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人間を理解し挑戦するひと@リョウさん

このコーナーは「ミテモで働くひとって、かなり変わってる?もとい、実に個性的で惹きつけられるぜ!」と感嘆したライターによるミテモスタッフ・インタビューです。「真面目さは程々に、でも井戸端会議より深く濃い」をモットーに、ミテモで働くひとのパーソナルな部分を綴ってまいります。

高橋了さん。以前からリョウさんの名は何度も聞いていた。ミテモのメンバーから愛されて慕われている存在なのだと勝手に想像していたけれど、実際お会いしてみて、それは確信に変わった。リョウさんは「人たらし」的な魅力を放っている。ひとあたりの良さと鋭い洞察力がある。人間の清濁も陰陽も兼ね備えたチャーミングさ。一見テキトーなことを笑顔で喋りながらも時折メガネ越しの瞳の奥がキラリと光り、何かをまっすぐ射抜くような真剣な眼差しで持論を展開する。その着眼点にはオリジナリティがあって、物事の捉え方、見方に聞いているほうはハッとさせられる。よくわからないけれど、リョウさんの言葉を信じてしまいそうになる。相手に、もっとこの人の話が聞きたい!と思わせることができれば大抵の商談はうまくいくのだろう。今後もミテモに大旋風を巻き起こす存在になるのかな?と思っていた矢先、リョウさんは2019年3月末でミテモを卒業するそう(このインタビューの2ヶ月後)予期せずも、卒業記念の位置付けになってしまった。ミテモのシニアプロデューサーであり取締役のリョウさん。ギャンブル好きで、パチンコ店で半年間働いていたという噂は本当?と聞きたいことは山盛りあるけれど、ミテモを卒業するからこそ伝えたいこと、残したいこと、リョウさんの仕事観、そして新たにチャレンジする次なる仕事や、それに至った理由などをお話をたっぷり伺いました。

いま「人が嫌がる仕事」に興味がある

いきなりですが、最初にミテモを卒業して次に何をするか?って話から始めますね。次は、関西で建築業をやります。教育とは全然違うジャンルで、僕自身もこれまで経験はありません。商業施設や店舗などが中心になります。きっちりと納期が決まっており、深夜の時間帯に工事する内装などの仕事です。想像どおり外国人や高齢の労働者がたくさんいる業界です。技術力というよりは、コーディネートする力や彼らと向き合ってまとめていく力が必要で、やってみないとわからないけれど、どう考えても楽しくない仕事だと思っています。というのも、今は「人が嫌がる仕事」に興味があります。こういった商業建築の現場では、いまだに78歳のおじいさんが夜中に出てきて踏ん張っているんです。体力的にもキツいし本音は辞めたいかもしれない。逆の見方をすると、それぐらいまで人間は鍛えられると長く現役で働けるってことです。僕は、これまで教育や人材採用の仕事をずっとやってきたけれど、この仕事は(自分にとって)ぬるいと気づいた。30年先、50年先を考えたときに結構危ないのではないか?と感じたんです。これまでの仕事を批判しているわけではないし、ただ自分自身がぬるいと感じるところにいると、結果的にぬるい仕事(アウトプット)になって、当然品質も上がっていかない。このまま続けても、仕事の喜びというものを自分がどこまで得られるのか、すごく不透明だと感じ、それが次のステップに進もうと思った一番の動機です。
いまも半分はモノを作る仕事(制作ディレクター)をしているし、モノをつくる仕事は単純で、作って、お客さんに買ってもらうだけ。その本質は、建築の仕事も変わらない。ただ納期が絶対で、朝10時がリミットとしたら、明け方4時ごろに逃げ出す人も出てくるかもしれない。そのときどうするか?どうリカバリーするか?そこで企業の体力や信頼が問われます。
今まで多くの顧客と向き合ってきて分かったことは、楽しくなさそうな会社ほど、意外にも業績が良いことです。物流の企業は常に需要があるけれど、単純に運転手がいない。その仕事をするひとがいない。いざ運転手をやってほしいと言われたら、どうします?うーん、ちょっとイヤだなって思いませんか。GoogleやAmazonが発展して情報が流通したとしても、モノを実際に運ぶひとが必要ですよね。さっきの運転手の仕事だって長時間で深夜、そして一人で黙々とやる仕事で寂しさもあるでしょう。物流に限らず、キツイ仕事をみんながやらないようになってきている。だって、みんなイヤだから。僕はそんな仕事に注目して、みんなが嫌がる仕事をめちゃくちゃ高い価格で売る、そんなことをやってみたいんです。実は、苦労する仕事のほうが楽しいと思っています。

