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親友の実家を売った話。「実家を売る」とはどういうことか。

高校時代の親友がお母さんと同居することになり、お母さんが住んでいた実家が空き家になりました。今回は、その友達の実家の売却をお手伝いした時の話です。

親友が実家の売却を決意するまで

まず、同居するにあたり親友の家をリフォーム。 お母さんのお部屋を作りました。玄関やアプローチ、キッチンやトイレもお母さんが使いやすいようにリフォームしました。 完成したときは、親友もお母さんもとても喜んでくれて、新しい生活の始まりに私が役に立てたようで嬉しかったです!

そして次はいよいよ空き家になった実家をどうするかを考えることに。
高校時代から知っているその実家を見に行くと、当 たり前だけど誰もいなくて、ガランとしていました。
空いたままには出来ないね、と話し合い、売るか貸すか、という選択になりました。

慣れ親しんだ実家を売るのは心苦しいけど、貸すとなると管理がいるし あとあと子供たちにも、手間をかけるね、という気持ちから、売る、という決断を下しました。

「みっちゃん のとこで仲介してくれる?」と言ってくれた親友。(私の高校の時のあだ名です)
「もちろん!」 親友の実家の最後を任せてもらえた責任感とありがたさに即答しました。

近隣の相場から売却額を提示したところ、お母さんは「 ダメでもいいからもう少し高く売り出したいな」と。

売る方は高く売りたい、買う方は安く買いたい。そんなことは当たり前。
では、と、私は提示した金額から200万アップで売り出すことにしました。

売り出し、問い合わせ、交渉・・・

レインズ(不動産会社だけが見れる物件情報サイト)に載せて、反響を見ました。問い合わせはあるもののなかなかその先に進みません。
進まないまま1か月が過ぎ、これでは、と思い近くの不動産屋さんとタイアップして、内覧会をすることにし、新聞の折り込みチラシも入れました。

その甲斐あってお客さんが何組か来場され、いろんな問い合わせや値下げ交渉をいただきました。
値下げ交渉は先方から、「こんな不具合があるから値下げしてくれないか」と言ったものが多く、
私は思い入れの深い親友の実家をけなされているようで、少し嫌な気分になりましたが、
買ってもらえることが大事なのでいろんな問い合わせに対応させていただきました。

ついに見つかった理想の買い手

そしていよいよ、一人の男性から「ぜひ買いたい!ただ、少しリフォームしたいので値段を下げてほしい」と申込みをいただきました。

先方も不動産屋さんを通してらっしゃったのでこの時点ではご本人には会っていませんでした。
親友に話をすると、「リフォームするための値下げなら」と承諾してくれました。
いろんな手続きを踏んで、いよいよ売買の日。初めて先方の男性に会いました。
マジメそうな若い男性。聞くと結婚するにあたり新居を探していたと。
親友は初めての売買に緊張した面持ちで書類にサインしたり、手付金を数えたりしていました。
いよいよ手続きが終わった最後の時です。
先方の男性が「大切に使わせていただきます。」と言ってくれました。

その瞬間、親友は緊張から安堵と嬉しさの混じった顔になりました。
そして入院中で売買に立ち会えなかったお母さんにすぐこのことを伝えたい!と言って帰って行きました。
その日の夜、親友から「お母さんが「いい人に売ってくれたね。ほんまにありがとう」ってゆうてたよ。ほんまにいろいろありがとう」とラインがきました。

「実家を売る」とはどういうことか

その時に気づきました。売る方が少しでも高く売りたいのは、お金だけじゃない。その家はその家族が育った思い出が詰まっていて、楽しい時を提供してくれた、それが付加価値と感じるから建物の相場額では安い、と感じるんだ。

家は、特に実家はただの建物(箱)ではない、売る人にとっては人生や思い出そのものなのだ、お金さえ入ればいい、そんなものではないのだ、と改めて感じる出来事でした。

私に大切な実家の売買を依頼してくれた親友に、そして、「大切に使います」と言ってくれた買主さんに心から感謝します。
本当にありがとう。


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