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ヘインズ米国家情報長官が、日本を名指しでQアノンの影響の大きさを指摘

2021/01/23 最新追記2021/10/05


 米上院は20日、国家情報長官にバイデン米大統領が指名したアブリル・ヘインズ氏の人事を承認した。新政権が指名した初の閣僚がこの国家情報長官だった。

 国家情報長官は中央情報局(CIA)など情報機関を統括するポスト。ヘインズ氏もCIA副長官を歴任している。

 そのヘインズ氏が上院情報特別委員会で開かれた公聴会で言及した最初のプロジェクトが「Qアノン」に関する調査だった。

Qアノンって?

 Qアノンとは今や知らない人の方が少ない、米国発の陰謀論である。2017年に米国の匿名掲示板4chanで発生し、2020年には世界中に蔓延し、やがて2021年1月6日の米連邦議会襲撃事件へと帰結した。

 中国共産党やユダヤ商人、米民主党などを目の敵にし、悪魔主義やスピリチュアル系の荒唐無稽な神話と結び付け、保守派の中高年にも「わかりやすい」勧善懲悪の世界と、根拠のない大団円への約束は、疫病で閉塞した2020年に人々を魅了した。

共和党

 だが、米民主党を目の敵にした神話がなぜ米共和党による発信だと疑うものがいなかったのか?当時現職のトランプ大統領が光の使者などという北朝鮮も真っ青の「伝説」に、まさか現代世界の覇者である民主主義の牙城米国の2大政党の一つ共和党が関わるはずがないと、人は思い込んでしまったのかもしれない。

 結果的には、1月6日の米連邦議会襲撃で、多くの共和党員が関わっている疑いが浮上することとなった。襲撃最大のグループ「StopTheSteal」のリーダー、アリ・アレクサンダーはトランプ派の共和党議員3名から支援を得ていたことを白状し、多くの逮捕者を出した極右過激派のプラウドボーイズは襲撃後に突然トランプ大統領が彼らとのコンタクトを絶ったと憤った。トランプ派議員のローレンボーベルト氏は襲撃中に襲撃犯を仲間と言い、さらにボーベルト氏は過激派が処刑を求めるペロシ下院議長の居場所を襲撃中にSNSで暴徒たちに伝えた。



(2021/01/24追記)

 NYマガジン、Intelligencerの記事で米共和党の構成について説明があった。この記事によると、トランプ時代後の共和党は三派に分かれている。

 左派は、反トランプ派ジェフ・フレーク、ミット・ロムニー、ジョン・ケーシックなど共和党の民主化を推進

 右派は、左派と同じくらいのボリュームの親トランプ派でQAnonを含む膨大な極右暴力過激派と偽情報ネットワークを持つ。

 真ん中には、穏健権威主義派。ミッチー・マコーネルやマイク・ペンスなど。

 主流の穏健派権威主義は、トランプの暴力沙汰には辟易しているが、党の支持が親トランプ派から成っている事実を知っており、トランプのいなくなった今は党の改革など望まず弾劾が済めばほっかむりでバイデンと対峙するつもり。

 今や、トランプの弾劾に共和党議員が賛成票を入れると、共和党から攻撃を喰らう始末で、上院の多数派も失った共和党は、党としてはトランプの後始末をすることなく、トランプの残した偽情報ネットワークはほとぼりが冷めた頃にまたバイデン相手に使う算段のようだ。

 共和党の内戦は始まる前に終わった


QAnonの国家的調査へ

 すでに2020年12月8日に米情報委員会メンバーの米国上院議員マーティン・ハインリッヒはFBIと米国土省にQAnonの陰謀論と外国の影響について調査をするように書面で渡していた。


 “QAnonは、2020年11月の大統領選挙を含め、虚偽の危険な陰謀説を広めることにより、アメリカの民主主義機関を攻撃することに積極的に取り組んできました。マーティン・ハインリッヒ上院議員と上院民主党員は、FBI、衆議院、および複数の組織と研究者によると、QAnonの陰謀論は、国内の過激主義と暴力の行為に影響を与え、米国および海外での憎悪に貢献していると述べています。私たちの民主主義の規範を損なう。最近の報告はまた、外国の影響力の操作が、危険な誤報キャンペーンをもたらすQAnon陰謀説の増幅に貢献したことを示しています。上院議員は、米国および海外でQAnonによってもたらされた脅威に関するこの分析を要求します。”

 アブリル・ヘインズ新米国家情報長官は、この上院の文書を踏まえ、議会によって要求されたQアノンの調査をFBIと米国土省と協力し行っていくと19日に表明した。この上院の書面になくヘインズ長官によって追加された外国の影響はドイツと「日本」によるものであった。

5ちゃんねるとQAnonと札幌

 多くの研究家によってQAnonの重要な関係者と指摘されている米掲示板8kunの元管理人であり、5ちゃんねるの運営スタッフである札幌市在住のロン・ワトキンス氏は、この報道の半日後にQAnonの解散を示唆する声明を出した。