ミテモに入る前は、パチンコ店で半年間働いていた

澤田くん(現ミテモ社長)は、僕が新卒で入社した会社の同期でした。広告宣伝に興味があって、テレビ局や大手広告代理店など検討していましたが、いろんな人材採用会社の広告を見ているうちに、だんだんその会社でいいかな?と思うようになり、入社しました。5年くらい働いて、その後転職して教育系の仕事をするようになりました。人材採用と教育ってジャンルが似てるという動機で、そこでは5年ほど勤め、独立してコンサルティングやセミナーの講師業務を行っていました。そうこうしている間に、お金も底をつき、パチスロで生計を立てるようになりました。
でもギャンブルで生活していくのもな・・・と思い立ち(すでに30歳を超えていた)パチンコ屋に就職しようと決意。12社ほど面接を受けたら、全部落ちました。正社員じゃなくてバイトですよ?現実は厳しいと思いつつ、いや、むしろ逆の雇用する立場になって考えると、たくさんの若い人材が応募するなか30歳過ぎのおじさんがいたら、まあ落ちるよね、一緒に働きたいとは思わないよね(笑)と気づきまして。マッチングが良くないから落ちるんだ!と学び、これまで受けてきた立地条件の良い大きなチェーン店舗ではなく、下町・個人経営・少し古めのパチンコ屋に絞って応募したら、見事合格!マッチング成功です。晴れて時給1200円で働くことになりました。ただ、いざ働き始めたら結構ハードで。特に接客には厳しいお店で「原則歩かない」というルールがありました。僕の標準的な体重は75キロ付近なんですが、当時は62キロまで痩せて(笑)だって常に店内を走っていますからね。パチンコ屋の接客の仕事は、パチンコ台の修理や調整、パチンコ玉の入ったカゴの交換。たまにパチンコを打っているお客さんが話しかけてくるんだけど、店内の音が騒がしくて聞き取れないので走る、そんな仕事でした。澤田くんとは年に数回会っていたので、あるとき「パチンコ屋、そろそろしんどいわ。金も儲からんし」って愚痴をこぼしたら「じゃあミテモにおいでよ。」と相成りまして。ミテモにバイトで入社決まり、走らなくても時給2000円も貰えるってことが本当に嬉しかった!めちゃくちゃ嬉しかった!そんなことを覚えています。そこから三ヶ月くらいして社員になりました。

相手が何を求めているかを見極め、必要なものを提供する

ミテモでの思い出は色々あります。モメたこともあるし、僕を外してくれと言われたこともあります。モメる理由はわかっているし、自ら選んで、そうなっていることも認識しています。例えば見積もりや利益に関することで言えば、今このタイミングでクライアントに追加予算を申し出ないと利益が出ないこともあり、期中で予算変更が難しいことは承知の上で交渉をします。モメるかもしれないけれど交渉は絶対必要だと思っていて、営業の観点で考えると、売れさえすればいいというのは間違いで、利益の確保が最優先なんです。利益が創出できないと、再投資できないし、この先ミテモを大きくしたり新しいことができなくなる。もちろん営業が自分たちの価値を理解していないと、交渉も価値の換金化もできないので、僕は、日々できる努力を怠らないようにしようと、営業メンバーに伝えています。コスト管理は、ただお金を使わないことではない。お金は使ってこそ効果を発揮するものです。お金の使い方をきちんと知っていて、その上で無駄なお金を使わないようにしないといけない。このことをミテモでは忘れないようにしてほしい。
ミテモの制作現場では、主に教育とクリエイティブを追求していますが、ここも見極めが必要なところ。例えば相手がこの商品を購入したいという時、相手が何を欲しているか?何を求めているか?をしっかり考えないといけない。相手はコンテンツ内容が欲しいのに、制作側でデザインにこだわりすぎるとミスマッチが起こる。重要なのはマッチング。極端な例を出すとウンチだって、ウンチの研究している人は大喜びで買いたい!というわけです。それの基本が理解できていないと独りよがりな仕事になってしまう。相手のニーズをきちんと見極めて、必要なものを最適に提供することが大事だと思っています。

