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ハードワークできない時代のベンチャー新卒の生存戦略

今年も新年度になりました。毎年4月1日に書いている新卒向けnoteも早3年目ということで、2022年は「ハードワークせずに、しかし市場価値の高い事業責任者クラスの人材になるにはどうすればいい?」というテーマについて書いてみます。

なお、2020年、2021年の新卒向けnoteもぜひ読んでいただければ幸いです。

いきなり自分の話で恐縮ですが、この記事を書いている私は、いわゆるハードワーカーだと思います。新卒最初の3年間は飲み会が無い限り毎日9時~24時まで自主的に働いており、週の労働時間が70時間を超えないことはほぼありませんでした。
※念のため補足すると、私は1年目から新卒入社した会社の子会社代表取締役になっていたので、残業規制等の法的制約の外におり合法です。また当然に労働時間のコントロール権は私にあったので、会社から強制されていたものではありません。

そういう背景の中、学生や若手社会人の方、あるいは人事の方から、下記のような質問をよくいただきました。

(新卒)若手として、圧倒的成果を出すにはどうすればいいですか?
(人事)圧倒的成果を出せる若手は、どう育成すればいいですか?

この質問は非常に難しく、結果的に、次のような回答をしていました。イーロン・マスクの似たような発言に強い影響を受けているという自負もあります。

人の2倍働く。1日16時間くらい働く。週80時間働く。でも、毎日最低6時間の睡眠と運動はキープする。それ以外を全て削る。そうしたら最低2倍は成果が出る。成果を出すともっと難しい仕事がもらえて、もっと成果が出せるサイクルに入る。それをずっと繰り返す。

しかし最近、このアドバイスは起業家向けには良くても、新卒や若手向けには不親切だと感じるようになりました。というのも、かつての私のように1日15時間働くことは雇用の法律上不可能です。また残業時間は是正対象になるのが今や当たり前で、是正されなければ上司の評価が下がるというのがマトモな労務管理をしている会社です。

じゃあどうすればいいのか?私の2022年現在の持論は、下記一択です。

プライベート時間の殆どをポータブルスキル(英語、会計、テクノロジー等)の獲得に投下して仕事の幅を勝手に広げる。できれば1日最低4時間以上、月間100時間をスキルアップに投下する

すなわち、仕事ですぐ必要ではないけれど、確実にできたほうが将来のキャリア可能性が広がるスキル獲得に勝手に時間を投下する、というものです。何をやるかはもちろん自由ですが、私なりのオススメスキル(私が実際にやったこと)を5つほど紹介します。

ポータブルスキル①_英語

英語の習熟度を測るフレームワークとして世界中で活用されているCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)では、英語習熟度はA1,A2,B1,B2,C1,C2の6段階に分類されています。

A2レベル(英検準2級)相当以上を獲得している高校生割合は、なんと2019年の調査で50%を下回っています

そして、一般に英語が「普通に使えて話せる」レベルはCEFR B2レベルにあたりますが、仮にA2レベルの日本語ネイティブスピーカーが独学でCEFR B2レベルを目指す場合、1000時間は見積もる必要があります。つまり、1日4時間勉強しても、250日かかります
※一般にCEFRのランクを1つあげるには200時間の勉強(指導付き)が必要と言われますが、これは言語間距離が近い場合(英語と似ている言語感覚がある場合)の話で、言語間距離が遠い日本語話者が英語を勉強する場合、もっと多くの時間を見積もる必要があります。

英語勉強めちゃくちゃオススメ!と友人知人に話すと「今の仕事では英語は別に使わないんだよね~」という業務視点の回答をよくもらいます。一方私は、実は仕事では滅多に英語を使っておらず、「日常的なニュース収集や勉強、簡単なリサーチ、Podcastなど全て英語にする」というスタンスで生活をしています(iPhoneやTwitterの言語設定も英語)。情報収集の幅が広がり格段に多くの情報を入手できるようになった結果、結果的に仕事の成果も押し上げていたように思います。


