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ついにPASSLABO代表の宇佐見さんと対決!「計算の申し子」が語る数学バトルの裏側…!(後編)


皆さんこんにちは!
ドラゴン桜チャンネル塾長の永田耕作です。

昨日に引き続き、先日ドラゴン桜チャンネルで公開された計算力バトルの動画で出題された計10問の問題をおさらいしながら、その解き方や、撮影時に僕が考えていたこと、びっくりしたことなどの裏話をお伝えしていきます。

まだ前編の記事をご覧になっていない方は、こちらからどうぞ!

さて、現在5問終わってスコアは「永田3-2宇佐見さん」と、僕が1ポイントリードしている状態です。ここから後半戦。まず第6,7問の問題は、中学受験で実際に出題された計算問題をリメイクしたものでした。


チャプター3:中学受験の入試問題(計算問題)

 第6問は、こちらの計算問題。
 
4.25 × 3.36 ÷ 2.38 = ?
 
小数の筆算が大変そうに見えますが、実はこういう問題が僕にとって1番の得意分野です。
 
理由はシンプル。僕は基本的に、難しい問題を簡単な四則演算の組み合わせで解くことを徹底していて、そのメソッドを使えばすぐに解くことができる問題だからです。
 
この計算問題を 「4.25 × 3.36 = 14.28」 と頭から計算してしまっては、かなり時間がかかってしまいます。
 
もしかしたら、インド式計算などをマスターしてこのような3けた同士のかけ算に慣れている人もいるかもしれませんが、僕はそんな能力は持ち合わせていません。

じゃあどうするのかというと、この数字を計算しやすい数字に分解するのです。
 
「4.25」という数字を見ると、瞬間的に「0.25 があるということは分母が 4 の分数で表すことができるな」と考えます。0.25 を分数で表すと 4分の1 になるため、

4.25 = 4 + 0.25
        = 4 + 1/4
        = 17/4
 
と変形することができます。その上で、次の「3.36」は下2ケタを見ると「36」で 4の倍数だと分かるので、「3.36 = 4 × 0.84」と変形します。
こうすると、分母の 4 を消して

4.25 × 3.36 = 17/4 × 4 × 0.84  
                   = 17 × 0.84

と変換できます。これで、3けた同士の数のかけ算が、2けた同士の数のかけ算に早変わりします。しかし、まだ終わりではありません。
 
次にこの数を「2.38」で割るのですが、小数があると分かりにくいので、「0.84」と「2.38」をそれぞれ 100倍して小数点を消します。割り算では、割られる数と割る数に同じ数をかけても結果は変わりません。例えば 10÷5 も 100÷50 も、答えは同じ 2 になりますよね。
 
つまり元々の式は、先ほどの変形も合わせると

4.25 × 3.36 ÷ 2.38 = 17 × 0.84 ÷ 2.38 
                              = 17 × 0.84 × 100 ÷ 2.38 × 100
                              = 17 × 84 ÷ 238

と変形することができるのです。
 
ここで、四則演算のルールの一つである、「かけ算と割り算は順序を入れ替えても答えが変わらない」という規則を利用します。238 は 17 で割り切ることができ、「238 ÷ 17 = 14」となります。
 
そこで、先に「17÷238」を計算して「1/14」として、その 14 で 84 を割って「6」という答えを出しているのです。改めて式にすると、
 
4.25 × 3.36 ÷ 2.38 = 17 × 84 ÷ 238
                              = 17 ÷ 238 × 84
                              = 1/14 × 84
                              = 84÷14
                              = 6
 
これが、この問題を素早く計算した僕の脳内の言語化になります。
 
計算が速い人を見ると、「難しい計算を暗算でやることができている」と思いがちです。しかし実は、難しい計算を簡単な計算の組み合わせに分解する能力が高い、ということなのです。

このように数を分解して考えるのは、計算問題だけでなく数学のさまざまな問題に役に立ちます! ぜひ参考にしてみてください。
 
さて、計算問題はもう一問続きます。第7問はこちら。
 
1/9 × 0.7 + 1/12 × 7 + 1/36 × 1.4 = ?
 
この問題も、特別な計算方法はありません。分数の加減では鉄則である、「通分して分母を揃えて計算する」だけです。ただし、ここで小数を分数に直そうという発想に囚われすぎると、かえって時間がかかってしまいます。

例えば「1/9 × 0.7 = 1/9 × 7/10 = 7/90」としてしまうと、そのあとの通分が大変ですよね?

元々、3つの分数の分母は「9,12,36」となっていて、最小公倍数が 36 で押さえられているので、小数を残した状態で分母を 36 に揃えて、そこから計算をしていくと上手くいきます!
 
まず「1/9 × 0.7」は分母を 36 にすると「2.8/36」になります。分子はあえて小数のままにします。

次の「1/12 × 7」は「21/36」、「1/36 × 1.4」も分子を小数のままにして「1.4/36」、これで足し算をしてみましょう。分子は「2.8 + 21 + 1.4 = 25.2」になりました。

この 25.2 と分母の 36 は両方とも 36 で割り切れるので、「25.2 ÷ 36 = 0.7」とすれば答えが出ます。
 
小数を残したまま分数にする、というのが重要なポイントでしたね!
 