僕のクリエイティブは古着屋めぐりで満たされている

制作の仕事をやっているのにもかかわらず、実はクリエイティブにそれほど興味がないんです(笑)僕のクリエイティブは、古着屋巡りで満たされてしまっている!とも言えます。洋服が昔から好きで。子どもの頃、6歳上の兄が買ってきたメンズノンノを読んで、反町隆史さんが履いていたバッシュに憧れたのが始まり。古着の魅力っていうのは、とにかく「わからないことが多いこと」。そのブランドの歴史を紐解こうと調べ始めると、その資料そのものがなくなる瞬間が必ずある。古いブランドのモデル名が全部わかっていることは少なくて、それをあらゆる手段で調べていく作業が楽しい。僕は所有欲があるので、古着を商売にしたいとは思わないですね。せっかく手に入れたのに、なぜ他人に渡さないといけないのか?と矛盾しちゃいそうで。
古着のように「わからないことが多い」ことは、広告やコミュニケーションの仕事も通じます。成果がわかりにくいし、そういう側面がずっと存在する。逆に結果がハッキリわかってしまうともっと業界的に淘汰されるはず。クリエイティブの現場でも、もっとデザインをこうしよう!はっきりした色使いが良い!など、そんなプロセスを踏みながら最終的には好みで判断されることもある。僕は広告を否定しているわけではなく、広告がないと世の中のひとに伝わらないわけだし存在価値はある。教育も同じ側面があって、企業研修では大人向けに変革やリーダーの教育をするけれど、意識改革やスキルアップというのはそんなに簡単なものではないし、実際のところの気持ちは絶対わからないと思っています。

共通の目標設定がない時代、次の働き方を模索する


どんどん働き方も変わってきて、立場の境界線も溶け出してきてフラットになってきて、これから先はどうなっていくのかと考える。今の日本人は満たされているし変わりづらい。戦後だと成長しよう!三種の神器だ!と全員が目指す目標設定が明らかに存在して、それに向かっていく大衆も必死になれる。そういう姿は悪いもんじゃないし、逆に今は目指すものがなくて、自分で作らないといけない時代。一方でプラスティックを使わない活動のように、もうすこし文明を逆戻りしたほうがいいんじゃない?っていう声もあって、自分たちはどんなふうに生きていけばいいか?どんなふうに関わっていけばいいかな?って考えると、とても悩ましい。これから僕が関わる仕事はハイテクでも最先端でもない。むしろリアルで野蛮かもしれない。なんでもそうだけど、意外とやったら楽しいことって多いと思っていて、やってみて嫌だったら辞めればいいだけ。次の建築業の仕事は、その人が健康なうちは高齢でも働けるようにしたいです。もちろん僕も含めて。うちの母が膝を痛めて、家にいる時間が増えたとき少し塞ぎ込むようになったことがあって。ちょっと家から出て、外にいく用事や居場所は大事だと思っていて、気分転換だったり、少し元気になったり。喫茶店でもなんでもいいんですけれど、ちょっと友達やお店のひとと喋りたいときに寄れる場所があって、ワイワイできたらいいよね。

