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Avenir Shard #10 北海道

2019/9/18早朝、札幌市北区で発生したアヴニールシャード#10は5日後の22:00、27回目のジャンプにより台湾ゴールに到着した。
ここでは、その前半戦である北海道脱出劇の舞台裏をレポートしたい。(あくまでENL側からの視点なのでRES側のも読みたいな)

クロスファクションとイベント

前置きとして、グローバルシャードがクロスファクションにより行われたのは初めてである。ネメシスという一応の共通敵を相手に両陣営は協力しゴールを目指す。しかしその違和感に不満を漏らしたAGは少なくない。

ただ、(元祖)ダルサナアノマリーより以前、デブラウィルスという凄惨なポータル減衰現象を相手に、両陣営が無茶なグローバルMUを達成するためCF維持やミルフィーユCFを呼びかけあったイベントがあったと言う。共通敵を相手にしたクロスファクションイベントは決して今回が初めてでは無いそうだ。

立場と価値観が浮き彫りになるイベント

しかしグローバルシャードは今まで陣営戦としての勝敗に直結し、膨大な移動コストから色んな意味で選ばれしAGにしか参加が難しく、作戦行動の守秘度も猛烈に高いまさに「スパイ」としての真骨頂が味わえるイベントだった。

その旨味はクロスファクションとは対極すぎて、今回の対人戦的、陣営貢献的な達成感の無さから参加を見送ったり消極的なガチ勢も多かったと聞く。

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特に北海道脱出後のルート選定時、両陣営ともに台湾への通路を確保するための日本近海防衛ガードリンクの解除交渉の難しさは、公式イベントと日本を沈められない為の防衛ラインの死守、二つの天秤だけではない測りきれない複雑な価値観のぶつかりが発生した(んだろうと思う)。

主体の無い思惑の中

さて北海道はアノマリーこそようやく経験したものの、広く薄ーく、やたら濃いAGが分布するゴールデンカムイみたいな状況。他県に比べて集団性は薄く普段のAG活動もかなりフリーダムである(個人の印象です)。

そこで発生したグローバルシャード。何年か前にも小樽に現れた事があったが、当時を知らないAGもボチボチ増えて、しゃあどーしましょう。陣営戦の無いシャード戦。何をどうすべきかは誰も教えてはくれない。少し前、EXO5の後に発生した「緑にしか動かせない」という意味わからんEXO-PREシャードに関わった方は、少しだけ理解できるかもしれない。でも今回はゴールだけは確実にある。

大僧正のいないシャード戦

陣営戦でない戦いに司令官は無く、大僧正様のお言葉は降りてこない。あるとすればきっと「シャードの思いに従え」くらいなもんだろう。
図らずも#10シャードに割り振られたアーキタイプは「Listner」。発生現場に到着したAGたちは、そんなのどうでもいいからとりあえず飛ばして遊ぼうぜ、とカジュアルにリンクを引いてみたりしていた。

ここからは時系列で

1日目。
6:00 札幌市北区に沸く。まさかの札幌玉出現は誰も予想していなかった。意味不明な住宅街ど真ん中のかろうじて遊歩道。なぜここを選んだ…

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その後両陣営コミュで、XF合同イベント部屋への募集が行われる。以後北海道脱出し広域部隊に玉が渡るまでここで両陣営による方針討論と交渉が行われた。

11:00のジャンプタイム。リンクはつながっているのになぜか飛ばず。AGがボイコットする前に玉がボイコットしたのか?これは設定ミスだったらしくNiaのコミュニケーションマネージャーの神の手により強制ジャンプ。通常営業。まさに信じるな。

16:00「三和交通 交通安全地蔵」から前田のローソンへ。ちなみに経由地にここを選んだAGは優秀だと思った。駐車場が広大。まさに北海道って感じ。田舎のシャード戦とは車対策である。(ローソンさんお世話になりました、ちゃんとお買い物しましたw)