ということで、この中学入試の問題は、2問とも僕がポイントを取得することができました。

スコアは「永田5 - 2宇佐見さん」となり、僕がかなり優勢の状態。ここから最終局面で、バトルはどのように動いていくのか。最後は、少し変わった出題形式となりました。


 チャプター4:進化版メイク10…?

 ラスト3問の問題は、前回のnote記事でも紹介した「メイク10」を、少し難しく改変した問題となりました。

もし「メイク10」のルールが分からないという方は、こちらの記事で詳しく説明しているので、読んでから戻ってきていただけると幸いです!

第8問は、メイク「10」ではなく、メイク「5」を目指す問題でした。
 
「9を3つ使って、5を作れ!」ということですが、実はこの問題、四則演算だけでは作ることができません。
 
そこで出題者の西岡さんは、進化版メイク10の特別ルールとして、「√(ルート)」や「!(階乗)」を使っても良いと宣言しました。
 
もちろん、これによってできる数字の幅は広がるのですが、その分難易度も跳ね上がります。今までやったことのない特殊なメイク10に、僕と宇佐見さんの2人は翻弄されました。
 
最終的に、僕の答えは 「(√9) ! - 9 ÷ 9 = 5」 と、ルートと階乗を両方使った答えに辿り着きました。
 
ここでの僕の思考の流れは、「9 を 1つだけ使って 6 を作る」というものでした。6 を作ることができれば、あとは「-9÷9」をすることで「マイナス1」の計算をすることができ、「5」にたどり着きます。

このように、「5 を作るために一度 6 を作る」などの中間目標を立てられるとこの問題は解きやすくなるのではないかと思います。
 
もちろん、答えはこの1通りだけではないので、この記事を読んでいる皆さんもぜひ別解を考えてみてください!
 
第9問は、言葉通り「メイク10」です。
 
「4 を 4つ使って、10 を作れ!」
 
こちらも、ルートや階乗OKの特別ルールでのメイク10となりました。ここでは僅差で宇佐見さんにポイントを取られてしまったのですが、2人ともに共通していた考えは、「4」と「2」を組み合わせる、というものでした。
 
「4」はルートをつけるだけで「2」を作ることができます。つまり、4 と 2 は自由自在に扱うことができるのです。こう考えると、「4 + 4 + 2 = 10」 、「4 × 2 + 2 = 10」、 「4 × 4 - 4 - 2 = 10」など、色んな組み合わせが見つけられるでしょう!
 
さて、ここまでのスコアは「永田6 - 3宇佐見さん」ということで、3ポイント僕がリード。最後の問題が今まで通り1ポイントであれば、宇佐見さんに勝ち目はありません。
 
しかし、ここはさすが敏腕ゲームマスターの西岡さん。最後の問題は、何ポイントの差があっても逆転可能なシステムになっていたのです。
 
第10問は、このような問題でした。

「3分間で、『2 , 2 , 3 , 3』を使って『10』ができる組み合わせを作れるだけ作れ!」
 
メイク10は先ほどの問題でもお話しした通り、正解の式が複数ある問題が多いです。細かい違いも含めれば、20通り、30通り以上もパターンがあるような数字の組み合わせも存在します。

それを3分間で効率よく見つけ出すことができれば、十分に大逆転が可能な問題だったのです。
 
この胸が熱くなる展開に、僕も宇佐見さんもテンションを上げて計算式を書き始めました。

結果は、僕が 8種類、宇佐見さんが 10種類を回答し、それぞれに 8ポイント、10ポイントが加わって「永田14 - 13宇佐見さん」となりました。大接戦の末、1ポイント差で勝利することができました。
 
この勝利はめちゃくちゃ嬉しいですが、一つだけ悔しかったことがあります。それは、この最後の問題で、「2 と 3を組み合わせる計算式」が出せなかったことです。
 
例えば、「2 × 2 + 3 + 3」や「2 ÷ 2 + 3 × 3」など、2同士、3同士をかけ算・割り算して 10を作るパターンは多く思いつきました。

しかし、例えば「2 × 3」を活用した計算式は見つけ出すことができなかったのです。もしかしたらそもそも不可能なのかもしれませんが、僕はルートや階乗を駆使すればできるのではないか、と今でもたまに考えています。

ここまで読んでくださった皆さんも、最後にこの問題に取り組んでみてくださると嬉しいです。
 
さて、ここまで2本の記事に渡って、今回の数学バトルを振り返りながら解説してきました。皆さん、いかがだったでしょうか?
 
数学に限らずですが、退屈に感じてしまうような勉強も、周りの人と問題を出し合いながら、時にはバトルをしながら解き進めていくととても楽しく学ぶことができます。皆さんもぜひやってみてください!
 
また、この記事を読んだ上で、僕の思考回路を思い浮かべながら動画をもう一度見返してみても面白いかもしれません。

 宇佐見さんからは「ぜひリベンジをしたい」というお言葉をいただいているので、次はチャレンジを受ける側として、負けないようにまた頑張りたいと思っています!
 
今回はここまでです。それでは皆さん、また次回の記事でお会いしましょう!

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