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【完全解説】 『イケメン親方』 @修羅祭脱出



《はじめに》


こちらは、ファーニャー企画『終わらない修羅場からの脱出』にて開催された、4人チーム・制限時間5分の公演『イケメン親方』の解説記事となります。

『終わらない修羅場からの脱出』とは、制限時間24時間で公演を作ろう!という企画です。
文化祭モチーフで作られたこちらの公演の一環として、“執事喫茶”をモチーフで『イケメン親方』という公演を開催しました。

※なお、本企画に関しましては2/4(日)19:00回の公演終了時点で全ネタバレが解禁されております。

《本編解説》


部屋の前には、一枚の張り紙が貼ってありました。

変な張り紙。

部屋の前で待つあなた達を、1人の男が迎えました。
(仮に「執事A」としましょう。)

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執事A「ようこそお越しくださいました。
皆様は...人間のお客様ですね。
席が空くまで少々お時間頂きますので、
こちらの紙に代表者1名の氏名をお書きになってお待ちください。」
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なんか見えてる…?

そう言って渡されたのは、ファミレスのウェイティングボードのような紙。
代表者がこれに名前を書くと、部屋の中へ案内されました。

見た目以上に狭いです。
キャストは、2人ともかなり黒めです。

部屋の中にあったのは、
・大きな机
・4枚の皿と、それに乗ったラミネートされた紙
・「注文について」と書かれた紙
・鍵の掛かった箱
そして、もう1人の男でした。
(仮に「執事B」としましょう。)

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執事B「こちらへお座りください。
机の上の物には触れないようにお願い致します。」
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男達に案内されて椅子に座ると、執事Aが喋り始めます。

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執事A「それでは、皆様こちらをご注目ください。」
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そういって注目を集めると、手に持っていたウェイティングボードを掲げ、上半分を勢い良くちぎり取りました。

あらま。

そこには、「美味しいよ!食べても良い食材リスト」の文字。
どうやら執事Aに騙されて、妙な署名をさせられてしまったようです。

執事Aが居なくなった後、執事Bが喋り始めます。

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執事B「...皆様、どうやら大変なことに巻き込まれてしまったようですね。
ここは《生贄の館》。
現実世界と直結する、煉獄のレストランでございます。

…え、「イケメン親方」?...なるほど、どうやらデザイナーが間違えたようでございますね。
私は確かにこれをお送り致しましたのに。」
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わぁ!出オチだ!

ローマ字で発注を出した結果、「N」と「I」が近すぎて、デザイナーが「M」と勘違いしてしまったようです。
おかげで、「イケメン親方」なんて変な名前になってしまったんですね。
なんて芸術的なタイトル回収なのでしょうか()

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執事B「お名前を書いたのは、どちら様ですか?
…なるほど、あなたですか。
…あなたは、まさに今からあの“悪魔”の食料にされようとしているのです。
ですが、ご安心ください。助かる方法はあります。
簡単な話です。
食料リストから、あなたの名前を消せば良いのです。
悪魔は、あの紙に書かれた食材を地獄の果てまで追い掛け、食べます。
特に今日は、特級の悪魔が訪れるよう。
少なくとも1人、誰かが食べられるのは確実でしょう。
ですがあなたは幸運にも、ペンではなく鉛筆で名前を書いたようです。
つまり、消しゴムさえあれば、名前を消すことができます。
…そして、怪しげなこの。」
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Leiaさんの私物の箱です。

箱には“消しゴムはこの中にある”と書かれた紙が挟まっていました。

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執事B「この箱を開けるには、皿に載った謎を解き、
答えとなる食事を注文すれば良いようです。」
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下の余りに特に意味はありません。

