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別冊マスター〜回想録〜vol.1

魔性の味

仕事柄
よく道具街に来る

ペナントを引き継いでからというもの、
事あるごとに、
物を揃えに通っている

道具街の横路地に
とある喫茶店がある

とにかくなんでもいいから
なんらかの商売のヒントを得たくて
よくぶらぶら道具街を歩いた

歩きに歩き
疲れたところ

ちょうど良いところに
この喫茶店はある

昭和をそのまま残した店内には
ミュージックも流れていない

豆を挽く音
湯が沸く音
コーヒーを淹れる音

いつきても変わらない

頭が空っぽになって、
なんか別に上手くやろうとしなくてもいいか。
という気になる。

どこかペナントに内装が似ている。
そこで妙に腹落ちする。

カップがかわいい
コップもいじらしい

なんなのこの感じ

マスターと話すと
70年続いているのだとか

あと5年ぐらいかな
とかいって笑っている

それじゃ困りますよと返すと
マスターは
遠くを見て笑っている



なんなのだ、この感じは

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