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映画ビジネスの基礎固め。|mofi 203号 編集後記

今週のコラムは、みなさんが普段行く映画館に払うチケット代がどのように作品に戻っていくか、ざっくりと語ってみました。

この映画興行の話は、「中の人」からすると当たり前のように扱われて、ことさら取り上げられることもありません。しかし、映画を語ったり、観たり、作ったりするうえでは、興行収入という指標は切っても切り離せない関係なのです。だから、note の連載の早い段階で押さえておきたいと思い、執筆にいたりました。

映画は芸術でありながらビジネスであるという、なんとも難しい立ち位置にある表現形式なのですが、そもそも映画まわりの経済って、学校で習う「経済学」の理屈とは合致しないところがあるんですよね。

最も極端なのは、原価とは関係なく、商品の価格は一定に決まっているということ。100万円で作った映画も、100億円で作った映画も、同じ1800円という料金で観ることになる。

そうしたら、安くつくったほうが、利益が出やすいのではないか? なぜ、あえて大きな製作費を出すのか? もっとコストパフォーマンスのいい方法があるのではないか?

そんなことを、映画の売り手は日々考えていることと思います。作り手からすれば、「自分が頭のなかに思い描いている物語を形にしたい!」という気持ちで映画づくりに取り組んでいるので、ほんとうはお金なんて二の次!と言いたいところなのでしょうけれど、ある程度お金が回収できる見込みがないと、作りたいものも作らせてもらえない…みたいな状況が、まだあります。

映画のこの「興行」というシステムは、映画が発明されてから120年以上、形を変えずに成立しているんですよね。それだけイノベーションが待たれるのか、それともはじめから完成されたしくみなのか。

それが、人々の消費行動の変化や、昨今のストリーミングサービスの台頭をうけて、業界そのものが変わろうとしています。今後10年はとくに、エンタメをめぐって私たちの前提が覆るような変化が待ち受けているのだろうと思います。

業界が激変の前兆にあるなか、改めて考えるに値するテーマだと感じています。まずは基礎固めに、今回のコラムを読んでいただければと思います。

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