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本日の猫たち #196(ロアルド・ダールについて少し)

読書の秋、ということで、猫たちの様子をさぐりながら、ずっと読みたかったロアルド・ダールコレクション(20冊+2冊、日本語訳)を淡々と読んでいます。

仲良しの先住猫と妹猫
(兄猫は本の端、妹猫は栞をかじるのが好きなので、読書をするときは猫たちがいないときに限ります)


かつて旧社会主義国に住んでいたとき、とにかく活字に飢えていました。今なら電子書籍があるのでいつでも日本語の本が読めるのですが、当時は日本語の本なんて夢のまた夢。たまに英語の本があるので英語の本を読んだり、あとは仕方なくロシア語で現地の本(最初は児童書から)を片っ端から読んでいきました。

そんな中で出会ったのがロアルド・ダール(ロシア語発音だとロアリド・ダーリ)の「マチルダ」(ロシア語発音、マチリダ)です。


「マチルダ」
クェンティン・ブレイクさんのイラストが最高にかわいい


ロシアの児童作家にこんな面白い作品を書く人がいたのか!と夢中になって読んだのですが、賢明な読書好きの方ならおわかりでしょう。ロアルド・ダールはイギリスの作家です……。

「この作家さん、英国事情に詳しいなあ」「英国描写がすごいなあ。すごいリアル。うわーなつかしい」(私自身、短期ですが英国に住んだことがあります)と感心して何冊か読み進めていたとき、あ、イギリス人だから当たり前やないか……ということに気づきました。

マチルダで「£(ポンド)」が使われていたときに気づけよ、と思うのですが、当時は作家のプロフィールにまったく興味がなかったのと、なぜか旧社会主義国にあるのは、旧社会主義国の作家のものだけ、という思い込みがあり(※事実、私が移住した当初は西側の国の本は少なかったですし、日本人作家も外国を舞台に外国人を主人公とした小説を書くので)、軽く1年はロアルド・ダールはロシア人作家!と思い込んでいました。

あるとき現地の友人に好きなロシア人作家を聞かれ、「レフ・トルストイ、ミハイル・ブルガーコフ、マルシャーク、プーシキン、ロアルド・ダール!」と答えたことがあるんですが……そのときに「ロアルド・ダールは(名前からして)ロシア人作家ではない」ことに気づいていたでしょうに、訂正してくれなかったので、私は本当になにも知らず、楽しい読書生活を送ることができました。

児童書を片っ端から読みあさっているうちに、なんとなく普通の小説も読めるようになり、村上春樹(旧社会主義国でも大人気でした)作品、指輪物語、ハリー・ポッターもロシア語(と英語)で読み……ということを続けていると、あるとき気づくわけです。
「あ、日本語で読んでいない!(ので、日本語の単語がわからない。日本人の方と話すときに引用できない、台詞が言えない)」

マチルダの中でさりげなく、心に刺さった台詞があります。
ミス・ハニーにおもしろかった本を聞かれて答えるマチルダの台詞。

“Do you think that all children’s books ought to have funny bits in them?” Miss Honey asked.
“I do,” Matilda said. “Children are not so serious as grown-ups and they love to laugh.”

「あなたは、子どもの本はみんな、こっけいなところがなければいけないと思うの?」
「そう思います。子どもって、大人ほどまじめじゃないんです。笑うのが好きなんです」


この鋭い評はきっと作家ロアルド・ダールが児童書が書くときに心に留めていることなんだなと。

あーやっと日本語訳を知って、すっきりしました。

というわけで、いろいろ日本語(翻訳)で読み直しているところです。
ロアルド・ダールの「マチルダ」は楽しいので(いろいろ人物描写が大げさなところもあるんですが)、未読の方はぜひぜひ。
良い児童書は子供が読んでも大人が読んでも楽しめます。

自分語りが長くなってすみません。

うちの猫たちは今日も仲良く、ぬくぬく休んでいました。

妹猫(上)と兄猫(左)


猫たちが遠くにいるときこそ読書タイム


最後までご覧いただきありがとうございます。
暦の上ではもう冬ですので、あたたかくしてお過ごしください。

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