見出し画像

読書感想「アフターダーク」

 椅子に深く身を沈め、目を閉じる。そしてそのまま眠りの中に入っていく。短いけれど深い眠り。それは彼女が長いあいだ求めていたものだ。(本文252頁より)

 年が明けてから最初の投稿です。

 正月ボケで色々と身の回りについておろそかになっていましたが、今後の創作のヒントを掴むため、今回は村上春樹さんの「アフターダーク」を読みました。

 村上春樹さんの小説はほとんど通らなかった自分でしたが、何か「夜」にちなんだ話が読みたいと思い探してみたところ、本作に出会いました。

 どこか哲学的な描写と、一癖も二癖もある登場人物たちの織りなすストーリーに最初は戸惑いましたが、「夜」の中に登場人物たちが抱える「光と影」を上手く取り入れていたように思いました。人間模様が様々な人と物が行き交う「夜」独特の流れに沿って、まるで光のコントラストのように描写されていたのがとても美しかったです。「夜」という舞台をこの世界の「影」の側面として扱っていたような気がしました。

 一番特徴的だったのは、語り手である「私たち」の存在でした。主人公・マリや、その姉のエリ、二人と知り合いだった青年・高橋、その他の登場人物たちの行動や心情が、「私たち」という姿の無い視点によって描かれ物語が進んでいきます。三人称視点のはずなのに、「私たち」という謎の存在による一人称のような面もあり、例えるなら常に監視カメラの視点でした。まるで、マリたちのいる世界がここではない別の現実を暗示しているかのようで、終始不思議な感覚でした。

 「夜」というぼんやりとした時間に読むには打って付けの空気を纏った話でした。合間に様々な音楽も登場するので、その音楽を聴きながら読むと、よりその場面に没入できるのも良かったです。

※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※   ※

 さて、読書感想はこれくらいにして、ここからは少し日記的なものになります。

 早いもので新しい年を迎えてもう一週間以上が経ちました。

 時間というのは流れるのが早くて、寝たり、ご飯を食べたり、ただぼうっとしてるだけでどんどん無くなっていきます。正月空気も終わったこの時期になると、時間の大切さを再認識させられます。

 今年はもう少し、自分のやりたいことに素直になれればいいなと思ってます。

 正直、まだ何もやれてない気がして不安になります。このまま時間をやり過ごすだけで終わってしまうには、あまりにももったいない気がしています。

 ただそれでも、何から手を付けて、何を目指すべきなのか、無意識のうちに悩んで分からなくなる自分がいます。「本当の自分はこんなはずじゃない」と心の中で思い続けながら、現状を凌いでいるだけの日々が続いています。

 「ここ」は自分が住む場所とは違って、自分の居場所は「どこか」別の場所にあるなんてことを、実は本気で信じていたりもします。今回読んだ「アフターダーク」を通して、よりその可能性を信じてみたいと思いました。

 まだ、この何となく中二的な気持ちが完全に消えていないからこそ、小説を書きたいし、物語を創造したいという欲がずっと燻っているのかもしれません。

 noteの投稿頻度は少ないです。ですが、それでも、もがきながら日々小説について真剣に向き合っているつもりです。

 なので、この場所が、僕の求める「どこか」へと繋がる道筋になるよう、頑張りたいです。

とりあえず、何か書きたいです(笑)


それでは、またいつか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?