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[ミテモの本棚] MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ(高橋昌紀)

ミテモのメンバーが、1冊の本を読んで感じたことを綴ります。
今回の書き手は、高橋昌紀さん。ご紹介するのは「MaaS モビリティ革命の先にある全産業のゲームチェンジ」です。
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【読了時間: 6分】
(文字数: 1,800文字)
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ミテモの本棚では、内容に関する詳述はおこないません。自分が読んで、思考したことをご紹介するだけです。この記事を読んで、興味を持っていただけたら、ぜひ本書を手に取ってみてください!

さて、突然ですが質問です。
この記事を読んでいるあなたは、どこに住んでいますか?

東京でしょうか、北海道でしょうか、沖縄でしょうか。
あるいは海外かもしれませんし、複数拠点での生活をされている方かもしれません。

では次の質問です。
あなたは普段の移動では、どんな方法を使っているでしょうか?

……実はこの質問の答えは一つではないんですよね。
何を言ってるんだ?と思うかもしれません。しかし例えば、「車」と一言に答えても、自家用車の可能性も、カーシェアの可能性もあります。そして自分が運転をする人もいれば、家族や他の人に運転してもらうことのほうが多い人もいます。人によっては、タクシーを意図しているかもしれない。

人によっては、普段からいくつかの移動手段を組み合わせて使っているという人も多いでしょう。電車やバス、船、飛行機など、「乗り合い交通」タイプもあれば、自動車や自転車などの「所有」タイプもありますし、そもそも何も使わず徒歩がメイン、という方もいるでしょう。

こういった問いとその答えの幅を、私は本書を読んで初めて認識しました。それまでは、移動というプロセスは、目的地に行くまでの付随物と認識していました。それどころか正確にいえば、そもそも思考の対象として認識することがなかったのです。

この見えていなかったものに気づくことの、面白さよ。

例えば、これまで自分が生きてきた時間も、捉え方によっては、場の移動時間と静止時間の連続体と見ることができます。「MaaS」という概念を知り、ソリューションとしての移動の統合的解決を社会実装する取り組みを知ることは、実は自らの認知を、これまで気づかなかったものに向けることになっていたのです。

「人間はみな自分の見たいものしか見ようとしない。」

古代ローマの権力者ユリウス・カエサルが言ったとされる言葉です。

自分が好きなこと、興味の湧くことには意識を向ける、すなわち見たいものは見ようとしますが、そもそも認識に上らない存在は、身体的に経験していても意識を向けることはできません。

私は通勤には電車を使うことが多いのですが、東京の平日朝の通勤電車は、時に不快を通り越して、「ここは人間のいる場所なのか?」と思わず問うてしまうほどの状況になります。

この状況は「1.我慢するしかない、仕方ない状態」なのでしょうか。
あるいは「2.なんとかできるはずなのだが国や自治体や鉄道業者が手を抜いている状態」なのでしょうか。
または「3.そもそも同じ時間に通勤させている多くの会社が変わればいいのに変われない状況」なのでしょうか。

いや、そうではない。
4.自治体、移動事業体、各会社、移動者といった個別のプレイヤーが個別最適を取ろうとした結果、都市移動の全体最適がなされていない不便や困難が生じているけれども、それは技術的な革新と、仕組みの実装で解決しうる課題の集合している状況
と捉えることができるのではないでしょうか。

昔の私は、状況に対する解釈は2と3だと思って、諦めようと思っていました。しかし、MaaSを知ることによって、4の考え方を持てるようになりました。状況に対して、テクノロジーとその社会実装の先に、解決の現実的可能性を持ちうるのだ、と。

「No problem can be solved from the same level of consciousness that created it.(どんな問題も、その問題が創り上げられた水準からさらに上の水準まで昇って考えなければ解けない)」

物理学者アルベルト・アインシュタインは、いみじくも述べました。

部分最適に陥る状況を解きほぐし、関わるすべての人にとって、今よりも良い未来を目指そうと、全体最適を志向するときには、視座を引き上げることが重要です。

移動における問題解決のなされた未来にたどり着く可能性。
それを、私はMaaSとの出会いから、学びました。

参考リンク:
http://english-talk-with.me/albert-einstein/


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