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「レゴ®を使ってお仕事マップを作ろう!」企画の舞台裏

こんにちは。齊藤寛子です。
今回はレゴ®を使った面白い取り組み「レゴ®を使ってお仕事マップを作ろう!」という企画が始まったと聞きつけて、発起人のミテモの飯田さんのお話を伺ってきました。
 
▼おもろくてリアリティーある金融教育を作りたい

飯田:そもそも発端は、以前勤めていた東京証券取引所にいたときに遡ります。
当時企画していた子供向けの金融教育はリアリティがなくて、小難しい話ばかりで、ぼくが中学生だったらつまらないだろうなと罪悪感があったんです。もっと手触り感があって、面白いものにしたいなぁと思っていたんです。

斉藤:お仕事での原体験があったんですね。

飯田:そうですね。もやもやしていた思いがずっと引っかかっていて。その後レゴシリアスプレイのワークショップに関わるようになって、繋がってきたんです。レゴを通じて自分で作ったものについて話す、という"コンストラクショニズム"のプロセスで、脳内のイメージを構成物として組み立てていくという考え方を応用したら、世の中のお金の流れや仕組みを構成しながら、理解することが出来るのではないかと、ハッとしたんです。

昨年、そこから試行錯誤のワークショップ作りが始まりました。

齊藤:面白いですね。レゴを使って組み立てながら、自分の言葉で世の中を語るうちに、社会の仕組みを理解していけば、手触り感が出てくると思えたんですね!

今年は去年作った内容で実施されているんですか?

飯田:いいえ、去年最初に作ったときにはかなり盛り込みすぎてしまったんです。去年トライアルをした際は、ワーク時間が長かったり、アイスブレイクを無駄に挟んでしまったり。なので「街のビジョンをつくる」という原型はそのままに、改良をしました。根幹になる沢山の仕事が関わるマンダラを作って、お金やエネルギーが循環している社会を、自分たちの手で1から作っていく、というフォーマットはそのまま使っています。

▼嬉しいフィードバック
齊藤:実施した際の感触はどうでしたか?

飯田:最初は知人に声かけをして実施したところ、小学校2年生だと早すぎで小学校4年生ぐらいからが丁度良いと見えてきたり、男女で比較すると女子より男子の方が苦戦したりしました。でも連れてきた親御さんに、後から嬉しいメールをもらったんです。
割とプログラムの最中は無口で楽しくなさそうにしている子がいたんですけれど、後からこんな写真が送られてきたんです。

齊藤:これ、とっても嬉しいですね!

飯田:そうですね、どうやら家でも無口なタイプの子で、実は、プログラムで自分が意図していた部分が伝わっていたんだ!と分かって良かったです。
 
齊藤:今回やってみての新たな発見はありますか?
 
飯田:船橋の実施では中学生で行いましたが、中学生もノリノリで参加してくれていました。高校生は試していないから分からないですが、今度、大人と子供で見せ合いしながら進めるのも試してみたいなと思っています。
 
齊藤:確かに、この写真にも書いてある『1つの仕事にたくさんの仕事が繋がっている』や『色々な仕事がある』という部分って、大人でも実感がない人もいますよね。
 
飯田:そうだと思います。すぐサラリーマンになってしまうと特に。
あと、船橋の実施で面白かったのが「あなたの気になる仕事を入れてください」という設計を加えてみたことです。とある子が『ひとりYoutuber』と書いていて、どんなふうに街の中心となるピザ屋さんと繋げるのだろう?と思って見ていたら、『YouTube上で広告をして広告費をもらう』というストーリーを作っていて、ちゃんと分かっているんだなぁと。その後、「この中で一番なくなったら困る仕事は何か」と問いかけてみたら、「道路作る仕事なくなると道がなくなるので困ります。」と。「なくて困らないのは?」ときいたら「YouTuberです」と。こんなに時間が限られている中で、そんな観点にも気づいていることに驚かされました。
 
▼お仕事マップをつくると「社会の循環」がみえてくる
齊藤:元々、子供達は働いたことがないので、どうしても仕事にイメージ湧きづらい部分あるというのは、私もキャリア教育に関わる中で感じていることなんですが、レゴを使ってお仕事マップを組み立てていくとリアリティーを感じながら疑似体験ができるというのは、とっても面白いですね!そしてシンプルな職業体験ではなく「社会の循環」が見えるのが、このプログラムの良さの一つですよね。何か、ここに着目された理由はあるのでしょうか?

