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第62回 カウンセラーのTシャツと言葉のサラダ 子育て支援とコンカフェ

カウンセラーとスタッフの日常会話の記録です。

Mi代表:深層心理学が専門のカウンセラー。Mitoce代表。
すたっふ:カウンセラー見習いのスタッフ。少々オタクらしい。


すた:カウンセリングって、受けるのにハードルが高いですよね。

Mi代:どうされたのですか?

すた:悩んでいる人とか、カウンセリングを受けてみたいと言う人はいても、実際に申し込む人って少ないじゃないですか。どうにかならないかなと思って。

Mi代:ああ、そうですね。カウンセリングを受けた経験のある人は、社会全体からみると、ほんのわずかだと思います。

すた:なんか、カウンセリングは最終手段としていく場所みたいになっていないですか? 相談機関に行ったけどダメだった、精神科を受診したけれども改善しない。だから最後にカウンセリングを受けに来たみたいな。それは違うと思うんです。もっと早めに受けたらいいのに。

Mi代:たしかに、カウンセラーの私としても、ほかのどこに行っても効果がなかったので、カウンセリングに来たというときは、対応としても難しい場合があります。ほかでもなかなか効果がなかったのであれば、当然、カウンセリングでもなかなか効果が出にくい。それほど難しい状態である可能性があるので。
でもカウンセリングは過剰な期待をされるというか。「カウンセリングに来たら、何かが大きく変わるだろう」と特別な技法かのように期待されてしまう。そういった期待をされている方にとっては残念かもしれませんが、カウンセリングはそのような魔法のような力は持っていません。即時に効果が出ることは少なく、変わるといっても徐々にしか変わらないですね。変わるのに時間がかかります。
病気と似ているのは、こころの悩みも悩みが小さいうち、悩み始めた頃に対応しておく方が、回復が早いということです。カウンセリングも効果が出やすい。けれども、最終手段としてカウンセリングに来た場合は、回復まで時間がかかるのは当然だと思います。悩みが膨らんでしまっているので。
なので、すたさんがおっしゃるように、早めに受けたら良いというのは、カウンセラーとしても願うことですね。

すた:私の知っている施設では、こころの支援を受けるためのハードルを下げる試みをしていました。それは、子どもの支援だったのですけれども。商店街のなかに、子どもが遊べる場所を作って、そこに心理のスタッフがいるんです。それで、親がそこに買い物の途中に子どもを連れてきたりして。それで子どもを遊ばせながら、スタッフと話をします。スタッフが子どものことについて話したりしているのを聞いて、お母さんが「うちの子はそんな風に見えるんだ」と新しい気づきを得たりします。

Mi代:つまり、お母さんは子どもとずっと二人きりで、他人から自分の子どもがどう見えるかということを話す相手もいない。それで、そこに連れていくと、子どもの違った側面が見える。そういうことでしょうか。

すた:はい、そうです。子育てに悩んでおられる親はかなり多いと思うのですが、気軽に相談できる場所がないんですね。保育園や幼稚園の先生となると、やっぱり園での子どもの様子について話すことになりますし。児童相談所とかで子育て相談もありますが、児相となると、虐待相談かな。あとはカウンセリングとかになりますが、さっき言ったように、カウンセリングを受けるかというと、「そこまでじゃないよ」と行かない人が多い。でも親も相談相手が必要なんですよね。ちょっとした相談ができるような場所があればいいのですが。そういう場所ってないんですよ。

Mi代:たしかにそうですね。私の専門である精神障がい支援でも、そういった「ちょっとした相談」ができる場所はありません。先ほどの、悩みが小さいときは解決が早いという話ともつながりますが、ちょっとした相談ができるところで相談していたら、そのあと大きな悩みに発展せずに予防できたかもしれない。

すた:カフェとか作ったらどうでしょうか。子どもを連れていけるカフェで。そこに子育て支援のスタッフが常駐している。それで込み入った話のときは別室を用意して、そこで話をするっていう。

Mi代:検討する価値はあるかもしれませんね。いわゆるゲートキーパーの役割ですね。

すた:ゲートキーパー?

Mi代:もともとは「門番」という意味で。お城や屋敷に入るとき、入口に門番がいます。客はまず門番に話をつけて、門番は客の話を聞いて、どこに行ったらよいのかを説明します。福祉的支援でもこのゲートキーパーが大切といわれていて。悩みを抱えている人が、まずはゲートキーパーの人に相談する。そしてゲートキーパーの人が、どのような支援を受けられるのかを紹介して、支援につなげる。でもこのゲートキーパーの役割が、現在は市役所など公的な機関になっていたりして、なかなか相談に行く人は限られているという現状だと思います。
もっと身近な場所にいるのであれば、相談もしやすいし、支援にもつながりやすいと思うので。

すた:なので、これはコンカフェなんです! 子育ての相談ができるというコンカフェ!

Mi代:コンセプトのあるカフェなので、まあ、コンカフェといえるでしょうね…。

すた:子育てをしている人たち向けのコンカフェって、良いじゃないですか。コンセプトのある場所って大事ですね。そのコンセプトを体験したいために、その場所に行くという理由があるので。ディズニーだって、そうですし。海外のディズニーだとお姫様のコスプレしていると、お姫様への対応をしてもらえるところもあるそうです。USJでもホグワーツの制服を着ていたら、生徒として扱ってくれるって。王様のように扱ってほしいという欲求がある人は多いでしょうね。

Mi代:そう考えると、高級ホテルもある種のコンカフェといえるかもしれませんね。自分がゲストとして丁寧に扱ってもらって、1000円以上する高いコーヒーを飲む。

すた:私は執事もいいですが、じいやとばあやもいいですね。そういうコンカフェもあるようですよ。

Mi代:今日はまじめな話で終わると思ったのですが。すたさんと話すと、それだけでは終わりませんね…。私としては、鳥山明が亡くなったので、その話をしようと準備していたのですが。バンドデシネ作家のMœbiusの影響や、デザイナーとしての一面、あとは『ドラゴンボール』が物語りや構図としてどのように画期的であったか、または世界的な影響力などについて、たっぷりと1時間話せる内容だったのですが。

すた:それなら、Mi代表はドラゴンボールのコンカフェを考えたらどうですか?

Mi代:ドラゴンゴールのコンカフェ? そこにカウンセラーがいることに意味がある? いや、コンセプトを考えていけば…。

(面倒そうなので、Mi代表を放置して去ってゆく、すたっふ…)


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