どうやら、謎さえあれば食事の“注文”が可能なようです。

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執事B「…同じ人間として、皆様にはあの悪魔から逃げ出して頂きたい。
実は私も騙されて食材リストに名前を乗せられた、食材候補の1人なのです。
仕事ができるからという理由で、特別に延命させてもらっているのですが...
…皆様には、私に無かったチャンスがある。
どうか、頑張ってください。
先程の悪魔「シエロス」が戻ってくるまで、残り5分ほどでしょう。
それでは、幸運を祈ります。」
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執事Bが人間であることと、執事Aの正体が悪魔「シエロス」であることが判明し、ゲームが開始しました。

綺麗な謎ばかり。

最初に解くべきだったのは、以上4つの謎。

これを解き、執事に答えを伝えると、それぞれの答えである食事が手に入ります。

小謎の解説ですが、考えたい方のために少し余白を開けます。





《小謎解説》
【“ろくもじよもう”の問題】
線の通りに“ろくもじよもう”の文字を並び替えると、「じょろうぐも」となります。
(「じょろうぐも」という言葉を投げた時点では、まさかこんな美しい問題ができるとは思ってませんでした。Leiaさん凄すぎる。)

【罪と罰の問題】
それぞれの漢字の読み方を矢印の向きに埋めていきます。
2つある“罰”のうち、片方は“ばち”と読むんですね。
よって答えは「みつばち」です。
(これが1番最初に上がってきた時は目を疑いました。ダークなテイストに合わせてこんな綺麗な謎ができるなんて。Leiaさん凄すぎる。)

【生き物と“ひすい”の問題】
下の数字は、上のイラストの何文字目を読むかを表しています。
“えび”の1文字目、“かめ”の2文字目、“とら”の2文字目、“さる”の2文字目、“やどかり”の2文字目を拾って、答えは「えめらるど」です。
(最初は最後の“ど”に、“トド”を使おうとしていたのですが、オットセイやアシカとイラストの見分けが付かず困っていたところ、石神しらすこさんが“ヤドカリ”を出してくださいました。凄すぎる。)

【“毒が効いたら”の問題】
文章の漢字の読み(ルビ)だけを読むと、答えが現れます。
答えは「どくきのこ」です。
(それぞれの文章が対応する答えのものの説明になってるんですね。Leiaさん実装力高すぎる。)

これが悪魔の食事か…

皿に書かれたピンクの線と、食事に書かれたピンクの線を合わせると、数字と文字が対応するようになります。
1から順に読むと、「つくえのうらみろ」となります。

結構デカめです

机の裏には「425」という数字が。
この数字で、箱を開けることができました。

中に消しゴムは入っておらず、代わりに紙の折れていた左側が見えるようになりました。
本当のメッセージは、「名前を消す消しゴムはちょこの中にある」というものだったのです。

では、「チョコ」を入手していきましょう。

考えたい方のために、少し余白を開けます。








チョコを注文するためには、答えが「チョコ」になる謎が必要です。
しかし、そんなものは手元には無いし、皆様は筆記用具なども持っていませんでした。
つまり、既にある紙や謎を組み合わせて、「チョコ」が答えになる謎を作る他ありませんでした。

使えそうだったのは、こちらの謎のフォーマット。

「ど」が入る動物、めちゃめちゃ探しました。

イラストのn文字目を拾うというシンプルな謎です。
…ところで、今までどこかで“数字”を見ませんでしたでしょうか?

そう、それは机の裏にあった「425」です。
これをうまく使い、「チョコ」が作れないでしょうか?

イラストは、今まで注文してきた食事が使えます。
試してみると…

数字の紙、思ったよりデカかったでしょ?

