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LAST MONTH Episode6

<今回の主人公について>
2023年入社。基幹工学部、電気電子通信工学科卒業。
入社後、SEG本部(ITエンジニア)として東京に配属。
ハキハキした大きな声と爽やかな笑顔が彼の魅力で、その場を明るくしてくれるような活力を持っています。

【別れの時】努力はきっと自分に返ってくる

私は昨年の春に、ミツイワに入社した新社会人だ。
この記事では、真面目にアルバイトをしていた自分に起こった、入社2週間前のとある出来事について書いていく。

「今月の15日にバイト辞めるんですよ。今までありがとうございました。」
「あ、もう大学卒業なのか。はやいねえ。」

お店に来てくれた常連さんとこんな会話をした。
私は大学の4年間、某コンビニでアルバイトをしていた。高校時代はアルバイトをしていなかったため、ここが私の最初で最後のアルバイト先だ。

自分の働いている店舗には常連さんが多く、4年間も働いていれば仲良くなった人もそこそこいる。そんな人たちに何も言わないでバイトをやめるのは不義理だと思い、こうして辞める日を伝えていた。

「いらっしゃいませー。あ、こんにちは!」
「こんにちは。」

業務をしているとまた常連さんが来た。
この人は特にお世話になっていた人だ。
というのもこのお客さん、10数年このお店を利用しているらしく私よりこの店舗のことに詳しい。粗大ゴミの処理券の販売という普段あんまり行わない作業で私が困っていると、何故かこの人が教えてくれた。店員ですらちょっと怪しいこの業務を、当たり前のように説明してくれた時はもうこの人が店員でいいじゃないかと思ったほどだ。
まあそんな訳で、他のお客さんよりも仲が良いのである。

「実は今月の15日にバイトを辞めるんですよ。」
「3月いっぱいやるわけじゃないんだね。15日締めだから?」
「はい、そうです。」

なんで当たり前のようにこの店の給料関係のことまで知っているんだろう。…いや、そんなの今さらか、と思った。

「にしても君も大学卒業かぁ。大学生の間ずっと辞めなかったよね?」
「そうですね。なので4年間ここでバイトしています。」
「ここでアルバイトしていた学生の中だと2番目に長いんじゃない?」
「え?自分より長い人がいるんですか?」

知らなかった。私より長いとなると高校生の時から大学卒業までの7年間くらい働いていたのだろうか。

「ほら、夜勤の○○さん。高校生のころからここで働いているよ」
「マジすか!?」

本気で驚いた。年齢から換算すると、7年どころか10年以上働いていることになる。というかバイトを辞める直前に新しいことを知ることになるとは…
常々この人には教えてもらうことばかりである。

「でもそっかぁ。寂しくなるね。」
「自分以外は全員いるので、そんなに変わらないと思いますよ?」
「変わるよ。君が一番若くて元気があったんだから。」
「そうですかね。」

正直この発言にはあまりピンと来ていなかった。このお店には私よりも仕事が早い人がたくさんいる。なので、夏休みや冬休みにあまりシフトを変わってもらえなくなること以外に問題はないように思える。

「まあとりあえず、あともうちょい頑張ってね。」
「はい!」

その通り。私はバイトを辞める事が決定しただけでまだ辞めたわけではない。そう気合を入れ直してまたバイトに励むのだった。

気づけばバイト最終日。とはいえ特別な気分になっているのは私だけだ。このお店に来る人には何ら関係ないし、私の業務が何か特別なものになるわけでもない。そう思っていた。しかし・・・

「今日で終わりなんだろ?最後に顔見に来たわ。」
「4年間よくやったねえ、お疲れ様。」
「新卒は元気が大事だ。張り切って行けよ。」

続々と顔見知りのお客さんが来店し、声をかけてくれた。
結果として今日一日の業務は今まで経験したことのない業務となった。なぜなら、このような感じで色々な人が話しかけてきてくれるからだ。流石にずっと会話しているわけではないが、それでもいつもの3倍くらいは会話している。しかもタイミングが合わなくて今日辞めることを伝えてない人からも
「お疲れ様。」と声をかけられた。

…なぜ知っているの?っと心で呟いたほどだ。

「今日は忙しそうだね。」
そうやって会話しながらレジをやっていると、いつの間にか特にお世話になっていたあの常連さんがカゴを持って目の前に来ていた。

「あ、ごめんなさい!」
「別にいいよ。急いでないしね。」
「…なんか今日はずいぶん買いますね。」
「そういう君こそ随分と忙しそうだね。」
「まあ、そうですね。皆さんが労いの言葉をかけてくださるのでつい話し込んでしまって。」
「だから言ったじゃん。君、結構人気あったんだよ?」
「そうなんですね。全然実感ないですけど。」
「実際、他の店員も君が15日に辞めるから寂しいみたいなことをお客さんと話していたし。」

…それは全く初耳だ。いやでもお陰で分かった。なぜ辞める日付を伝えてないはずの常連さんからお疲れ様と言われたのか。つまりそれは簡単なことで、他の店員から聞いていたのだ。

「さて、それじゃあ会計ありがとね。4年間お疲れ様」
「あ、はい。ありがとうございました。」

頭で別のことを考えていても、手は勝手に動いていたようで、いつの間にか会計が終わって常連さんは帰ろうとしていた。だがそこには一つ袋が置いてあった。私は慌てて常連さんを呼び止めた。

「商品忘れていますよー!」
「ああそれ?それはあげるよ。4年間お疲れ様と入社祝いを合わせてあげる。」
「え!?」

バイトしていた中で一番驚いた瞬間かもしれない。この袋には確かデザートが入っていたはずだ。しかもなかなかの量。これを全部頂くのはさすがに申し訳ない。慌てて追いかけようとしたが隣にいた店長に止められた。もらっておけということだろうか。いやでもこの量は流石に申し訳ない。なんて考えていたら常連さんはもう店を出ようとしていた。…しょうがない。

「ありがとうございました!!」

多分バイトを始めてから一番大きい声でお礼を言った。せめて、もっとちゃんとお礼をしたかったのだが、仕方ない。
常連さんは片手を上げてそのままお店を出ていった。

以上、私が3月に体験した出来事である。この時、私はとても嬉しかった。だからこそ、この様に店員だけでなくお客様にも好かれるような社会人になりたいと思った。入社してから研修に次ぐ研修で大変だが、なりたい社会人像が見えているのでそこに向かって頑張っていきたい。

↑実際に貰ったお菓子たち

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