危険なパン屋さんの見分け方

この文章は今まで何回も投稿しています。
大切なことなので、掲載します。
「危険なパン屋さん」の見極め方:
これを書くと元の同業者の90%以上を、敵に回してしまうことになります。でも私はベーカリー業界の発展を誰よりも願っているので、これを書きます。文責の一切は私に有ります。反論があるパン屋さんは私にメールして下さい。この文章を書くにあたり一言お断りしておかねばならないことは、あくまで対象は大手ベーカリーを除きます。以下の事項を大手さんには最初から期待しておりません。
1) オープンケースを使用しているパン屋。
全種類、オープンケースを使用しているパン屋があります。粗熱を取ったらサッとウインドウケースに移し替える、というパン屋さんが良いパン屋さんです。ウインドウケースとオープンケースの割合は最低5:5くらいが適切だと思われます。オープンケースばかりのパン屋は危険です。
2) 商品知識のない、勉強していないパン屋。
昔の考え方でやっているパン屋にこの手のパン屋は多いです。特に二代目、三代目のパン屋の主人は新しい製パン法、そして新しい商品に対する品がありません。先ずはヒトサマからあらゆる形でお教えいただく、そしてそれを咀嚼し自分のものとして改良していく、という見識が無いパン屋は危険です。
3) 食品添加物に対する知識が無いパン屋。
イーストフードと言う名の発酵促進剤、そして乳化剤等々、不使用のパン屋を選ぶべきです。日本のお役所は優しい機関でして、
A:一次原材料に予め混入されているもの、
B:加熱することによってその成分が無くなっているで“あろう”ものに関して、
C:その原材料の主なる目的を助けるための助成剤は、その添加物を提示する必要が無い
と言ってます。もはやベーカリーの中で常識なことがあります。“コンパウンド・マーガリン”と言うものです。コンパウンドと言うのは乳化剤が入っています。つまりトランス脂肪酸いっぱいのショートニングに着色料、香料、乳化剤、その他化学薬品を添加しているものにすぎません。この様に食品添加物に対する認識が甘いパン屋は危険です。
4) お客様の質問に答えられないパン屋:
試しに「油脂は何をお使いですか?」とか、「添加物はどういうものをお使いですか?」とお聞きになってみて下さい。予想される答えはこうです。「食品衛生法上許される範囲内のものを使用しています。」です。それよりももっと危険なのは「今、責任者がいないので」とか「問屋さん、メーカーさんに聞いてみます。」などとふざけた答えをするパン屋が多いのではないでしょうか。今日日、パン屋の経営者の8割は四大卒と言う高学歴だそうです。自分のお店を構えている以上、ハッキリとした自分の見解を述べられないようなパン屋は危険です。
5) ベクレル検査をしていないパン屋。
私がいろいろなところで「ベクレル検査をして下さい。」とお願いしても、五大原材料(粉、水、卵、油脂、砂糖)のベクレル検査への認識はまだまだ甘いようです。パン屋は保守的な考え方の方が多いと見えて(という自分はミギよりですが)、なかなか第三者機関へのベクレル検査をしてくれません。政府の言う100ベクレル未満ではダメなのです。本来食品には1ベクレルも有ってはいけません。ギリギリ譲ったとしても、せめて5ベクレル未満でしょう。そのベクレル検査に驚くなかれ日本全部のパン屋を鑑みても「十数軒」しか検査を受けていません。ベクレル検査というと、「メーカーサイドでしているはず」という答えが返ってくるに違いありません。こんな他力本願のパン屋は危険です。
6) 自家培養酵母を使用していないパン屋は危険。
文中、自家培養酵母100%と言う意味ではありません。少しは他の酵母も入れないと商業ペースにはならないでしょう。私が申し上げているのは「自然酵母使用」とか「天然酵母使用」と掲げているパン屋のことです。前の日にぬるま湯でかきまわぜて「ホ〇ノ」・・・若しくは完全に市販の生イースト状になっている「白〇」・・・これらを使っていても「天然酵母使用」になるのでしょうか?私は“違う”と思います。その理由はいくつかありますが、代表的なものを挙げておきます。
A:菌の同定がどのようになっているのか? 
