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Dr.sevenの構築論 疾走ビショップ編

 こんにちはDr.sevenことmissaです。今回はナーフ必至の疾走ビショップについて書きました。構築論ということで、なんとなく学生時代読んだ教科書のノリで書いてみました。各カードの枚数関係が伝わればと思います。

はじめに

  『疾走ビショップ』は現環境において最強のデッキである。それ故に多くの解説記事が執筆され世に出されている。しかしながら、デッキ構築の指針について書かれた物はそう多く無いと見受けられた。多くのプレイヤーにとって指針無きデッキ構築は、時間的リソースだけでなく精神的リソースを浪費する行為である。『疾走ビショップ』が避けて通れない道となった現環境において、その構築指針を示す必要があると思い本稿の執筆に至った。

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  本稿は『疾走ビショップ』におけるカードの枚数比に焦点を当てたものである。そのため各カードに対する所感は、既に多くの記事で述べられているということもあり、補足として文末に載せる程度に留めてある。また環境諸デッキに対するマリガンやゲームプランといったプレイ面に関する事柄は、本稿においては蛇足になると判断し最小限まで割愛させていただいた。

 また本稿においての『序盤』『中盤』『終盤』はそれぞれ『進化可能前の数ターン』『進化可能後から進化権が切れる数ターン』『進化権が切れてからの数ターン』を指している。ご理解いただきたい。

確定枠

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 私は『疾走ビショップ』において以上の30枚を確定枠として考えている。特別な理由の元《フェザーフォルクパニッシャー》、《飢餓の輝き》、《荒野の休息》が減らされる可能性もあるが、それは極めて例外的な構築であると考えている。

 本稿ではこれらの確定枠でない、残りの10枚の選定について取り扱いたいと思う。未確定枠にただ単純に入れたい(若しくは環境に合った)10枚を入れて良い訳ではない。各カードの性質を理解してその枚数比を守らなければデッキが機能不全になってしまうのである。

終盤に引きたくないカード 最大8枚

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  『疾走ビショップ』がロングゲームプランを取ることが出来るのはら周知の事実であろう。そしてロングゲームをする上での構築上の一番の問題は「序盤用カードの枚数」である。長いゲームをすると言うことはデッキから多くのカードを引く、つまりは序盤用のカードを入れ過ぎてはいけない。しかし反対に序盤用カードが少な過ぎると序盤で盤面を制圧され、そのまま負けてしまう。

  《ムニャール登場》と《エンジェルラット》は序盤を支えるカードでありながら終盤以降もそのポテンシャルを発揮できるカードであるが、この2種以外の序盤用カード(上画像参照)は中盤を過ぎるとその価値を発揮し難い。これらの終盤に引きたくないカードを『疾走ビショップ』というデッキが許容できる枚数は最大8枚である。

 《フェザーフォルクパニッシャー》について

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 《フェザーフォルクパニッシャー》(以下《フォルク》)を終盤に引きたくないカード群に入れることに違和を感じる方もいるだろう。これは正しい感覚であり、私もこのカードは全レンジで強力なカードであると考えている。しかしながら《フォルク》は単体で機能することができないカードであり《ムニャール登場》、《エンジェルラット》と比べると1ランク落ちると言わざる得ないだろう。

 とは言ったものの《フォルク》は余りにも強力な序盤カードである。よって基本的には最大8枚の枠の内、3枚をこのカードが占めることになる。

 《フォルク》以外のカード

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 《デスティニーウィングナイト》(以下《ウィングナイト》)、《荒野の案内人》、《漆黒の法典》のバランスはどうなるだろうか。まず、8枚の上限までこの枠を取ることが出来るのは《荒野の案内人》が複数枚採用されている場合に限る。1枚目の《荒野の案内人》がもたらす《ナテラの大樹》が後に手札1枚に変換されるからだ。

 「『疾走ビショップ』というデッキは終盤に引きたくないカードを7枚までしか許容できないが、1枚目がドローに置き換わる《荒野の案内人》を複数枚採用する時に限り8枚目が許容される」と言い換えることもできる。

 よって《ウィングナイト》と《漆黒の法典》のみを採用する場合はこの枠を最大7枚までにすることが望ましい。

  最も、限界枚数までこの枠にカードを割く必要はない。あくまで『疾走ビショップ』が機能不全に陥らないための限度枚数であり、これらの基準より少ない枚数であることに問題はない。

2種類の進化権を要するカード 

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『疾走ビショップ』がロングゲームを視野に入れている以上、進化権を要するカードの枚数もまた数を絞る必要がある。またこれらのカードは進化権の依存度によってさらに2種類に分けられる。

進化権を必要とするカード(依存度:高) 最大3枚

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 《ミュースプリンセス・ミルフィ》(以下《ミルフィ》)は進化権を用いなくても強力なカードであるが、進化権を用いるとカードパワーが飛躍的に上昇する。もちろんこのカードに進化権を残すために《荒野の案内人》や《聖弓の使い手・クルト》を弱く使うことは正しいプレイでない場合が多い。よって《ミルフィ》に進化権を残すために構築段階で他の進化権を必要とするカードを減らすのが良いアプローチであるだろう。

