがないまぜになった混沌とした状態がどの程度続くかも予測ができません。場合によってはその混沌に耐えきれなくなり、青虫に戻りたくなるかもしれません。

引きこもりやニートなどの社会現象は、羽化時の不安やつまづきが現実に見える形として現れた SOS の一種とも考えられるように思います。

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