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ヒューマンスケールでいこう、わたしたちは。 byみつばち1号

世の中のスピードが速い。東京は特に速い。
6年ほど前、独立し、時間の使い方の裁量の、ほぼすべてを手にしてみたら、すっかり嫌になりかけていた東京が好きになった。
とてもシンプルなことでした。時間でした。
「あぁ、贅沢だ」と、充足をおぼえるひとときが増えたのは、自由に使えるお金が増えたからではなく(実際には減った)、日々の、自由に使える時間が増えたからだ。
東京脱出と言わんばかりに、なにがなんでも出かけていた海外旅行には、以前ほど行かなくなった。“年に一度のご褒美”的なイベントは、とんと欲しなくなった。

ときどき無性に、ウエストのホットケーキが食べたくなる。平日の11時、乃木坂のお店に出かけ、ブランチに1620円のホットケーキセットを注文する。晴れた日、雨の日、どちらもいい。
「あぁ、贅沢だ」と、しみじみ思う。
仕事帰りの映画館はすでに習慣になっている。19時くらいの回に、いそいそと。いくつかのメンバーズカードを持っていて、平日のほとんどは、1000円くらいで鑑賞できる。当たりの映画を観た後は決まって、夜の有楽町駅付近の風景がきれいに感じられる。神保町で名画を観た後は、古くからの喫茶店に入る。ひとり、観てきた映画に思いをはせる。
「あぁ、贅沢だ」と、しみじみ思う。

かつて、日常に組み込めなかったあれこれ。しようとも思えなかった。休んでするほどのことではないし、それでは日常にならない。
それに、こころが自由でないと、たとえ同じことをしても味わえないのだ。時間はつくるものというけれど、力技で捻出した時間からは、生まれにくいものもある。

仕事が終わるとさっさと帰宅したかった。立ち止まらず、見上げず、直線的に目的地に向かう。満員電車。急ぎ足。ドライな景色。くたびれ気味の魂。おそらく平均以上には、自由に働けていたはずなのに、あのころわたしは、東京が苦しかった。

良くも悪くも、ひとは時間に育てられていく。いまは、以前よりいい時間に育てられ、以前よりいい仕事ができていると思う。こうしてなんとか生きていけることへの感謝と幸福感は、じわじわふくらんでくる。日常こそが大切なのだとあらためて知る。

便利を実現する技術の多くは、要する時間を短縮するためのもの。短縮され、生まれた時間で、どれほど豊かになってるのかな。
もとより最先端で戦える気はしないわたしたちだ。あたらしいものを、横目の、端っこで追い、ときどき取り入れながら、等身大のアナログを楽しもうと思う。そんな選択ができることもまた、現代の豊かさであるはずだ。

ひとがなににハッピーを感じるのか、まちでお店で、旅先で、観察したり味わったりしながら実地で学べば、おのずと仕事に反映されていく。みつばち社は、豊かさについて思索し続け、体感して、それらの表現を深めたい。手っ取り早く小手先で「それ風」にできたとして、なんになるだろう。自分の中身がどうであるかが、結局なにより大切なのだ。

”ヒューマンスケール”という言葉を最近知って、いいなと思った。主に建築の世界で使われているらしい。人間がその身体で使いこなすに合った、人間的尺度。生活したり、働いたりも、同じじゃないだろうか。豊かさは、そうした大きさや速度の中でが一番実感しやすいのではないだろうか。
もちろん、人によりますよね。でも、どのみち挑戦がつきものならば、そっちを目指して成り立たつよう挑戦したい。少なくともわたしたちは。
ヒューマンスケールでいこうと思う。わたしたちは。

みつばち社は、自らを実験台に、“働く”のとらえ直しを実践しています。
・しごと部(部費を稼ぎ、お金を回す経済活動)を中心に、以下の、ひととしてありふれた活動を、本業の一部に据えています。
・ぶんか部(文化にふれ、味わう活動)
・ものづくり部(手作り、手仕事する活動)
・えいが部(映画館で映画を観る活動)
・てがみ部(手紙文化を広げる活動)
・うんどう部(健康でいるための活動)
それぞれが、大なり小なり相互にリンクする活動でもあります。もちろんすべて会社公認、オフィシャル部活動ですが、すべて不定期、自由参加(といっても、みつばち社はもとよりふたりのユニットです)。自分たちが豊かになっていくことで、強い会社であれるよう、これからもチャレンジしていきます。

●みつばち社公式サイト
http://mitsubachisha.com/index.html
●えいが部ツイッター(こっそりつけてた鑑賞記録です)
https://twitter.com/38eigabu


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