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記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。

舞台『ジャンヌ・ダルク』2023

信じることの強さ
つながり
愛と成長の物語

舞台『ジャンヌ・ダルク』2023
2023.11.28(火)~12.17(日) 東京建物 Brillia HALL
2023.12.23(土)~12.26(火) オリックス劇場

【オンデマンド配信】

https://t.pia.jp/streaming

※観劇で感じたことをいつまでも残しておきたい気持ちから自分が感じたままに記載いたしました。感想に偏りがあることご了承ください。
※物語の内容に感動したため、ストーリー順に実際観劇した時を振り返り、配信を観ながら記載いたしました。
※加筆修正する可能性があります。
※ネタバレ多く、かつ私の勝手な想像が含まれます。
また、ファンのため小関さんの感想が多めなこと、観劇経験が少ない上、私のつたない内容や文章をご容赦ください。


ダイナミックかつ壮観な1幕

ジャンヌ登場

ゆっくりと浮かび上がるジャンヌ。
第一声を聞いたとき低く意志を感じる声が、映像で見たことがある清原さんではなく、ジャンヌそのものだった。

ドンレミ村にて

ドンレミ村では清原さんのダンスをしているかのような大きな動きが村の襲撃の凄まじさを感じさせた。剣を持ち兵士に立ち向かう姿は勇敢さを感じつつ、我に返った時の表情からは普通の農夫の娘なんだということを感じた。
だが、ジャンヌが白い御旗を掲げ、市民の先頭に立ち、進む表情は輝いていて、市民の顔は希望に満ちた笑顔で、ジャンヌが、貧しい生活から抜け出せる小さいけど確かな輝かしい光だったのかもしれない。

孤独な王太子シャルル

王宮ではシャルルがジャンヌからの手紙を読み苛立っている。
自分に自信がなく、未熟さゆえのプライドが見える表情と話し方、周囲の期待と自己認識との差に苛立ち、その重圧に押し潰されそうなシャルル。義母ヨランドや王妃マリーから物理的にも一定の距離を置き、他を寄せつけず檻に入り、自分を自ら苦しめているかのようだ。
そんな孤独な様子が小関さんの不安げな目の動きや強がりを見せる話し方で感じさせてくれる。特に1幕で気になったのはシャルルの、手を握ったり洋服を掴む仕草にその不安な様子が見え隠れしていた。
マリーとの会話でも猜疑心が強く、自分を見失って、マリーに強く当たるが、マリーが去る姿を見ながら後悔の仕草を見せる。さらに東京公演途中に感じたが、この場面でも言葉はキツイのにマリーの手を握るシャルルの手は温かく優しく感じた。
きっと愛し方がわからないのだ。

その後のジャンヌとシャルルが神に祈るシーンも印象的だった。(※考察中)

ジャンヌとの出逢い

ジャンヌがシャルルに初めて謁見するシーン。
貴族が集まってパーッと広がってシャルルが現れる瞬間の、あの演出が神秘的で奇跡的で好きだ。

「あなたはあなた」とシャルルに伝えるジャンヌ。
この時、シャルルは国王になる最初の一歩をジャンヌから導いてもらった。

※だが、まだこの時は真の国王ではない。
「お前は私に何をしてくれる」という言葉…。

ジャンヌと出逢ったことで自信を取り戻し、ジャンヌを指揮官と宣言するシャルルと、それに呼応するようにシャルルを国王へと導く力強い言葉、声、姿、眼差しのジャンヌ。

オルレアンにて

ジャンヌ達がフランス兵に食料を運んできた。
そこに、アランソン登場!血の気の多い感じ、その屈強な感じがまさにアランソンだ。
このシーンでは「奇跡」と「ジェンダー」がテーマだったように思う。

ジャンヌが剣で自分の髪の毛を切るが、中世ヨーロッパでは髪を切る事は体を切ることと同じという考えがあったそうだ。このシーンはジャンヌの覚悟、決意の表れであった。

ひとり残されたジャンヌの前に少年が現れる。花をジャンヌに手渡す。
公演によって花は2輪のときもあれば1輪の時もあった。(※まだ考察中)