飯田:おそらく自分が元々金融だったからだと思います。金融って、仕事をしていても社会にどう意義があるのか分かりづらい。でもああいう大きな絵が描けると、お金が回って社会が成り立っていると分かってきて、初めて金融の意義が見えてくる。金利貰っています、ということだけ聞いても仕事にプライドが持てないけれど、お金の循環で経済が潤って、人が生活しているという生態系が意識できるとしっくりくるものなんですよね。レオス・キャピタルワークス株式会社の創業者である藤野英人さんも、金融や投資に関するご著書の中で、「投資して応援したい会社に投資するのは作りたい未来を作る尊い仕事だ」と書かれていて。お金はいわば赤血球で、酸素とか必要なものが乗っかって、毛細血管に行き渡っている状態にしないと社会や会社が元気な状態にならない。そういう視点が、その本を読んでからあるんです。
 
齊藤:面白い視点ですね。血液同様、金融も、外から見えづらいけれど凄く大事な働きをしている、ということですよね。
 
飯田:僕自身は金融が入り口でしたけど、これは金融に限らないのではと思っていて。パーソルキャリアさんでの実施では、彼らは人材会社なので同様に、「人が動き、循環するのを支援するのが仕事だ」という観点で使って頂けるという話になり、Family Dayの中で実施することになっています。
ITでも同じですよね。Yahoo!などのインターネットも情報を循環させる役割を担っているし。農業という切り口なら、食べ物を軸にも繋げられるし。どういう切り口でお仕事マップつくるか、によって、海外やグローバルという切り口も盛り込めるかもしれないなと。

齊藤:社会にとっての資本も「ヒト、モノ、カネ」と様々、というのが自然と見えてきますね。
 
飯田:テーマによる拡張性、互換性はあると思います。
 
齊藤:マクロにもミクロにも動かせるのは発展させ甲斐がありますね!
 
▼あえて、多様性を浮かび上がらせる仕組み

飯田:このワークショップが面白いなと思う、もう一つの要素は「スタート地点を揃える」という事なんです。最初に真ん中に宅配ビザ屋さんを置きましょうとスタートを揃えても、始めると各チームに個性が出てくる。チームによって違うというのは良い学びになるなと感じています。先生が決めたやり方や正解ではなくて、全員必ず違うものが出来てくる。尚且つ、チームによって作り方も違って多様性を確保しやすいので、チームの発表をすると、
「こんな目の付け所があったんだ」と毎回学びがあります。なので、チーム数が多いと、多様性が分かりやすくて良いなと思いました。そんな意味で、最初のスタートは同じに設定しています。
 
齊藤:結果はそれぞれ全然違ってくる、というのは経済活動と全く同じで、面白いですね!
 
▼今後の展望
飯田:割とブロックさえあれば色々発展できるので、自分がやらなければいけないわけでもないと考えていて、どんどん暖簾分けしていきたいです。
お仕事マップを入り口に職場体験に行こう、とか。逆に職場体験の振り返りとして活用するとか。「仕事って大変だと分かりました」みたいな勿体無い結果がもし起こっているとしたら、役立ててみたいですね!
 
齊藤:確かに良くある職場体験の場合は、自分と仕事、という軸の中での仕事理解を促すことの方が多いので、こうした「社会の循環」の学びが繋がったら、とても可能性があるなと私も感じます。職場体験で得られる学びには限りがあるけれど、そこからもっと深い学びへと発展させ、生態系がみえるコンテンツとしては、可能性がまだまだありそうですね。

飯田:それを聞いて思い出しましたが、小学生でも『こんな仕事あったんだ、こんな切り口あったんだ。』という学びはちょっとしたキッカケで、作れると思うんですよね。今までなら通り過ぎていたのが、このお仕事は気になるから調べてみようとか。そんなふうに興味を持ってもらえたら、ワークショップ1日の成果としてはお釣りがくるなあと思います。
 
齊藤:なるほど。ワークショップでの体験とリアルとが融合して、そのサイクルが回りだすと、新しい疑問も生まれてきたりして、何回かシリーズとして参加してもらえるようになると、段階的にこの体験を有意義なものへと、パワーアップさせていけそうですね!

本日はお話聞かせて頂いて、どうもありがとうございました。キャリアに関わる仕事をずっとしてきた私にとっても、沢山の気付きがありました。


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