B:培地になる原材料のベクレル検査は5ベクレル以内なのか? 
C:原材料はすべて非遺伝子組み換えなのか?
です。メーカーサイド、若しくは問屋サイドのいうことを盲信しているパン屋は危険です。
「危険なパン屋さん」の見分け方。  続編(後編)
皆様は“たかがパン”と思っていらっしゃるかもしれません。でもお米の消費量を抜かした現在、皆さんのご家庭において大切な一食の一つになっています。お米は「特A」などとランク付けされていますが、パンはランク付けがされておりません。お米の場合、農薬を使用していようが、オーガニックであろうが、有機農法であろうが、自然農法であろうが「超A」,「特A」などと言ってランク付けされているようです。因みにお米の場合、オーガニックであろうが有機農法であろうが、許されている農薬はあるそうですが。この“「危険なパン屋さん」の見分け方”が、貴方の中のパンの認識をより新たなものにし、貴方の中の「ランク付け」の一助になれば幸いです。
1) 離型剤(リケイザイ)を使用しているパン屋さん。
固形のもの、そしてスプレー式といろいろあるようです。ですがこれらの成分は良くてパラフィン、何よりも恐ろしいのはシリコンです。型の内側には“オリーブオイル”若しくは“ひまわり油”を薄く塗れば事足りることです。また小規模のパン屋さんでは少数だと思いますが、デリード(自動計量分割機)を使用しているパン屋さんがあります。この場合、生地の機械離れを良くするためにパラフィン、シリコンなどを主成分としたオイルを使用する場合が多いです。このように化学的に合成された油を離型剤として使うパン屋は危険です。
2) ショートニング、マーガリンを平気で使うパン屋さん。
ショートニング、マーガリンに入っている“トランス脂肪酸”の事は皆様が良くご存知の通りです。トランス脂肪酸は毛細血管に侵入し血管を詰まらせます。指先におきる白狼病、各種心臓障害、そして毛細血管が一番多いと言われている脳の細胞にも悪影響を及ぼします。またクローン病とも因果関係が否定できません。全編の3)を今一度ご確認ください。コンパウンド・マーガリンの主成分はショートニングです。パン屋さんによっては「このマーガリンの主成分は殆どバターです。」などという、メーカーサイド、問屋さんサイドの“売り口上”を鵜呑みにしている場合があります。トランス“死亡酸”を平気で使用しているパン屋は危険です。
3)「汚い」パン屋さん。
  7~8年前までは厨房とお店の「間仕切り」を、保健所辺りからうるさく言われたものです。私の店でも15年くらい前保健所が来て「間仕切り」が無い事を痛切に批難していきました。それはどうやら近隣のパン屋さん、洋菓子屋さんからの「チクリ」であったようです。でも5年くらい前より最近厨房の中まで見られるパン屋さんが多くなっています。ですから厨房の中をそんなに汚くしているパン屋さんは見受けられなくなりました。でもカーテンやノレンで厨房の中を見られ難くしているパン屋さんは相変わらず多いです。これは厨房の中の衛生状況について自信が無い証拠です。いわゆる生活用品、そして備品などが散らかっています。これは「異物混入」の元になります。「汚い」パン屋は危険です。
3) 紙製の容器を使用するパン屋さん。
紙製の容器はパン屋にとってすごく便利なものです。何しろ焼いた後にイチイチ型から出すことなく、そのまま店頭に飾れます。お客様の方は「あれ!これ焼きてね。紙製の容器に入っているから衛生的でステキ!」とか言って買って行かれます。紙製の容器はアルミの容器よりずっと危険です。何故なら紙製の容器には必ず、固形離型剤が予め塗ってあります。その成分は化学的に作られたワックス、そして前項1)で揚げたようなパラフィン、シリコン系のものです。これらの油脂に焼くとき熱を加えますので、溶剤が溶け出しパンに吸収されます。紙製の容器、パックで焼きたてそのままを出すパン屋は危険です。
