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「生きる」ということ

2010年7月24日日経新聞夕刊に掲載されたものです。

 昨年、このコラムで紹介した遠位型ミオパチーという希少難病患者である中岡亜希さんが来週、再度、車いすで富士山に挑戦する。
 遠位型ミオパチーとは体の中心部から離れた所より徐々に筋力が弱まり、次第に全身の自由が奪われる難病だ。国際線客室乗務員であった彼女がこの病気にかかっていると判明したのは7年前、25歳の時で今では上半身のわずかな筋力しか残っていない。

 病気が進行するなか、彼女は一念発起し、自ら特定非営利活動法人(NPO法人)「希少難病者支援事務局(SORD)」を設立、活動を始めた。希少難病はあまりにも症例数が少ないため治療や治療薬がなく、公的支援体制もない。SORDはそうした希少難病患者のための署名活動を行い、支援を募り患者同士のネットワークをつなげる。中岡さんは自身の病と闘いながらSORDの活動を通じて「死なないでいることと生きるということは違う」という思いに至る。
 そして昨年の12月24日、free×FREE Project(フリーバイフリープロジェクト)という会社を立ち上げた。この名前には日本で必要なのはスロープなどの物理的なパリアフリーにとどまらず、障害者に対する偏見をなくし、思いやりを持つ勇気(心のバリアフリー)が必要という中岡さんの思いが込められており、その世界を実現するための会社だ。

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