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21:00 この時間は何故かENLのAGだけが10人ほど集まったので近くの前田森林公園へ移動。(ルールにはなかったけど一応)ランダムジャンプを警戒して直前のローソンへリンクを引く。まだ、日本海経由なのか太平洋ルートが使えるのかこの時点では見えていなかった。石狩湾まで持ってくのは出来ただろうが、台湾までの見込みルートが出来ないうちに変な方には進めない。

2:00 無人?のままローソンへバック。

2日目

7:00 一本しかリンク張ってないため前田森林公園に自動バック。
この辺は玉は無人で放置されていた。普通のグローバルシャードであれば寝ずの番がいてもおかしくなかったかもしれないが。やろうと思えばこの時点では飛ばし放題である。

その頃両陣営の広域部隊では各所のルート選定が行われていたと思われる。考えられるのは前回のグローバルシャードと同じく日本海出雲ルート(ロシアからの邪魔リンクを切りに行けるAGがいなく断念)、一度礼文に北上し一気に台湾を目指すルート(経由地の過去スプーファ事案が起こったエリアが敬遠され断念)、太平洋ルート(宮古島などのENLの要衝が多く、無理に通すと妨害食らう可能性も高かった)、そしてまさかのアラスカ経由でアメリカゴールもありえたかもしれないが、これは根室の有力RESの協力がない限り難しいと思われた。

日本各所の沿岸警備AGには「なぜXFでのイベントの為にガードを解く利敵行為をしなければならないのか」「点数にならないシャードを運ぶせいで日本を沈められたらどうするのか?」という方も当然いて、同陣営内の交渉は普段よりもより困難だっただろう。例えばルートの一案だった札幌→太平洋沿岸→津軽海峡通過→台湾直行をやると、同時に日本ほぼ全没のBAFルートが解除されてしまう。各地域で日頃BAF警戒に並々ならぬ影の努力をされているAGには価値観的にあり得ない交渉を受けるのだ。

各島々のAGやゴールの台湾まで、様々な場所で行われた調整がようやく終わり、北海道XF部屋での会議により太平洋ルートが選択された。既にシャード発生から24時間が経過していた。

札幌脱出計画の発動である。比較的リンクの少ないルートを通る為に夕張経由で太平洋を目指す。XFでのシャードイベントの利点はポータル密度の高い内陸部を通す時にも、協力すれば結構無理が通る点。

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2日目12:00 ENLにより大麻(おおあさ)へ移動、この札幌脱出を図る際も、両陣営が同じintel mapを見て参戦、移動直前、たまたま発生した邪魔リンクを間一髪でRESのAGが急行し排除した場面もあった。まさにXF協力である。しかし、故意の妨害が起こらないわけではない。

17:00 RESにより栗山へ移送予定だったが、XFで運ぶのは余裕すぎてつまらないと妨害を公言したソロAGにより起点が反転され、別リンクにより夕張へ移送される事件が起こった。

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まさかの時限ポータルか?また妨害は続くのか?平日に実働可能者が少なく、陣営戦で無いせいでドリブル形式でほぼ単独で移送しており、起点ノーガード戦法という牧歌的な進行が仇となったのだ。

XF部屋では、すわ、ネメシス陣営が現れた!とか、妨害もまたナイスイングレスだよね、と冷静な感じで対応策が練られた(みんな大人だなぁ)。でもこの反転した人、昔揉め事があった時にXFイベントが汚されたとか大声でG+で叫んでた人だった気がするけど、思いっきりXFイベント妨害側に回って両陣営を敵に回すとはいい度胸してる😆

しかし共通の敵が現れ、XF部屋では両陣営の融和ムードが進んだ気がする。やはりネメシスというフワフワした概念よりも分かりやすい悪役がいた方が、協力はしやすいのかもしれない。敵の敵は味方だと、イベント告知にはあった。それが実現しつつある。

現地のAGによりポータルは反転破壊。玉は奪回された。
22:00 RESにより新夕張に輸送 。今度は厳重なガードリンクにCFでガッチリ囲んで、2日目は終了した。この日はENL AGからRES AGへキー渡しも行われていた。普段からは考えられないや。と感じた。

