本日の猫たち #241(調律日の猫たち)
本日は半年に1度の調律師さんが来る日。
調律・整調・整音していただくとわが家のピアノが本当に美しい音色、響きになり、ピアノも私も喜ぶので、楽しみにしています。
問題は2時間前後の調律の時間、うちの猫たちをどうするか――です。
私は愛猫家ですが、ピアノの部屋に猫たちを入れさせたことはありません。
(猫たちが勝手に入ってしまったことは3回あります)
ピアノと猫の写真を撮ったら映えるだろうなあとは思うのですが、わが家のピアノは私が清水の舞台から飛びおりる思いで買ったShigeru Kawai(自分専用のピアノを買ったのは初めて)。万が一ひっかき傷をつけられたらと思うと……いくら愛猫でも部屋に入れられません。
余談ですが、Shigeru Kawaiを購入した理由は、長年憧れてやまないミハイル・プレトニョフが使っているからなのですが、弱音・中音の響きが本当に素晴らしく、自分が頭に思い描いた音より数段上の、繊細な音が出せ、表現の幅が広がります。おかげで練習嫌いだった私が毎日ピアノに向かえるようになりました。Kawaiさんのまわしものではありませんが、本当にうまくなりたい方に心からおすすめするピアノです。
というわけで本日の課題は、調律師さんの作業の邪魔にならないよう、また私のピアノを傷つけないよう、好奇心旺盛なうちの猫たちをピアノ部屋に入れないこと。
調律師さんはピアノ室とその付近を作業スペースとして使われるので、ピアノ室の外に置いている猫用トイレを移動させ、調律が終わるまで猫たちと別室に閉じこもることにしました。
昼間の2時間、普段なら猫たちのお昼寝タイムなのですが、今日に限っていつも猫たちが入れない開かずの間が開いている……そこに知らない誰かがいる……物音が聞こえる……となると、猫たちはどうしてもそっちに行きたがります。
せっかくなので猫たちとキャッチボールでもして過ごすか、と思ったのですが、激しく物音を立てるのは調律の邪魔になってしまうわけです……。
かといって遊ばなかったら、猫たちの不満がたまり「あ”~~」と大声で合唱して、調律師さんの作業の邪魔をしてしまうことは間違いありません。
猫飼いのピアノ弾きの皆様は、調律中、猫たちとどう過ごしていらっしゃるのでしょうか。
猫たちが子猫(ケージ生活)だったときは、猫たちのことは特に考えず、私一人、読書などして静かに過ごしていたのですが、成長した猫たちは家の中を自由に動きまわる生活に慣れてしまっているので、一部屋に閉じ込めるというのが至難の業なのです。
そんなこんなで調律の音をBGMに猫たちを順番にマッサージし、ブラッシングするなどして、なんとか無事に調律が終わりました。
調律の確認をお願いしますということで、ぱらぱらと弾いた後は、調律師さんとお茶タイム(いつも素晴らしい音に仕上げて下さって感謝感謝です)。うちの猫たちは警戒心は強いですが(おさわり禁止)、あまり人見知りしないので、普通に顔を出してご挨拶。
そして調律師さんがお帰りになった後のこと。
解放感いっぱいの猫たちは盛大にはめをはずし、そのへんを転がりまわりました。
はめをはずした……というより、普段使っていないテーブルクロスやお客さん用スリッパを出していたので、「自分たちのにおいをつけないと!」という本能だったのでしょう。猫たちはありとあらゆるものにすりすりし、せっかく掃除した場所を毛だらけにし……再度掃除をするチャンスをくれました。
2時間の調律イベントが、猫たちがいることで手間が2倍に。
ただこういう苦労こそ、その後、記憶に残る思い出に変化するわけです。私が歳をとったとき、「あのとき本当に大変だったんだよー」と語りながら、その時間が実は至福のときであったと思い返すのだろうなと、しみじみ思いました。
脈絡なく綴ってしまいましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
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