4) 商品種類の多いパン屋さんは危険です。
今の季節、パン屋さんの店頭が最も賑やかになるときです。ザッと見渡しただけでも色とりどり、中には150種類以上の品ぞろえをしているパン屋さんもあります。私が前経営していたリスドォル・ミツでは夏場60種類、冬場75種類というのがせいぜいでした。自家製で具材を作るとなると、それくらいが精一杯でした。100種類以上あるパン屋さんは“とても”危険です。問屋さんやメーカーさんのいう事ばかりを聞くパン屋さんだからです。たこ焼き、お好み焼き、オムレツ・・・これらは冷凍食品をそのまま使用しています。ジャム、クリーム、アンコ・・・これらは問屋さんが持ってくるものを使用しています。例えばアンコの場合、何が入っているか解らない中国製のアンコ、そして仕入れるアンコに「国産」と書いてあっても、小豆がどこの産地なのか、砂糖はどんなものを使っているのかも不明です。特にアンコは添加物の宝庫と言っても良いでしょう。やたらに商品種類の多いパン屋は危険です。
5) 「国産小麦使用、石窯使用、天然酵母使用、無添加」を標榜しているパン屋さんを、最初から疑ってください。
この四つの言葉はパン屋さんに取りまして、「神器」的な言葉です。何故ならベーカリーとして一応のカッコウが付き、お客様を騙せる魅惑のフレーズだからです。
国産小麦使用のウソ:お店に並んでいる商品の全種類が国産小麦粉使用なのか、いくつかの種類が国産小麦粉を使用しているのか、それとも一つの商品あたり何割かの国産小麦粉を使用しているのか、いろいろです。是非、あなた様の行きつけのパン屋さんに聞いてみて下さい。
石窯使用のウソ:石で作ったオーブンは遠赤外線の効果が確かにあり、パン生地の中から加熱することで知られています。でも概のパン屋さんの「石窯」というのは、炉床部分にスレートが敷いてあるだけのものです。
天然酵母使用のウソ:私が見聞きした中で本当に「自家培養」の天然酵母を使用しているパン屋さんは、1000軒のパン屋さんのうち数軒だけでしょう。あとは前篇6)で書きました様にいわばどんな材料で、どのような工程で作られたか解らない即席の、「天然酵母」という名を冠たるにふさわしくないものです。
無添加のウソ:最もタチが悪いのがこれです。第一次原材料に予め混入されてあるものは・・・詳しくは前篇3)をお読みください。
本当に知らないで、無意識のまま添加物を使っている場合は取りあえず千歩譲って、「仕方ない」で済ませられるかもしれません。でも概ねのパン屋さんは「知って」います。自分が使う具材にどんな添加物が入っているか、問屋さんからその物品が届いた時点で裏面に書いてありますので。
これら四つの言葉を標榜しているパン屋は危険です。くどいようですが、最初から疑ってください。
でもシッカリと皆様に申し上げたいことは、概ねのパン屋さんは「努力」しているのです。ベーカリー業界の今日のようなテイタラクを招いた責任は、皆様、つまり消費者にもあるのではないでしょうか。安直なパンを買い求め、自分の気に入った商品が無いと駄々をこね、値段が5円高いと言っては文句を言い、、、つまり皆様方にも責任がある、という事なんです。勿論自助努力は必要でしょう。でもそれを支えて下さる、本当に心あるパン屋さんを支援して下さる方々が一人でも多く現れますことを願っております。
安心、安全、正直なパンは消費者の方々の「お心」次第、と言ったら言い過ぎでしょでしょうか?

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