 さて結論である。《ミルフィ》以外の進化権を必要とするフォロワーの合計は最大3枚である。《荒野の案内人》3枚でも良いし《聖弓の使い手・クルト》2枚と《荒野の案内人》1枚でも良い。前章と同様必ずしも最大枚数である3枚を採用する必要もないが、個人的には1枚以下の採用は進化権が勿体ない印象を受ける。

進化権があればプレイし易いカード(依存度:低) 最大2枚

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 これらのカード群の表現方法は最適ではないかもしれない。所謂単純なヴァリューカード群で、現代Shadowverseが盤面を取り合うゲームである以上中盤以降これらのカードをプレイするには、多くの場合に軽量除去か進化権を要する。特に現環境では進化権を用いずにこれらのカードの2枚目をプレイすることは難しい。

 これらのカード群の限度枚数は最大2枚である。通常の構築では3枚はプレイし辛く、多めに除去を取る等の工夫もしくはスタッツが評価される環境が求められる。

重いコストのカード 最大4枚

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 その他自由枠であるが、『疾走ビショップ』の一強が知れ渡った現環境ではミラー対策としてコストが高くカードヴァリューの高いカードが選ばれる傾向にある。具体的には《母なる君》と《シヴァ》である。当然ながらこれらコストの大きいカードも採用出来る枚数に上限がある。

 私が定めるこれらの最大枚数は4枚であるが、《シヴァ》のカードの性質上基本的にはこの制限を超えることは無いだろう。もしも《シヴァ》の2枚目を採用する場合や新たな高コストカードを採用する場合は留意してほしい。

《母なる君》の枚数について 3枚入れる場合は注意

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 「《母なる君》は実質8コストである」とはよく言ったものである。『疾走ビショップ』においてこのカードの復活能力が《ミルフィ》のエンハンス能力の後まで起動しないゲームは極めて多い。そして多くのマッチアップに於いて『母なる君』は復活能力を持たないとその価値を発揮しない。よって『母なる君』は8コスト相当、少なくとも8ターン目までは強く使えないと考えるべきである。気軽に3枚入れれるカードではない。

 しかし例外もある。ことミラーマッチに於いて《母なる君》は2回攻撃さえ持てればその価値を発揮する。例えばミラーマッチが多発するであろうBO1トーナメントであれば何の憂いもなく《母なる君》を3枚採用できるだろう。

 もう一つの例外は《荒野の案内人》に進化を切っている場合だ。この場合ナテラカウントは飛躍的に進み、7ターン目には《母なる君》に復活能力を持たせることができる。BO3のような『疾走ビショップ』ミラー以外のマッチが多いシーンで《母なる君》を3枚採用する場合は、事故を減らすため《荒野の案内人》も採用することが望ましい

その他

テンポを取り戻すカード 最低4枚

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 『疾走ビショップ』が最強のデッキとは言え、常に自分が有利な訳ではない。当然ながらテンポを失い押されている状況も多く発生する。その問題の解決のため、これらのカード群を最低4枚は採用したい。

 尚『ウィングナイト』がテンポ損を取り戻せる状況は他のカードと比べて多くない。よってこのカードは0.5枚カウントとすべきである。

 また、テンポを取り戻すカードという観点では『母なる君』の2枚目は多くの状況で間に合っていない。よってこのカードの2枚目以降はカウントに加えてはいけない

《聖波動のスフィンクス》について 《聖弓の使い手・クルト》が必須

キャプチャ9

 《黄金都市》と《聖波動のスフィンクス》を結晶でプレイすると大きなテンポロスが生じる。この大きなテンポロスを取り戻せるカードは《聖弓の使い手・クルト》のみである。よって《聖波動のスフィンクス》を採用する場合、結晶でプレイできる状況を多く作るため《聖弓の使い手・クルト》を3枚採用すべきである。

まとめ、構築例

 ここまでの解説をまとめよう。『疾走ビショップ』の自由枠10枚で守らなければならないルールは以下の7つだ。

1.終盤に引きたくないカードは最大8枚
2.進化権を必要とするカードは《ミルフィ》を除くと最大3枚
3.進化権があればプレイしやすいカードは最大2枚
4.コストの大きいカードは最大4枚 
5.フォーマットによって《母なる君》の枚数には注意
6.テンポを取り戻すカードを最低4枚は採用
7.《聖波動のスフィンクス》には《聖弓の使い手・クルト》が必須

それでは最後に構築例を挙げて解説していこう。

『リノセウス』と『疾走ビショップ』ミラーを重視

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BO3用の構築その1。環境に対してバランスよくカードを選んだ構築。今後『リノセウス』のシェアが一層拡大するならば《聖弓の使い手・クルト》は別のカードになるやもしれない。

1.《荒野の案内人》を採用してないので7枚
2.《聖弓の使い手・クルト》が2枚
3.《ワンダーコック》と《シヴァ》が合わせて2枚
4.重いカードは3枚 
5.《母なる君》の枚数は2枚
6.テンポを取り戻すカードは5.5枚相当