圧巻の戦闘シーン

100名ほどの兵士が駆け巡るシーンはまさに圧巻!!!
客席をも含めた会場全体が戦場かのような、私たち観客も戦っているかのような感覚だった!!
フランス軍が客席側に並んでいるところなんかは私たち観客も兵士になって戦っているかのように思えた。
特に広い大阪会場は戦いの凄まじさを感じた。エキストラの方たちの運動量も相当なものだったのだと思う。
戦闘シーンは熱い炎のエネルギーを感じた!

アランソンが公演ごとにキレのある殺陣になっていくのがわかったし、あんなに長い槍なのにあの素早い動きがとてもカッコよかった!

さらに、イングランド軍タルボットが登場!
殺陣がとにかくカッコいい!!キレがある殺陣と同じくらい鋭い視線がたまらない!!

そこに、鎧姿で御旗を持ったジャンヌが勇敢に登場した時は痺れた!!

「行こう!神は我らとともにある!」

剣の代わりに御旗を振って兵士を鼓舞する姿、指揮官として勇敢に闘ったジャンヌの「行けーーーーーーーー!」という声にゾクゾクした!
「オルレアンの少女」の音楽と共に、兵士ひとりひとりの表情を見ながら、それぞれの歴史、背景に私は思いを馳せていた。兵士が駆け巡るシーンでは私の感情が動いた!!泣いた!!
(特に大阪オリックス劇場では音楽に包み込まれる感覚が舞台ならではの贅沢さを感じた。)

また、撤退していくイングランド軍、タルボットの足元がふらついていたり、疲労困憊の表情など、細かく演じられていると感じた。

ラ・ピュセルを想うシャルル

オルレアンを開放したと聞いたシャルル。興奮を抑えきれない表情、高揚感に満ちた声。自分を認めてくれた妹が自分のために道を開いてくれた嬉しさが全身で感じられる。(両手をグーにして前で噛みしめている時もあった)
「私の可愛い乙女よ、ラ・ピュセルよ!」というシャルルの妹を想うキラキラの笑顔。
この表情があるから後のシャルルの覚悟の表情が活きていくると感じた。
(ラストのシーンの表情を見た時に、なぜかこの笑顔が思い出された)
※しかしシャルルのこの時の笑顔は自分のことだけまだ考えている未熟な王太子の様子である。そして、まだ「ラ・ピュセル」なのだ。(後述する)

ストーリーテラーのレイモン

レイモンがストーリーテラーのように、アランソンにジャンヌの存在の大きさ、奇跡を伝えるシーンも印象的だった。
奇跡を信じていると早死にすると言った後歩いていくレイモンの後ろ姿が後のレイモンの死を思うと皮肉だし、悲しかった。

ベッドフォード×タルボット×コーション

冷静で威厳に満ちたベッドフォード。熱く勇猛なタルボット。論理的で冷淡なコーション。この3人の対比も印象的なシーンだ。

ジャンヌの寝室 ーランスにてー

ジャンヌの寝室に現れるシャルル。
ここではその檻から出て本来の素直な自分の姿を見せていた。ジャンヌに感謝を伝えるが、その声、穏やかな笑顔の表情が公演ごとに柔らかいものになっていくのを感じた。1幕序盤では周囲から一定の距離を置いていたシャルルだが、ジャンヌの手を見て、愛おしい想いが溢れ、近づきたい、抱きしめたい、そんな感情が見えた。
※だが、まだこの時も「私に王冠を与えてくれた」「私のためにか」という言葉…。

壮観で神秘的な戴冠式

戴冠式のシーンはまさに壮観の一言!!
まずは小関さんの、戴冠式での白いファーに青いマントを羽織った衣装、輝かしい王冠が似合いすぎて、眩しすぎた!!歩く姿からすでに高貴で威厳を感じ、国王として宣誓する時のその表情は1幕序盤の自信がなく不安げで未熟な王太子ではなく、自分がフランスの国王だという自信に満ちていた。
(これは配信で気づいたのだが、宣誓の「神の名のもと、この私に託されたことを。」のところだけ、ジャンヌのほうを見ているように感じた。)

