J1で残留するにはどのくらいのお金が必要なのかーJリーグのコスパの話,答え合わせ編ー【追記アリ】

毎年ある時期にだけ話題になるJリーグチームの「コスパ」。
自分のjupyterの練習がてらに、ちょっと図を描いてみたので、そのお話。
※図を描いたのはだいぶ前。笑
※pythonがあまり得意ではないので、難しい解析はしていません。(言い訳
※少し長い文章になりました。ごめんなさい。(._.)

*****2019.02.10.追記*****
これを読んだ友人がminor revisionで査読を返してきたので、加筆修正します。笑
加筆箇所はアスタリスクで示します。
5000字超えそうなのだが(加筆前の感想

1.Introduction

お金がかからないに越したことはないが、勝てなくなっては元も子もない。
おそらく、サッカーに関わる全ての…いや、サッカー選手、指導者以外の人は思っているだろう。笑
毎年7月ごろ、前年度の事業規模ランキングが発表されます。

こんな感じ(2018年のニュース)

ここでは例として2017シーズンを取り上げますが、2017年の7月2016年度のお金の話が発表されることになります。
このタイミングでいつもコスパの話になるのだけど、もう枕詞のように「前年のお金の話で、今年の結果を考えることは出来ない」って注釈がつくんですよね。

「じゃあ答えが出てからやればいいじゃん!」

つまり、2018年に2017年度のお金の話が出てから、2017シーズンを振り返れば、答え合わせができるじゃん!というモチベーションです。
付け加えると、毎年毎年、言いたいことは分からなくもないけど、それは統計として正しいの?という計算や、持論を展開する人もいます。
*自分も統計のスペシャリストではないので、絶対の自信があるとは言わない…という保険をかけておく。笑
*おめえそれ間違ってるんじゃね?という意見は遠慮なくコメントして欲しいです(._.)

そこで、自分のプログラムの練習も兼ねて、2017シーズンの成績とお金の話を元に、どのクラブが最もコスパが良かったんだ?を確認することが本研究…本記事…の目的です。

2.Data and Method

今回は以下の3つのデータを使用しました。

Ⅰ:J1リーグ2017シーズン成績
明治安田生命J1リーグ 年間 順位表(2017/サッカー):Jリーグ.jp
Ⅱ:J1クラブのチーム人件費
2016年度 J1 クラブ決算一覧 - Jリーグ
2017年度 J1 クラブ決算一覧 - Jリーグ

Ⅰは、まだ記憶に新しいであろう、川崎フロンターレがJ1リーグ初優勝をした明治安田生命J1リーグ2017シーズンの成績。
Ⅱは、Jリーグが発表しているクラブ決算一覧ですが、2017年で知ることの出来た2016年度のデータAと、2018年で知ることの出来た2017年度のデータBを使用しました。
本来であれば、ⅠとⅡ-Bだけあれば目的は達成できるのだけど、まぁせっかくなんだから「いつも話題になる時」に得られるデータⅡ-Aでもやってみる。笑

ちなみに巷ではJ1からJ3までの通し順位で解析されていたりもするが、今回はJ1リーグの勝ち点が成績とみなして解析した。
というのもカテゴリーがまたがるゲームはリーグ戦では皆無であるため、通しの順位の正当性が疑問であるからため。
(J1の最下位が、J2の最上位よりも同じ土俵で上であるという証明は出来ないため)

これらのデータを、mac book air上にmacportsを介してインストールしたiPythonで解析しました。
これ以上の解析手法は省略。笑

3.Results

はじめにパラメータ、条件設定とそれらの違いによる結果の違いについて簡単に触れておく。
まず、どの数字をコストとするかはいろいろ考え方があると思うのだが、営業費用(支出の総額)チーム人件費の2つの場合を仮定…ほんの少し変わりました
次に、2016年と2017年の違いだが…全チーム総じて2017年の方が事業規模が大きくなっているものの、drasticな差はありませんでした(ほんの少し変わりましたの言い換え。笑)。
そのため、「まぁせっかくなんだから「いつも話題になる時」に得られるデータⅡ-Aでもやってみる」なんて書いているあるけど、ほとんど意味はない。(けど、やったのは見せるからあああああ!!!)

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そして、今回のパラメータのうち、お金は最小で0円から理論上無限大に増やすことが出来るが、勝ち点は最小で0ptから最大で102pt(3pt×34試合)までしか獲得できない。
無限大を取り得るパラメータと、取る値の範囲があるパラメータを比較して用いるのは厳密に言うと何らかの処理をする必要がある。
しかし、現実問題102ptを取るチームは出てこない(つまりいくらお金を積んでも全勝するチームは出てこない)という仮定をして、現実的な範囲でお金をかけた分だけ獲得できる勝ち点は増えるという前提で話を進めます。
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さて、ここでⅡ-B2017年度決算を使用してまとめた表を示してパラメータの説明をします。

Team:チーム名
Cost:営業費用(単位:億円)
Salaries:チーム人件費(単位:億円)
Rank:2017シーズン勝ち点順位(得失点差は考慮していない)
Point:勝ち点

Point/Cost/Million:営業費用1億円あたりに獲得した勝ち点
Deviation,PCM:偏差値
Point/Salaries/Million:チーム人件費1億円あたりに獲得した勝ち点
Deviation,PSM:偏差値
※太字のパラメータは値が不変
※細字のパラメータは2016年度決算と2017年度決算で値が変わる

今回のコスパの定義は

営業費用1億円あたりに獲得した勝ち点(PCM)
チーム人件費1億円あたりに獲得した勝ち点(PSM)