『疾走ビショップ』ミラーを重視

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BO3用の構築その2。ミラーマッチを意識した《母なる君》3枚と《荒野の案内人》3枚。バランス確保のため《フォルク》を減らしている。《フォルク》を増やすなら《荒野の案内人》が減るので、《漆黒の法典》を《聖弓の使い手・クルト》に変えても良い。

1.終盤に引きたくないカードは最大枚数の8枚
2.進化権を必要とするカードは《荒野の案内人》の3枚
3.《ワンダーコック》と《シヴァ》が合わせて2枚
4.コストの大きいカードは最大枚数の4枚 
5.《母なる君》3枚の保険に《荒野の案内人》を3枚
6.テンポを取り戻すカードは4枚相当

『疾走ビショップ』ミラーを軽視

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BO7や1BAN用の構築。両方プレイしたことがないので机上論である。もしかしたら『リノセウス』へのガードも下げた方が良いのかも知れない。

1.終盤に引きたくないカードは6枚
2.《聖弓の使い手・クルト》が3枚
3.《ワンダーコック》の2枚
6.テンポを取り戻すカードは4.5枚相当
7.《聖弓の使い手・クルト》3なので1枚採用

特殊構築

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BO3用の構築その3。《母なる君》に関する特殊構築。《聖波動のスフィンクス》3枚の構築が自然系のデッキに強いので《母なる君》を《荒野の案内人》でバックアップする必要がない。『リノセウス』へのガードが少し低いので現環境は不向き。

1.終盤に引きたくないカードは《フォルク》のみ
2.進化権を必要とするカードは《ミルフィ》を除くと最大3枚
3.進化権があればプレイしやすいカードは《シヴァ》1枚
4.コストの大きいカードは4枚 
5.特殊構築
6.テンポを取り戻すカードは4枚相当
7.《聖波動のスフィンクス》3《聖弓の使い手・クルト》3

おわりに

 いかがだっただろうか。以上がこの一ヵ月弱の間に私が築いた『疾走ビショップ』の構築論である。各カードの役割と定めた限度枚数の理由が伝わっていれば幸いである。

 もちろんこの構築論が100%正解であるはずがない。いずれ、もしかしたら直ぐにでも、より正しいものが出てくるであろう。願わくばそれが本稿で『疾走ビショップ』を学んだプレイヤーから出てくることを望んでいる。ご一読くださりありがとうございました。

missa(@missa_sv)


補足:選択枠カードの所感

デスティニーウィングナイト

キャプチャ

 デッキ的には《黄金都市》、《ワンダーコック》のテンポ損を取り戻すカード。環境的には『リノセウス』に対して強力、『疾走ビショップ』ミラーで有力なカード。ミラーで有力であるもののロングゲームになりやすいので《荒野の案内人》のほうが強力。

荒野の案内人

キャプチャ2

 デッキ的には2ターン目にフォロワーを出せる可能性を上げるカード。《母なる君》の実質コストを下げうる。環境的には『疾走ビショップ』ミラーで《ウィングナイト》より強力。終盤その価値を著しく落とすカード。

漆黒の法典

キャプチャ3

 デッキ的には除去、ライフカットと2アクション。環境的には《ネクロマンサー》に有力、《疾走ビショップ》ミラーでの早い《ウィングナイト》に対処できる。カードパワーは低い。

ワンダーコック

キャプチャ4

 追加のリソースカード。持ってくるカードが他の自然デッキと比べて強い。1ゲームで2回プレイは厳しいので3枚は多い印象。《荒野の案内人》を持ってきたくないのでバランスを取りたい。

飢餓の輝き(3枚目)

キャプチャ5

打点を出すカードで《シヴァ》が優先される印象。《シヴァ》を立てにくい構築か4枚目として採用するか。または今後3マナ4点が評価されるか。

聖弓の使い手・クルト

キャプチャ6

 デッキ的には《黄金都市》、《ワンダーコック》のテンポ損を取り戻すカード。中盤で《ミュースプリンセス・ミルフィ》を温存できる。環境的には『自然エルフ・ネクロ』に強く『リノセウス』に弱い。ミラーは2枚目以降は弱い。

母なる君

キャプチャ7

 デッキ的にはテンポを取り戻すカード。『疾走ビショップ』ミラーを考えなければ後半の微不利を捲るための採用になる。環境的にはミラーで劇的なカード。ケアされても強い。

シヴァ

キャプチャ8

 デッキ的には追加の打点。2番目の効果で《母なる君》のケアができたりする。環境的には『リノセウス』と『疾走ビショップ』ミラーに強力なカード。1枚目と2枚目の価値に大きな乖離があるカード。2枚目が採用されるのは6/5/6守護が評価された時のみか。

聖波動のスフィンクス

キャプチャ9

 デッキ的には偏差の激しいカード。環境的には『自然ネクロ』に強い1枚。あとドラゴンにも強い。ミラーマッチではリスクが大きいが実はリターンも大きい。このカードに《エクセスプリースト》を使わせて「先5アニエス進化フェイス」等のビッグムーブを仕掛けるのは面白い。運用には《聖弓の使い手・クルト》の多投が必須。


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