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少々苦しい思いをしてでも、欲しかったスニーカー。

 僕の財布に1,600円しか入っていないのは、先日買った、最高に素敵なスニーカーのせいだ。それは火を見るよりも明らかで、あげく家計は火の車である。業火に燃えている。通販サイトの「27.5cm 残り1点」に飛びついた僕は、まさに「飛んで火に入る夏の虫」であった。先人の言葉は尊い。「金食い虫」とはよく言ったもんだ。

 苦しくも幸せな悲鳴の元凶が、これである。「ptarmigan(ターミガン)」というブランドのスニーカー。お店で一目見た時から、購入は決まっていた。いわゆる、一目惚れである。目に入った瞬間、「これだ!」と思った。

 この靴には、一般的な「靴紐」が無い。足の甲あたりに取り付けられたダイヤルを回し、黒くて細い紐を締めてフィットを調整するタイプだ。面倒臭がりの僕にとっては、最高の機能である。

 僕は、靴紐を結ぶ手間すらをも鬱陶しく思い、「めんどくせえ」なんて言いながら抜き取ってしまうような男だ。下のスニーカーもそう。

 靴紐は捨ててしまった。我ながら馬鹿だったと思う。仲良しの方からのインタビューには、「これはミニマリズムを体現しています」と答えた。あれは酔っ払って言ったデタラメだ。以下のインタビューページを読んでいただければ分かるはずだが、そのデタラメはしっかりバレていた。

これが私のとっておき。『It’s My Sunday Best』 Vol.11 三浦 希さんhttp://www.fukulow.info/sundaybest-11/

 「素敵な靴は、素敵な場所に連れて行ってくれる」という言葉がある。イタリアかどこかの言い伝えだそうだ。この新しいスニーカーもきっと、どこか素敵な場所に僕を連れて行ってくれるんだろう。

 何度も言ってしつこいくらいだが、無論お金は無いから、なるべく安い居酒屋にしてもらえたら良い。こと今回に関しては、テーブル席でも座敷でも、どっちでも良い。でも、できればこってり自慢したいから、座敷の席で願いたいところだ。脱ぎやすく履きやすい、この靴だからこそである。あぁ、嬉しい。

頂いたお金で、酒と本を買いに行きます。ありがとうございます。