ミテモのメンバー全員が僕の友達だと思っている

僕はミテモ社内向けに連載ブログを発信しているんです(他にも俳句・短歌シリーズも!)連載記事のテーマは「大切なことはすべてメルカリで学んだ」です。全7回ぐらいの構想で練っていて、そんなふうに読んでくれているかわからないけれど、僕からメンバーへの教育教材として発信しているつもりです。マーケティングの話とか、お金の交渉のこととか。僕自身の実体験として、みんなに伝えて、日々の仕事でどんな順序・段取りで交渉を進めからいいか?を感覚的に掴んでほしい。
僕は課題整理をしないんですよ。たいていの人は、物事の課題整理して解決しないといけないと思い込んでいるけれど、僕はお客さんの課題を整理しない状態で、全て受け止めて全て解決したい。お客さんの考えていることって、いつも整理されていない状態なんです。そのまま解決されたほうがお客さんもストレスを感じないと思わない?課題整理をされると、また余計なコミュケーションがはさまって面倒になる。僕は、課題整理をすっ飛ばして、2〜3日で早期に解決してあげたいですね。
メンバーやお客さんとの関係にも共通していることだけど、その人がやる気になったり動いてくれるには、一体何か必要なのか?を知る必要があって。僕は、信頼関係というより、自信や魅力だと思っています。この人と一緒に仕事すれば、ちょっと得するかも!と思わせればコストが下がるんです。僕は高校まで空手をやってきて、相手と正面で向き合ったとき、相手の実力が自分より上なのかどうか感じ取ることができるんです。負けを感じたときは、すぐ引くし、すぐ逃げる(笑)だから大きく負けない。これって結構大事で、たとえば会社に行きたくない、深く悩んでいる、苦しんでいる子がいたとしたら、早く逃げてほしいと心から思うんです。負けは早く認めて逃げないと生存できない。生きるためには早く逃げることも大事なんだと知ってほしいです。
僕は友達が本当にいなくて。結婚式も友達がいなさ過ぎて、そもそも披露宴が成立しない!という話になり親族の食事会をメインにして、奥さんの希望でチャペルで式を挙げたんです。そのとき澤田くんがきてくれて、本当に嬉しかった。SNSもやらないし、友達がいないと人間関係のストレスもないと感じていたけど、最近になって、友達はいたほうがいいなって思うようになりました。ミテモにいる子は全員友達です。僕がごはんに誘っても一緒に行ってくれる気がするし(笑)負担や変な気遣いがお互いなさそうな感じがして、上司や後輩とか上下関係もないし、ミテモは仲間感があります。そういう意味では、友達がいなかった僕だけど、いまは30人くらい。高校のクラスメートぐらいの友達がいます。本当にありがたいことですね。


<ライターのつぶやき>
あぁ、寂しすぎる。こんな人間味あふれる魅力があって、面白いエピソード満載のリョウさんがミテモを卒業するなんて。インタビュー中にあるエピソードを披露してくれた。某銀行さんに対してビジネスマナー研修の本気プレゼンをしている時、スーツ姿でバッチリ決めたリョウさんは途中で自身のズボンのチャックが全開であることに気づいてしまったそう。周囲にバレないようソロリソロリとチャックをあげようとしたら、逆に変な動きをしてしまい怪しまれるというオチ。でも私はチャックをあげる不思議な動きさえも、何かこれは意図があるんじゃないか!?と相手を期待させる(いや勘違いさせる)オーラがリョウさんにはあると思っていて、そういう人間の分厚さや迫力のようなものはどうやって形成していったのかとても興味がある。メルカリ連載最終章もしくは番外編で「迫力の正体」というテーマで、ぜひリョウさんに語っていただきたいと強く思う。春からの新天地でのますますのご活躍を祈ります!ありがとうございました!
この記事を書いたひと : シムラケイコ
徳島出身。上京後クリエイティブディレクターとして都会に生き、現在は逗子に住み、原っぱ大学を運営する、小学生男児をひとり持つ母。変わり種がたくさんなミテモに興味を持ち、「ミテモなひと」コーナーのインタビューと執筆を担当。おとな・子ども関係なく、それぞれがワクワク心躍らせる瞬間に立ち会うのが好き。そんな瞬間をたくさん生み出すためにも、すべてのひとにとって心地よい場をつくりだせないか?と頭と心をめいっぱい使って日々試行錯誤。


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