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クリエータ紹介(15) 石丸大晟さん、武石航汰さん - AIを用いたコミュニティ活性化への挑戦

このnoteでは、福岡未踏的人材発掘・育成コンソーシアム(通称・福岡未踏)のプロジェクト採択者について、プロジェクトの詳細や福岡未踏にかける思いをご紹介します。

今回は、希薄化しつつある地域コミュニティを活性化させるためのアプローチを模索する、石丸大晟さん、武石航汰さんの挑戦をお伝えします。

プロフィール

  • プロジェクト名:CommuniCare

  • 支援プランと期間:Solve (23年11月〜24年1月)

  • クリエータ:石丸大晟さん(九州大学工学部 電気情報工学科3年生)、武石航汰さん(九州大学工学部 電気情報工学科3年生)

左)武石航汰、右)石丸大晟 ブースト会議の様子

これまでの歩み、来歴

石丸さんのプログラミングへの興味は、高校3年生の時に始まりました。彼は当時、オンラインプログラミング学習サービス「Progate」を利用してPythonなどを学び始めました。しかし、受験期という忙しさの中で、一度はプログラミングから離れざるを得ませんでした。その後、九州大学工学部に入学。入学時には学科群を決めず、1年後に学科群を選択できる入試選抜の枠組み「VI群」を活用し、プログラミングの授業で課題解決の達成感に魅了された彼は、電気情報工学科に進むことを決めました。その後、プログラミングサークルに参加し、実践的なWebアプリの開発などに取り組むとともに、大学3年の夏からはベンチャー企業でのインターンシップを経験。忙しい日々を送っています。

武石さんのプログラミングへの関心は、むしろ高校時代に特定の興味対象が決まっていなかったことから始まりました。彼も石丸さん同様、「VI群」に興味を持ち、九州大学工学部に入学。初めてのプログラミング授業で、自分の書いたコードが動作する面白さを実感し、プログラミングの世界に没頭しました。授業以外でもプログラミングに触れたい!と思い、彼もプログラミングサークルに参加し、アプリ開発や先輩からの学びを通じて、技術と実践の両方に深く関わるようになりました。さらに、インターンシップにも積極的に参加するようになり、彼もまた石丸さん同様、プログラミング漬けの日々を過ごしています。

石丸さんと武石さんは、同じ大学、同じ学部、同じ専攻で学んでおり、プログラミングサークルでの活動を通じて親交を深めました。彼らは授業終わりに一緒に課題に取り組んだり、技術的なトピックで盛り上がったり、お互いに刺激を受けながら成長してきました。この強い関係が、福岡未踏でのプロジェクト「CommuniCare」へと繋がっています。

プロジェクトの概要

  • 課題提供:福岡市

石丸さんと武石さんが手がける「CommuniCare」は、福岡市の地域コミュニティの希薄化という社会的課題を解決するためのアプリです。このプロジェクトは、地域の結びつきを強化し、人々が互いに支え合うコミュニティを再構築することを目的としています。

「CommuniCare」では、ユーザーに自分の趣味や興味を入力してもらい、それに基づいて特徴量(ユーザープロファイルを数値化したもの)を作成します。この特徴量を用いて、似た興味を持つユーザー同士をグルーピングし、そのグループに対して地域の活動やイベントを推薦します。例えば、「サッカー」と「野球」の趣味を持つユーザーがスポーツカテゴリでグルーピングされ、関連する地域活動への参加を促されるといった仕組みです。

「CommuniCare」は、OpenAI社のAPIを活用して、ユーザーの興味・趣味を数値化し、より精確なマッチングを実現します。この技術を用いて、単語の意味を解析し、それに基づいてユーザー間の類似性を計算します。これにより、コンピュータがユーザーの興味をより正確に理解し、適切なグルーピングを行うことが可能になります。

「CommuniCare」の最終的な目標は、ユーザーが実際に地域の活動に参加し、新たな交流とコミュニティの形成を促すことです。また、単に情報を提供するだけではなく、人々が実際に活動に参加しやすい環境を作り、地域コミュニティの強化に貢献します。

成果報告合宿の様子

福岡未踏への応募理由

石丸さんと武石さんは、ともにプログラミングにどっぷり漬かった日々を過ごし、コミュニケーションを取るなかで、自然と「福岡未踏に応募してみよう」と合意したと言います。

石丸さんは、プログラミングサークルでの懇親会を通じて、福岡未踏プロジェクトを知りました。金子先生から福岡未踏について聞いた内容が、彼の興味を引いたのです。彼にとって、プログラミング技術を用いて、Solveという実社会の問題に取り組む機会は、学びと成長の大きなチャンスでした。

一方、武石さんは荒川先生の授業で福岡未踏プロジェクトを知りました。彼は、他の学生と比較しても、「プログラミングに取り組んできた」という自負がありました。さらには、それを社会貢献に繋げることにも強い関心を抱いていました。福岡未踏は、彼の技術を試し、社会的な価値を生み出す良い機会になると感じました。

彼らは、福岡未踏に採択されるからには、高い技術力が求められると考えています。他の優秀なクリエータとの交流や、プロジェクトを通じて得られる新たな経験も、彼らの福岡未踏への挑戦を後押ししました。

福岡未踏で得られたこと

彼らは、「CommuniCare」を完成させ、実際に使ってもらうことを目指しています。その意味で、彼らの技術的な目標は、この複雑なシステムを構築し、さらに実用的で使いやすいアプリに仕上げることにあります。

石丸さんは、福岡未踏に参加した他のクリエータとの繋がりに価値を感じています。技術力が高く、プロダクト開発に関するアイデアのクオリティも高いクリエータから受けるフィードバックに、大きな刺激を受けたそうです。プログラミングを愛する彼は、福岡未踏が終わったあとも当然開発を続け、社会の役に立つエンジニアとなることを目指しています。

武石さんも、技術的な刺激はもちろん、発表やプレゼンテーションの機会自体がこれまでなかったため、そういった経験自体が彼自身を成長させたと感じています。もちろん彼もプログラミングを続けていきますが、ものづくりそのものを重視する彼は、プログラミングはプロセスと捉えています。今後の人生でも、生み出すことにこだわっていきたいと話します。

おわりに

石丸さんと武石さんの「興味・関心が似た度合いが高い人同士を結びつける」というアイデアと、最先端の技術を用いてそれを実現しようとするアプローチは、お聞きしていてワクワクするものがありました。地域コミュニティの強化、という福岡市だけではない社会課題に対し、創造的かつ実用的な解決策になり得るように感じます。プログラミングが大好きな若いおふたり。今回のプロジェクトに限らず、今後のキャリアを含めて期待しています。

成果報告会の様子

福岡未踏とは

福岡未踏的人材発掘・育成コンソーシアム(通称、福岡未踏)とは、福岡県在住の若手クリエータを発掘・育成し、クリエータの「何かを作るための第一歩」を支援し、また、IPA未踏と同等の支援に加え、複数のIPA未踏経験者からなるPM・メンター陣にて、プレ人材向けの支援を行います。