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◇第3回「あなたも評価なさい」

みなさん、こんにちは。
キャリアコンサルタントの糸井です。
 
今回は、少し採用の世界を交えたお話をさせて頂きたいと思います。

「採用面接」と聞いてどういうことを想像しますか?


・面接官に評価されなければいけない(内定とらなければいけない)。
・自分のことを上手く伝えられるかな・・・
・恥をかいたらどうしよう・・・
 などなど

 人によって考え方は様々ですね。
 
面接の場は緊張しますね。自分がテストされている(試されている)ような気持ちになります。
 
うーん。でもどうなんでしょうかね。それって、企業優位の考え方が念頭にありませんか?
 
普通に考えると、面接官=評価する側、候補者=評価される側、という構図がイメージされます。
ただ、私はこれはひと昔前の考え方のように思っています。自論も含む形となり恐縮ですが
今は、
 
面接官=評価する側&される側、候補者=評価される側&する側
 
といった具合に50:50の関係性が大切と思うのです。
 
確かにテクノロジーの進化やグローバル化が無茶苦茶進んでいけばどうなっていくかはわからないものの、だって、今は売手市場で転職や就職を志すみなさんのような方は逆に企業に必要とされる訳ですから、評価する側になるというのも間違っていないと思うのです。
 
「評価する」ってなんだよ、という話ですが、転職を志す方も、就活で初就職を志す学生の皆さんも、面接時にきちんと企業面接官の姿勢、質問とその意図などを理解・評価して臨んでいるかということです。
 
「いやいやいやいや、面接って結局面接官の質問にどう答えるかって変わらないし、こちらが相手をどうやって評価するってのーさ、おまえさん?」
 
はい、まずはそう思われるのもごもっともです。
 
では、例えばこう言ったらあなたにとって面接官はどう映るでしょうかね。
 
・面接官があなたに接する姿勢は真摯的だったり誠実だったと言えますか?
 (人となり、しゃべり方、時間を守る、面接時の応答、自分を理解する態度 などなど)
・面接官の質問が何を意図して聴いているのか、具体的に理解できましたか?
・総じて面接官の質問は、あなたが評価されるに足る内容であったと(受かっても落ちても)納得ができる内容でしたか?
・その面接を通じて、取り繕わずに本当にその会社に入りたいと思えましたか?なぜですか?
 
どうでしょうか。
 
前回の記事で「なんではたらくの?」という点でお話をさせて頂きましたが、自身の生き様を知った先には、「じゃあ、ここの企業で~」というお考えやお気持ちが当然出てきます。
ただ、本当にその企業なの?というのは事前に社員に会って話を聴いたり、説明会に出たり、SNSやHPといった媒体を通じて得た情報などだけではなく、
 


面接官というフィルターを通してその会社を見る


こともとても大切なのです(面接官側からすると見られていることを理解することが重要です)。
 
(一般に経営学で言われますが)、「心理的契約」という言葉があります。定義は「個人と組織のニーズが調和し、両者の間でできた合意」です。
 
キャリアにおける心理的契約は、細かい事を申し上げますとキャリア初期(いわゆる社会人数年の若手社員)において、その人個人と会社とがお互いにお互いを理解したり受け入れたりしていく事、と意味付けされていて、これからの時代と雇用において重要な考え方となっています。
ただ私はこの心理的契約は転職を志す方にはもちろんのこと、就職を志す学生の皆さんにも当てはめて考えるべきことのように思っています。
 
説明会やら採用媒体やら先輩社員やらから得る情報から、自身のキャリアとのマッチングをイメージしたとしても、面接官も社員であり、その会社で働いている訳ですから、その人から発する言葉(質問)や対応もまた強力なメッセージであり、自身のキャリアへのイメージに結びつくかどうか影響するものだと思っています。その上で、本当に自分をフェアに評価しているのかという点が納得できなければ、その面接に受かったとしても、心理的契約がなされていると言えないのではないでしょうか。
 
余談ながら、RJP(Realistic Job Preview)なーんてアメリカの採用理論が日本でも流行しており、企業側は採用するに際して、前もってしっかりと企業のことを表裏含めて候補者に伝えていくことが大切と言われています。つい、面接前の情報だったり、面接前後の動機付けに関する各種イベントに目がいきがちですが、面接そのものも、RJPに通ずるのでは?と私は思ったりします。
 
「じゃあ、売手市場で私ら優位なのもひっくるめて、面接官を評価してやればいいってことですね、ダンナ!」
 
いや、そうじゃないっす・・・


根本は忘れないでください。
自分でどのようなキャリアを描いていきたいのか。
 
ここが先ずしっかりと土台にあった上に、その企業で本当に良いのかどうかという判断を多角的な視点で行っていかなければいけない(雰囲気とか条件の良さとかだけではない)ということを常々考えて参りたいところです。
 
今回もお付き合い頂きまして誠にありがとうございました。
次回もよろしくお願い致します。

~Profile~
キャリアコンサルタント/ミツイワ株式会社 人財開発部 人財開発課長
糸井 圭吾(Keigo Itoi)
学習院大学 経済学部卒。外資系IT企業入社後、大手銀行向けSEを経験。
その後、外資系並びに国内系IT企業において人事職に転身し、企業制度
設計、評価システム導入、採用、人材教育等、人事業務全般に携わる。
2016年7月ミツイワ株式会社入社。人財開発部にて採用並びに教育責任者として現在に至る。
主な有資格は国家資格キャリアコンサルタント、キャリアデベロップメントアドバイザー、行動心理士、メンタルヘルスマネジメント など。

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