と同時に、東京公演中盤から戦略家の顔も感じるようになった(これは2幕序盤のシャルルにつながる)。
※だが、この時もまだ、私には”勝利王”と呼ばれるまでの国王になりきれていないのを口角が上がる野心的に見える表情から感じた。
(これは公演ごとに増しているように思った)

それに対して、鎧姿で神の声が聞こえなくなり自信がなくなっていくジャンヌ。
舞台の中央で光と影を感じるシャルルとジャンヌの対比が印象的だった。

重厚かつ人間ドラマの2幕

神の声が聞こえないジャンヌ

神の声が聞こえなくなってからのジャンヌは旗の振り方もどこか勢いがない。
※この時もシャルルはまだ「それでもお前なら何とかしてくれる」という言葉…。

旗を持ち続けるということ

剣を振りかざすジャンヌに対して、それを止めるレイモン。
剣ではなく旗を持つことをジャンヌに促す。※後述あり
本当にレイモンはこの物語で重要な役割を担っていると感じたシーンの一つだ。ここでもストーリーテラーのレイモンだった。

シャルルとマリー

愛おしそうに大事に右手を見つめるシャルル。
山崎さん演じるマリーの王妃としての葛藤、瞳や表情からくるシャルルへの愛の深さを感じて、こみ上げるものがあった。
シャルルがジャンヌに対して持っている血のつながりからくる絆のようなものにマリーは嫉妬していた。だって、シャルルはマリーを含め精神的に周囲と一定の距離を置いていたから。マリーもそれを感じていて、セリフにもあるように自分にはシャルルの心は埋められないという葛藤が震えた声に乗せて切なく感じた。
(マリーのこの想いも公演ごとに深くなっていった)

トレムイユの空気感

ジャンヌに対して策略を企ててきたトレムイユだが、ドンレミ村の言い伝えを語るシーンが印象的だった。あの不穏な空気感はサスペンス要素を感じさせた。

ジャンヌとレイモンの関係

刺された後の弱っていくレイモンの演技が素晴らしかった。
ジャンヌには人を動かす力があると。何度も言うがここでもストーリーテラーのレイモン。奇跡は信じていなかったが、ジャンヌ自身のことは信じていた。そのジャンヌの力を信じてそして託して、ジャンヌとケヴィンの代わりに自分が身代わりになる。
ジャンヌは鋭い視線で敵兵を睨みつけ剣を振るう。そこに倒れたレイモンが何かを言うようにジャンヌの元へ。まるで「お前が持つのは剣じゃなくて旗だろ」=「お前は死ぬんじゃなくて生きるんだ」と言っているかのように。それを受けてジャンヌは悟る。剣を投げ捨て、旗に持ち替える。
他の登場人物のシーンでも感じるが、この”つながり”に完全にやられました。泣きました。
1幕から剣と旗がアイテムとしても印象に残り、その意味を考えるようになった。剣は死を、旗は生を意味しているように感じた。

清原さんの演技に痺れた!!

旗を持った後、敵兵に捕まり、槍で倒されそうになりながらもフランスのために立ち向かいながら言い放つときの目力から感じる凄まじい気迫、言葉の強さ。魂が震える演技だった!!これは言い過ぎではない。それくらい素晴らしい演技だった。

そして、この時のケヴィンがジャンヌとおやっさん(レイモン)を想って嘆く姿も素晴らしかった!「おやっさーーーーーん」ではいつも泣いた。
これは観客の感情を動かしたと思う。

小関さんの真骨頂!!

