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クリエータ紹介⑨大塚敏郎さん -少年時代の夢を現実に:ゲーム制作への永遠の情熱

このnoteでは、福岡未踏的人材発掘・育成コンソーシアム(通称・福岡未踏)のプロジェクト採択者について、プロジェクトの詳細や福岡未踏にかける思いをご紹介します。

今回は、チームでの役割分担やコミュニケーションを重視した、新しい形のゲーム制作プラットフォーム「GAME Session!」を手がける大塚敏郎さんの挑戦についてお伝えします。

左)大塚敏郎さん、右)担当PM松隈浩之氏

プロフィール

  • プロジェクト名:チームでの役割分担・コミュニケーションに特化してゲーム制作 を楽しめるプラットフォーム『GAME Session!』

  • 支援プランと期間:Grow(23年10月~12月)

  • クリエータ:大塚敏郎さん(九州大学 芸術工学部 メディアデザインコース 3年生)

これまでの歩み、来歴

幼い頃からお絵描きや電子工作などの創造活動が好きだった大塚さん。小学生の頃、シンプルなプチゲーム(5秒で終わる瞬間アクションゲーム)を作って遊ぶことができる「メイドイン俺」(任天堂が発売した、ニンテンドーDS用ソフト)に熱中し、自らゲームを作る楽しさを知ったそうです。この時期の経験が、後の彼のキャリア選択や、福岡未踏で取り組むプロジェクトのアイデアに大きな影響を与えました。

愛知県豊田高専での学びは、大塚さんにとって重要な転換期となりました。幼少期から電子工作に興味を持っていましたが、その後プログラミングの面白さに惹かれ、情報工学科へ入学します。学びを進めるうちに、彼は技術的なスキルを深めることよりも、そのスキルを使って何かを伝えることに興味を持ち始めました。その後、九州大学芸術工学部への編入の道を選びます。

中間発表会の様子

プロジェクトの概要

「GAME Session!」は、ゲーム制作の過程をチームで体験し、楽しむことを目的とした革新的なプラットフォームです。このプロジェクトは、単なるゲーム開発を超え、コミュニケーションと協力の重要性を伝えることを目指しています。ゲームを作ること自体に楽しみを見出したという大塚さん自身の経験をもとに、2年ほど前から構想していたと話します。

基本的なコンセプトは、ゲーム制作のプロセスをチームで楽しみながら体験することです。「GAME Session!」では、4人のプレイヤーがそれぞれ異なる役割を担います。役割にはグラフィックデザイナー、オーディオデザイナー、マネージャー、エンジニアが含まれ、各々がゲーム制作の異なる側面を担当します。(実は、それぞれの役割の頭文字を取ると、“GAME” となる面白さもあります!)

これにより、プレイヤーはゲーム制作の全体像を体験し、協力して作品を作り上げます。ゲームを作る過程で生じる創造的な課題や、チームメンバーとのコミュニケーションは、プレイヤーに新たな学びを提供します。特に子供たちや教育関係者に対しては、このプロジェクトがプログラミングやデザイン、チームワークの基本を教えるツールとなる可能性も秘めています。

福岡未踏への応募理由

当初、大塚さんは、福岡未踏が社会に役立つ実用的なアプローチを求めていると考えていました。しかし、福岡未踏の1期の採択プロジェクトを見て、大塚さんは自分のゲーム制作に関する情熱も十分に社会的な意義を持ち得ると気付きました。他の採択者のプロジェクトから、ゲームやアートのような分野でも、しっかりした目的とアプローチがあれば、未踏プロジェクトでの評価を受けられる可能性があると確信したのです。

2期目の応募では、芸術工学部の教授でゲームデザインを教えている松隈先生がメンターとして加わることが、大きな動機となりました。メンターの存在は、大塚さんにとって新しい学びと成長の機会を意味し、自身のプロジェクトに対する自信と方向性を持つことにつながりました。

また福岡未踏からの資金的な支援は、大塚さんのプロジェクトにとって非常に有益でした。これにより、必要なツールやリソースを購入し、プロジェクトをさらに前進させることが可能になりました。

さらに、福岡未踏を通して他のクリエータと交流したことにより、新しいアイデアや技術的な知識を得る機会を得られたことも貴重な経験となりました。

福岡踏で成し遂げたいこと

現在、「GAME Session!」は2人でプレイすることが可能ですが、大塚さんの目標はこれを4人でのプレイに拡張することです。この実現には、プログラミングやネットワーク技術の更なる深化が求められ、技術的なチャレンジが伴います。彼は、このハードルを乗り越えることで、より複雑で、互いの協力が必要なゲーム制作の環境を生み出したいと考えています。

また大塚さんは子ども向けのプログラミング教室でのアルバイト経験を活かし、子どもたちに「GAME Session!」を体験してもらうことを計画しています。実際に体験してもらうことで得られる子どもたちの反応やフィードバックをプロジェクトの改善に役立てたいと望んでいます。

おわりに

福岡未踏での経験を活かし、GAME Session!のさらなる開発を続けることが大塚さんの目標です。プロジェクトが一段落つけば、他の支援事業への応募も考えており、ゲーム制作の楽しさをより多くの人に伝えたいという熱い思いが伺えます。

大塚さんの取り組みは、ゲーム制作の新しい形を模索する若い才能の証です。チームワークを育みながら、ゲーム制作の楽しさを広める「GAME Session!」に、今後も期待したいですね。

成果報告合宿の様子
左)担当PM松隈浩之氏、右)担当PM金子晃介氏

福岡未踏とは

福岡未踏的人材発掘・育成コンソーシアム(通称、福岡未踏)とは、福岡県在住の若手クリエータを発掘・育成し、クリエータの「何かを作るための第一歩」を支援し、また、IPA未踏と同等の支援に加え、複数のIPA未踏経験者からなるPM・メンター陣にて、プレ人材向けの支援を行います。