このようにすることで、“チョコ”が答えとなる問題を作ることができました。
これを執事に提示し、「チョコ」と伝えると、キットカットが1つ手に入りました。
それを開けると、中から消しゴムが現れました。

(一番重要なギミックなのに、写真を撮り忘れました…🙇🙇🙇
現地で見ると結構凄かったんです。ほんとに。

追記: 発案者のLeiaさんが再現VTRを撮ってくださいました!
是非見てみてください。
https://twitter.com/ZXL_mystery/status/1754509336930628006

この消しゴムで食材リストから代表者の名前を消すことで、無事にゲームクリアとなりました。


《???》


…ところで。
今まで幾つか、気になる点がありました。

まず、ウェイティングボード改め食材リスト。

これを見ると、まだ調理されていない「江口」という人物が居るということが分かります。

次に、執事Bが言っていたこと。

「…同じ人間として、皆様にはあの悪魔から逃げ出して頂きたい。
実は私も騙されて食材リストに名前を乗せられた、食材候補の1人なのです。
仕事ができるからという理由で、特別に延命させてもらっているのですが...」

…そう、つまりこの執事Bこそが、ここに名前が書いてある「江口」その人だったのです。

そしてもう1つ、執事Bが言っていたこと。

「特に今日は、特級の悪魔が訪れるよう。
少なくとも1人、誰かが食べられるのは確実でしょう。」

…さて、プレイヤーの名前があのリストから消えた時。
代わりに特級の悪魔に食べられてしまうのは、誰なのでしょうか?

そう、執事B、改め「江口」です。

彼の名前は消しゴムでは消えませんでした。
彼はその名前を“ペン”で書いてしまっていたのです。

彼の「…皆様には、私に無かったチャンスがある。」という言葉は、“自分は名前をペンで書いてしまったので消すことができない”という意味だったのです。

…どうにか、彼を救えないでしょうか?

(考えたい方のために少し余白を開けます。)









名前を消せないのであれば…
書き足し、別の名前にしてしまうのはどうでしょう?

確か、執事Bが言っていた執事Aの名前は…

なんとも奇跡的。

…そう。「シエロス」でした。
なんと、「江口」に1文字足すだけで、「シエロス」という名前に変貌してしまうのです!

江口が持っていたペンを借り、名前を偽装することによって、
執事Bこと「江口」を救い、代わりに悪魔「シエロス」を特級の悪魔のメインディッシュにさせることができたのです。

(これ、口頭で聞くだけじゃ結構むずいかな…?と思ってたんですが、意外とすぐに気付くチームが多くて驚きました。)



さて、EDは種類があるので、本記事の公開の早さを優先するため、台本のドキュメントの公開で代替させて頂きます。
https://docs.google.com/document/d/e/2PACX-1vSz6If-_-qb8Co82YDNwCOCtu7XA_drWElPyyy6xOA9z7hhmlvgqMyG_XLFI6hgEoWdQVNL2fv8lO_w/pub


《あとがき》

この公演は、本当に様々な人が関わって出来ています。

メインディレクターとして公演原案、謎制作やキャスト、シナリオと台本制作、デザイン原案など色々やった、mitchy7532。(ろこたすさん、お仕事お待ちしてます!)
同じチームとして謎制作やキャストをしてくださった、つばめさん、あかいのさん、Leiaさん。
「サイゼリヤみたいな」という意味不明な発注にも関わらず、素晴らしい音楽を作ってくださった、NesLa _さん。
意味不明なコンセプトに合わせて素晴らしいデザインをしてくださった、おくさんさん、さじなげさん、やえさん。
別チームだったのに謎制作に協力して頂いた、そなさん、おいたくさん。
お皿の買い出しをしてくださった、藤野さん。
小謎で、「ど」が入って、なおかつイラストにしやすい動物を探してる時に「ヤドカリ」を出してくださった、石神しらすこさん。
そしてラストの発想のきっかけとなったキットカットを差し入れしてくださった、誰か
制作中や公演中に一緒に楽しんでくださった、他の制作者及び参加者の皆様

ほんの10分程度の公演ではありますが、誰が欠けてもこの公演は完成しませんでした。
今まで“人と作る”という経験が無かったのですが、これほど楽しいものだとは知りませんでした。

最高に楽しい時間をありがとうございました!

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