ジャンヌが捕まったと知るシャルル。シャルル×ヨランド・マリー×ラ・トレムイユによる会話劇が、まさにラジオで小関さんが話していた王宮の緊張感のあるエネルギーに満ちて繰り広げる見応えのあるシーン。

後ろを向いていても遠くからでもわかる背中から動揺と失意を感じる佇まい。1幕でも似たようなセリフが何度かあるが、「私のためではない」「私を見ていなかった」と嘆くシャルルの様子から、家族からの愛情の喪失、家族への強い想い入れ、もっと言うと実の母親への執着みたいなものを感じた。
父親は早くに亡くなり、実の母からも見放され、孤独の中に生きてきたシャルルが、実の母親と同じ指の特徴を持つジャンヌの手を見て、妹の存在を知って、その妹が自分を王と認めてくれたという真実。それはシャルルにとって、家族の愛情を感じる特別な出来事だったのだ。もしかしたら、ジャンヌを母親とも重ね合わせていたかもしれない。
しかし、ジャンヌは自分ではなく神のために戦っていたことを知ったシャルルはまた愛情への喪失感を抱く。

このジャンヌの素性を語るシーンの小関さんは観客の感情を引っ張っていき、私の感情を激しく揺さぶった!!
かと思えばその後の、自分の運命を恨み流す涙が、深い失意の底にいるかのような表情がシャルルの背負うものの大きさを感じ、静かな重くどっしりとした感覚になった。
小関さんの真骨頂を見た!!!

心理戦を繰り広げる異端審問

ジャンヌとコーションとの心理戦のようなこの会話劇も見応えのあったシーンのひとつで舞台で観る醍醐味を感じた!

司教であるコーションとの問答にも怯まず答える。それはまさに王宮の血筋を受け継いでいると思わせる論理的で知的なものであった。
それにジャンヌは一貫して神の言葉を強い意志を持って信じ従っていた。
そのジャンヌの神への想いに対して、コーションは嫉妬すら抱いていたのではないかとその表情や口ぶりから感じた。奇しくも、ジャンヌとコーションどちらも同じ「神は我らとともにある」というセリフを言っているのだ。

また、ここでも同胞を想い熱いタルボットと冷淡さを秘めたコーションの対比が表れていた。

ヨランドの愛情

戦略的であるヨランドが温かい人間らしさを表した場面にぐっときた。
本当のジャンヌに触れていたケヴィン達にジャンヌの秘密を知っておいてもらいたかったという場面。その言葉も、その温かい声も、愛情深いヨランドを見せていた。ジャンヌの救出と王位存続の間で苦しんでいたのはシャルルだけではなくヨランドも同じなのだった。シャルルがヨランドにジャンヌへの手紙を託したのもわかる。シャルルのためではあるのだが、最後までヨランドはジャンヌを守っていたのだ。

託された手紙にこめられた想い

ヨランドに「ありがとう」という一言にシャルルの義母ヨランドに対する想いがこめられていた。特に東京公演の中盤でのその「ありがとう」はかなり感情がこもったものだった。

このころのシャルルは1幕の檻に囲まれたガチガチのシャルルと違って、どこか人間として柔らかさを持っているように感じた。

ジャンヌの運命

ジャンヌを助けに来たケヴィンがなんとカッコいいことか!
ジャンヌを想い、徐々に大きく強くなる声に伴って感情の高まりを感じさせる演技が最高だった!

少年が現れ、ジャンヌに花を渡す。
この時の花については、1幕で少年が渡す花が2輪の時は2幕では1輪、その逆もあり、公演ごとに異なっていた。(※まだ考察中)
少年のゆっくりと変わっていく優しい笑顔、そして幻想としてひっそり佇む存在感が素晴らしかった!

シャルルはジャンヌに志を捨てて普通の暮らしをするよう望んだが、そのシャルル(少年)によってジャンヌは自分の運命を知り、自分の信念に再び気づき、決意する。なんと皮肉なものか…。
(だけど、その信念はその後、シャルルへとつながっていく。)

そして、ジャンヌは再び剣(死)を持つ。

火刑台

ベッドフォードがこんなにも慈悲深い人だったとは。
火あぶりの指示を出すときも、ジャンヌの運命を一緒に憎んでいるような表情が印象的だった。
イングランドの旗を振っていればというベッドフォードの言葉がずっしりと重く感じた。運命というものを強く感じた。

ベッドフォードを見つめる目も、佇まいも、火刑台へ進む凛とした姿も、最期までその意志、信念の強さを持ったジャンヌだった。

そして、火刑台でのジャンヌは強さの中に自分の運命を悟り決意した、心静かで穏やかな表情が、涙を浮かべた瞳が、自分の魂の代わりにフランスの平和を願うジャンヌが、泣けるのです!!