の値が大きいチームとしました。
さてやっと、2017シーズンコスパランクの発表。笑

まずは、PCMで見ると

順位:チーム名:PCM***:2016年データでの順位とPCM
01:甲府**:1.894612 :03位2.134757
02:柏***:1.802326 :01位2.190813
03:札幌**:1.60149    :02位2.173913(J2)
04:川崎**:1.522199  :05位1.83533
05:仙台**:1.517395  :07位1.688633
06:C大阪*:1.484798 :04位2.111968(J2)
07:磐田**:1.467611  :06位1.777505
08:鳥栖**:1.406764 :08位1.687612
09:鹿島**:1.341532 :09位1.492228
10:横浜FM:1.239756 :10位1.256388
11:広島**:0.95986  :13位0.960699
12:新潟**:0.941493 :14位0.946266
13:FC東京:0.908884 :15位0.899483
14:清水**:0.86558  :12位1.020408(J2)
15:G大阪*:0.849299 :16位0.880787
16:神戸**:0.824433 :11位1.150929
17:大宮**:0.680272 :17位0.782718
18:浦和**:0.660734 :18位0.762527
合計:リーグ平均1.155318567:1.326364036

2016年と2017年でdrasticに結果が変わってはいないが、神戸が11位から16位に大きくランクダウンしている。

そしてこの結果を見て分かるのが、甲府はコスパは良いが降格している、ということが。
2017年15位で残留した広島の勝ち点は33pt。
シンプルに考えると、この勝ち点を取るためには2017年度決算で約29億(2016年度決算で約24億の営業費用が必要だったことになります。
2017年度決算でこの額を超えているのは、鹿島・浦和・「大宮」・柏・FC東京・川崎・横浜FM・「新潟」・清水・磐田・G大阪・C大阪・神戸・広島・鳥栖のなんと15チームで、そのほかの残留クラブはお金+αを積み上げて残留したことが推測できる。
いや、残りの3チーム(札幌・仙台・甲府)がどれだけ足を引っ張っていて、そのうちの札幌と仙台がすごいのか。

次には、PSMで見ると

順位:チーム名:PSM***:2016年データでの順位とPSM
01:磐田**:3.734707 :05位4.208999
02:甲府**:3.624009 :03位4.347826
03:札幌**:3.565506 :01位6.116643(J2)
04:仙台**:3.519313  :08位3.454086
05:川崎**:3.078239 :02位4.382228
06:鹿島**:3.02267   :06位3.732504
07:横浜FM:2.785647 :10位3.001017
08:C大阪*:2.699229 :04位4.216867(J2)
09:柏***:2.686308 :07位3.536794
10:鳥栖**:2.474987  :09位3.184282
11:新潟**:2.281989  :13位2.295082
12:広島**:2.059925 :16位2.12492
13:清水**:2.02381  :11位2.308215(J2)
14:FC東京:1.99005  :17位1.975309
15:G大阪*:1.943942  :14位2.263158
16:浦和**:1.853253  :16位2.057959
17:神戸**:1.417526  :15位2.12766
18:大宮**:1.395089 :18位1.771793
合計:リーグ平均2.452260723:2.986287815

劇的には変わりませんね。
ただ磐田がPCM2017で7位が、PSM2017では1位にジャンプアップ。
大宮が変わらずコスパが悪いことに。
コスパが悪く、降格もした…踏んだり蹴ったりですね。涙

先程と同じく2017年15位で残留した広島の勝ち点は33ptを取るためには計算をしてみると、2017年度決算で約13億(2016年度決算で約11億のチーム人件費が必要だったことになる。
2017年度決算でこの額を超えているのは、鹿島・浦和・「大宮」・柏・FC東京・川崎・横浜FM・清水・磐田・G大阪・C大阪・神戸・広島・鳥栖のなな、なんと14チーム。
新潟と甲府は降格したので、残留した札幌と仙台はやっぱりお金+αを積み上げて残留したことが推測できる。

最後にcost2016(左上)、cost2017(右上)、salary2016(左下)、salary2017(右下)と、2017年シーズンの勝ち点の散布図を示す。
いずれも左上がコスパが良く右下がコスパが悪い

浦和は飛び抜けてますねえ。そして川崎鹿島はかなり似ています。
またどの図も、結構明確に降格3チームを分ける線は引けそうですね。
やっぱり、お金は成績をある程度を説明することを示唆しています。
そしてチームの戦力をより直接的に示す人件費(salary)の方が、成績と相関が良い気もします。
と思って相関係数を求めると、営業費用と勝ち点は0.424、人件費と勝ち点は0.529でした。
やっぱり大事、人件費!

4.Conclusions

まず言えるのは、

札幌と仙台は超頑張った!
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磐田は人件費の使い方が上手い!
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ということ。笑
そして降格チームについて触れると

甲府は降格しちゃったけどコスパが良い!
→お金があれば降格できたかも
大宮はお金の使い方が良くないかも…
新潟は…悪くはないけど良くもない

さらに

浦和G大阪神戸のお金の力はすごい

2018シーズンがどうだったのか、2019シーズンがどうなるのかは当然分かりません。
しかし、このデータからは、J1で残留するには30億の営業費用をかけて、そのうち15億を人件費に回す必要があることが言えます。
そして、何はともあれ相関係数も大きい(少なくとも僕の分野ではあまり見ない大きさ。笑)ので

J1で勝つためにはお金、大事!

他にたくさんありますが、こういう数字は見ていて飽きませんね(職業病

全角半角が入り混じったり、ですますであるが混ざったり、もう読みにくい文章ではありますが、とりあえずアップするのが大事。(言い訳
必要があれば加筆、修正します。
また、他のデータもいろいろいじってみます。時間を作って。

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