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3日目

3:00 オートでランダムジャンプ防止の小ジャンプ。
8:00 同じく襲撃なくステイ。

13:00 この日はENLにより平取へ移送。この頃から世界各国からおいどうなってるんだと進捗心配のcommやTGが寄せられる。近隣の国や地域から「遊びたいからシャードを寄越せ」的なコメントや、「ゴールする気あんのか?」という問い合わせが多い。海路を一気に進んでいるアメリカ玉と違って、内陸部は徐々にしか進んでいないように見えるからだろう(とはいっても道内の移動は半端ない距離である)

知らない海外AGからの「この後どうするつもりだ?」の問い合わせに対しても、回答に悩んでいた。果たして相手は、協力したいのか?それともメダルが嫌いでゴールさせたく無い勢か?スプーファーで妨害しようとする勢か?返答を誤ると面倒が起こりかねない。

18:00 札幌から長距離移動したENLのAGにより、妨害警戒のガードリンクをしつつ日本有数のingress要衝である襟裳(えりも)へ移送が完了した。
襟裳には有力なRESのAGがおり、その人の出方によっては大変な困難が予想されたが、ENLのAGを快く迎えてくださり、提供下さった夕食の美味報告の飯テロに、XF部屋では物凄く羨ましい!との声が盛り上がっていた。

日本脱出のためには襟裳からどの島に飛ばすのか。千葉付近からは玉の滞留を望まない声も寄せられていた(地域により台風災害が現在進行形なため)。太平洋ルートは複数の案が検討されていた。幸いこの襟裳のキーは(多分)多くの国と地域に出回っており、相手側の状況と邪魔リンクのカット次第でプランB以降もありえる。当時台風17号はまさに太平洋で勢力を強めつつ接近しており、各島々のAGの動きは極めて不確定要素が高まっていた。

根室の強力な青の邪魔(防衛)リンクはRES側で対応できないとの事でENL側でカット、本州側を封鎖するガードリンクが張られた。これは玉ポータルへの本州側からのスチールを防止する為である。
そして23:00 無事小笠原へ移送が完了【北海道脱出!】

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小笠原に襟裳からリンクが張られた直後、根室のRES実力者から即、小笠原にリンクが張られた。防衛ラインの再構築なのだろう。敵の敵はやっぱり敵でもある。

その後、奄美、宮古島を経由して台湾現地での強烈なリンクライン開通作業により、無事#10はゴールした。
実働していただいた方、各種交渉で困難に直面した方には本当に賞賛しかない。すげえよみんな。

まとめ・感想として

このルールと設定では、XFでプレイ出来たのが幸いしたと思う。片方の陣営が無理にラインを通せば相手からの妨害もありえる。しかも今回は下手したら味方の陣営にすら協力を得られない、どころかむしろ妨害される可能性も結構高かった。

その為には(アノマリーではなく)たまたま最近復活してきたFSなどのXF交流は大きかったと思う。AGとして顔を見て、XFイベントを経験したりが最近あまり多くなかった。北海道XFの交流ルートが最近ようやく徐々に出来つつあった矢先の今回のイベントだったのは幸運だったかもしれない。信頼できる敵ってのは、対戦ゲームにはやはり欠かせない存在だ。

また、自身がingressというゲーム上の価値観をどう持っているかが浮き彫りになったイベントでもあった。交流なのか、防衛なのか。どこまで情報を提供できるのか。今後の陣営戦なのか、経験値なのか。相手の事情をどこまで聞いて花を持たせるところで持たせるのか、我を通すのか?

正直、毎回こんなクロスファクションでも困るけど…やってみたら色々発見があって興味深いイベントだった(と個人的には感じた)

なおこのSitrepはクレームが来なければingress forum にも転載したいと思う。あそこは後から編集できないんだよね(^^;
#ingress
#AvenirShards

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