私たちはそれにすべてを与えました。 今、私たちはあごを上げ続け、可能な限り私たちの生活に戻る必要があります。 私たちには新大統領が就任し、宣誓した役人の詳細や詳細に同意するかどうかにかかわらず、憲法を尊重するのは市民としての私たちの責任です。次の政権に入るときは、すべての友人と 過去数年間に一緒に作った幸せな思い出。 III私が現在具体化している新しいプロジェクトに関して、数日でさらに多くのことを言う必要があります。 神のご加護を。 78.5K O 1月20日17:36

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日本の不正選挙インフルエンサー

 22日に発表されたコーネル・テック大学社会技術研究所の記事によると、昨年10月23日から12月16日までのTwitterでの不正選挙の申し立てツイートのデータから抽出した結果、主要なクラスターが不正選挙ツイートの大部分を引き起こしたことを発見した。つまり、少数の人間がインフルエンサーとなりこれほどの大規模増幅を引き起こしたのだ。ウィルスで言えば「スーパーインフルエンサー」である。

 代表的なサンプルでは、​​トランプ前米大統領のツイートが150万回以上リツイートされ、リン・ウッドはその期間に100万回以上のリツイート、シドニー・パウエルは60万人以上を達成した。

 しかし、我々日本に興味ある人々が注目に値するのは、このリスト上位に大量の日本のアカウントが存在したことだろう。

 機械たちの時間氏@IiKRewjPUCKO5Mb がまとめた日本のアカウントは以下のものだ。

@ganaha_masako 我那覇真子
@KadotaRyusho 門田隆将
@mei98862477 mei
@yamatogokorous アメリカから見た日本
@jack_hikuma Jack Hikuma LA在住(日本人)【gab】@Jack_Hikuma
@kohyu1952 西村幸祐

@naoyafujiwara 藤原直哉
@sonkoubun 孫向文 FightForTrump
@TrumpTrackerJP トランプ大統領ツイート日本語訳( 解説付き)非公式
@kotamama318 こたママ
@AaronOtsuka アーロン大塚
@NikoNe_san_2525 にこ姉
@Nicole_PaAvenue Nicole_PaAvenue (凍結)

@o5MeGSOQ1yac5pg 保守の会会長 松山昭彦
@MARILOVEUSA MARILOVEUSA (凍結)
@miya397156651 miya
@David_R_Stanton Ricky_Elwood
@Tomo20309138 Tomo
@ssomurice_local 弓月恵太
@shoetsusato 田舎暮しの唱悦

 名前の挙げられた人物は、日本でも知っている人が多い名のあるインフルエンサーが多い。多くの人は保守系論客として知られる人物だ。

(2021/01/24追記)

 このリストに載ってしまったRicky_Elwood @David_R_Stanton さんによる、コーネル大研究の分析。



スティーブ・バノンと自民党

 だが、ここで疑問になるのが、なぜ世界中のインフルエンサーを飛び越えて日本のインフルエンサーがリストに大量に載ることになったのか?

 以前、私はツイッター上で広げられた「なぜ日本ではトランピストが多いのか?」というスレッドをまとめて紹介した。

 この記事でまとめた識者の認識を総合すると、日本の保守/右翼は、米共和党や共和党のプロパガンダチームを率いるスティーブ・バノンの情報(ブライトバードなど)を受けており、自民党もスティーブ・バノンと深い交流がある、というものだった。

 確かに、スティーブ・バノン氏は公式にはトランプ前米大統領と袂を分かったはずの2017年以降も日本の自民党と頻繁に交流をしていた。現在は選挙汚職事件で裁判中の河井克行元法相は、彼のブログで2017年12月から2018年8月までの約半年間に4回もスティーブ・バノン氏と会合したと述べている。

 2019年3月には、自民党本部主催でスティーブ・バノンの講演会を開いている。

 2017年12月16日-17日にスティーブ・バノン氏によって日本で行われたJCPAC2017という政治資金調達パーティでは、数多くの有名保守論客が集まった。また、このパーティには、統一教会幸福の科学の関係者も見られたという。ここに集まった保守派の人々は2020年米大統領選挙不正選挙偽ニュースの増幅にも一役買っている人ばかりだ。

 統一教会や幸福の科学というと、2020年11月後半から、日本国内で頻発したトランプ応援デモの主催者がこれらの宗教団体であったことが多くの報道からわかっている。


 幸福の科学では、スティーブ・バノン氏のインタビューも行っている。

 スティーブ・バノン氏は日本だけではなく世界中の極右勢力と国際極右ネットワークを作っていたという報道もある。

 もしも、ヘインズ米国家情報長官が述べたように、日本に特にQアノンの影響が大きかったということが、これら日本の保守陣営による米大統領選挙不正選挙偽ニュース伝播の特別な大きさを指し示す場合、日本の政権とこれからのバイデン氏の米国新政権との関わりが始まる前に、日本側も真摯にこの現象を調べる必要があるのではないかと思う。


追記 2021/01/24

2021/02/04追記

共和党と陰謀論


国防省のサボタージュとフリン(弟)



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