ポータブルスキル②_会計

会計スキルには様々なものがありますが、財務会計の基礎である記帳スキルとしての簿記2級とファイナンスの基礎としてのFASS検定Cランクが有用です。

簿記2級は、簿記3級未取得者の完全どシロウトからスタートしても、350時間あれば取得可能。簿記2級は昔と異なり、現在は連結決算や税効果会計まで含まれる難関資格の1つになりましたので、400時間かけて勉強し90点超えで合格できる実力があれば相当なスキルになります

FASS検定は、簿記のように帳簿作成に特化せず、資産分野・決算分野・税務分野・資金分野の4分野について学べる幅広い試験です。経理実務者向けの試験としてはよく知られていますが、個人的には、経理的知識がある程度必要となる事業責任者や起業予定の若手にもオススメできる試験です。経理や財務の実務担当者でなければAランクを目指す必要はありませんが、Cランク程度の知識があると、ビジネスの会計・財務面で詰まらずに進めやすくなるように思います。なお、簿記2級程度の知識があれば、Cランクは20時間程度の勉強で十分に到達可能です。


ポータブルスキル③_WEBサイト&LP作り

自分でサーバーを契約して、Wordpressで自分のウェブサイトやメディアを作ってみる。独自ドメインをとって、STUDIOやStrikinglyなどのLP作成サービスでLPを作ってみる。そういった経験がある人とない人では、WEB関係のビジネスに関する会話の進みやすさが全く異なります。余裕があれば、HTMLとCSSまで勉強するのがオススメです。どれも独学で可能です。また、将来的に起業しようかな?新規事業やろうかな?と思ったときに、アイデアを検証するハードルがとても低くなります。


ポータブルスキル④_プログラミング

スタートアップでも新規事業でも、ビジネスを進めていく上で、必ず、エンジニアと要件定義や開発スケジュールの会話が発生します。その際に、自分にプログラミングに関する知識が一切ないと、全くもって会話についていけず、コミュニケーションコストが高くなります。すなわち、技術としてのプログラミングではなく、思考プロセスや共通用語としてプログラミングをかじっておくと、仕事がとても進みやすくなります。

テクノロジー領域で事業責任者や起業を目指す若手であれば、Progateなどの初心者向けプログラミング学習サービスを利用して、どれか1つの言語を全レッスンクリアするのがオススメです。私は学生時代にドットインストールでC言語のコースを完了し、社会人になってからはProgateでSQLを全レッスン受講しましたが、結果的にこのような経験があらゆる場面でのエンジニアの方との会話のしやすさに繋がっていたと思います。


ポータブルスキル⑤_デザイン

非デザイナーであっても、自社ビジネスのUI/UXについて意見する機会、ウェビナーの登壇資料やホワイトペーパー、LP等でデザイン知識を求められる瞬間などは無数にあります。特に、デザイナーを雇ったりデザインを外注する予算がない組織でその傾向は顕著でしょう。

そういった非デザイナービジネスパーソン向けのデザイン入門書やスライドデザインの基礎レクチャー本は、本屋に行けば沢山並んでいます。キャリアの早い段階で独学でもデザインの基礎を勉強するだけで、日々のプレゼン資料や営業資料の刺さり具合がガンガン変わっていくので、とてもオススメできるスキルです。また、プログラミングを学ぶとエンジニアの方との会話がしやすくなるように、デザインを勉強するとデザイナーの方との会話も圧倒的にしやすくなります。


というわけで、ハードワークできない時代のベンチャー新卒が生き残るために、プライベートで学べるオススメのポータブルスキルを5つ紹介しました。

若手としては、プライベートでこういったスキルの獲得に時間を投下すると、キャリアの選択肢がぐっと広がるように思います。また人事制度としては、逆にこういったスキル獲得支援に予算や時間を投下できると、巡り巡って成果を出せる若手が育つのでは、と感じます!

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