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雑七五



(ときに七五調でつぶやきたくなる瞬間がある。俳句とも短歌とも川柳・都都逸とも限らない。筆者は区別して発してない。ただ、七五調なだけの発句もどきである。そういう、雑七五とでも言うべきつぶやきの記録。)


二〇〇六

見せパンに 嘆息ひとつ 駅階段


二〇〇七

モノを掘り 足の踏み場を ひねりだす

我が巣から twitter への 糸を張る

部屋掃除 汗をかきかき 部屋を掻き掻き

古ズボン 尻破れ忘れ 外歩く

秋の虫 愉しむ耳を 持ってない

脳内で テグザーの曲が リピートす

エアコンの 要らなくなる日を じっと待つ ミクロな意味でも マクロな意味でも


バルサンを 焚いてる間の 逃散歩

図書館で 本の冒頭 だけを読み

そうめんに ソー ローン言う 晩夏かな

名言の 宝庫と誤解 ついったー

うっかりと 上書き保存し うろたえる

百と四十 水面に墨で 書くごとし

シングルの 洋梨《ペアー》切り割りゃ カルテット

増える予感 ついったーでの 犯罪自慢 いまなにしてる? うん祭られてる


本能に 逆らう旨さ 梅ゴーヤ

リア充を リアル十代と 勘違い

去り渋る 夏にぶぶづけ 食わせたい

なぜ売らん 納豆サンドを コンビニは

野良猫の アルトへ下がった 甘え声

汗ぬぐい 顔をしかめて 二度寝かな


(台風来ル) 

嵐来た 降る鳴る光る 全部盛り

ざあざざあ びょおおごおおで 目をさます

子と猫が 小雨降る中 小走りす

台風よ 雨風フウフウ よう吹いた  #回文


雲の無い 空にぎやかせ トンボども

遅かりし 非モテ嘆くや 九月蝉

ひきがえる 轢かれ日向で 干からびる

秋の蚊に 情けをかける わけもなし

この夏の 汗の結晶 臭枕《くさまくら》

月に雁 茄子に生姜 瓜に味噌

秋深し・・ まだ深くねえと セルフする

ブランコの 順番を待つ 子供たち 奪い合いとは 過去の遺物か


尻尾ふる 犬が俺から 目をそらす

どぜう屋の つきだしなんと 山の芋  (註:食べ合わせの迷信がある)

雲が無きゃ チラリズム無い 秋の月

母悲鳴 庭のピーマン 食べきれぬ さすが宮崎 さすが宮崎


(中秋の名月)

赤月や 幻魔は遠く なりにけり

三千世界の電気を殺し 月の明かりで 寝てみたい


自販機の 「つめたい」憎い 秋の夜 

ありのみよ 二十世紀よ 永久《とわ》にあれ 

[久々にメガドラを起動して想う] 我ときて 遊べやセガを 採る子供

交じる香や 金木犀と ドブ河の 

[銭湯へ] 重ね着を してトボトボと 秋の夜 

[銭湯で] 大の字に 湯船へ潜る ハゲ親父 どちらが尻やら 頭やら 

ゆく秋に 何を思うや マントディア

秋晴れや 我 威勢良く 上着脱ぐ 

西にゃ夕焼け 満月ァ東 残るは雁と 無茶望む 

[銭湯] 湯屋よ湯よ ゆやんやよんの 電気ぶろ 

[紅葉]  黄と紅と 茶と赤と緋と 橙と 

[秋葉原駅前公園] 寒空の 下で らき☆すた 踊る群れ 

かわたれや そこのけそこのけ たそがれ通る


二〇〇八

今吹かず 夏に吹け吹け すきま風 

うっかりと UFOのフタ 全剥がし 途方に暮れる 約二秒 

瓜を吊り 軒にカミナリ 出来にけり

我と来て ともに旅せよ 青バッタ


二〇〇九

ボテ腹の 猫ドタドタと 逃げ隠れ

[啓蟄] 初冬を 越えたか痩せた 若蛙

[松本城]  黒の城 もみじ・青柳 蒼い空

[白鷺城]  朝焼けと 下弦・明星 姫路城

[京都]  賀茂川だ なるほど鴨が 鳴いている

[彦根城] 日本晴れ トンビ・カッコウ 彦根城


二〇一〇

[もやし] 熱湯で 十秒ゆでて 醤油かけ

七夕や 田端の馬場の 婆の鉈

クーラーの 水を召しませ いぼがえる

ピクルスを ごはんにまぜて ジャコをのせ これは寿司だと 自分を騙す





二〇一一

つぶやきで 兄弟知人の 無事を知る





二〇一二

雪だるま ぽかぽか午後に 寝落ちせり 

[大洲城下にて] マフラーの JK城下を 徐行せり

野良猫よ 雨宿りしてる そのクルマ ロールスロイスと 君知るや


二〇一三

にわか雨 そら埋め尽くす 落ち葉かな


二〇一四

桜咲く あと12文字は 不要也

アスファルト めめずいっぽん セミドライ

ブラジルで 武士敗れた日 どしやぶる雨

やっぱり今日も必要だった しぶしぶエアコン オンにした

私ァ古いパンツのゴムか のびてぐったり 役立たず

心頭滅却 火もまた涼し Tバッグ装着 紐股涼し

暑い暑いと 言うから暑い 武士は言わねど 多々扇

あおむけに 寝て蝉時雨 耳に浴び 


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