魂は生き続ける

自由になれ、私にでないことすべてをジャンヌに叶えてほしかったと嘆くシャルル。
この言葉を聞いて私は、個人的な話になるが、昔、母が似たようなことを言っていたのを思い出した。自分ができなかったことの代わりに弟の夢を叶えてあげたかったと。シャルルが妹ジャンヌを想う気持ちと同じだ。
このシーンになるとそのことも思い出され、余計に涙が止まらなかった。ジャンヌに託すシャルルの想い、それが叶えられなかった悔しさ、その感情が爆発する小関さんの演技でさらに私の感情はぐちゃぐちゃにかき乱された。

ケヴィンを殴ろうとするのを止める少年。この時の少年は私にはジャンヌに思えた。「違います。私は自分の道を自分で決めました。シャルル様も自分の道をお進みください。」とでも言っているかのように。
その後、ジャンヌが自分の意志で決意したことを知って、その美しい顔していたという最期の様子を聞いてからの、小関さんのジャンヌを想う愛ある優しい顔から決意に満ちた顔へ変化してく様子が、感情の伝わる表現が素晴らしく、これも小関さんの演技を観る醍醐味のひとつだと思った。
※この場面が真の国王になった瞬間だと私は感じた。
(これも配信で気づいたが、「他の貴族達の資産も徴収するぞ」と言う時のシャルル、貴族達もそばにいることが小関さんの目線の配り方でわかった。小関さんのこういう細かい演技が好きだ。)

そして、ラストのシャルルの言葉。
あの、自分に自信がなく、自分も他人も信じず、後ろ向きで、自分のためにしてもらうことばかりを考えていた愛されたい未熟なシャルル王太子はもういない。
ジャンヌの魂を胸に、強い覚悟を持ち、国民のため、そしてジャンヌのため、戦争の勝利を願う未来を見据えた、真のフランス国王シャルル7世がそこにいた。
また、ジャンヌの意志を引き継ぎ、その道を作ろうとする姿を後ろで見守るヨランドの表情が、自分で将来を切り開こうとする息子を見て、嬉しく、頼もしく思う母の顔をしていた。ここも泣けた!(これは配信を観て初めて気づいた)

妹を想う兄の穏やかな笑顔、その瞳からは優しい涙が流れていた。
※この時、1幕の「ラ・ピュセル」の笑顔を思い出した。1幕の笑顔はまだ単に自分のためしてくれた嬉しさからくる笑顔だが、このラストの笑顔は妹を想う優しく、柔らかい、慈悲深い笑顔だった。
※さらに、シャルルは「私の可愛い乙女よ、ラ・ピュセルよ!」(1幕)ではなく「我が愛しき乙女、ジャンヌ・ダルクよ!」と言う。「可愛い」ではなく「愛しき」、「ラ・ピュセル」ではなく「ジャンヌ・ダルク」なのだ。
自分に何かをしてくれる普通の少女ではなく、妹の生きた軌跡、意志、信念を尊重する愛ある兄がこの言葉の違いにも感じられた。

そして、力強く拳を握る姿、揺るがない覚悟の表情、それはまさに将来、”勝利王”となる人物そのものだった。

このラストにかけての小関さんの演技が震えるほど最高だった!!!

最後の最後の、シャルル含めフランス兵士たちが拳を握りしめ、雄叫びを上げるシーン。その後ろでジャンヌが旗を振り、レイモンがそっと見守っている。まるでシャルルたちの未来を見守り、応援しているかのようでここでも泣けたのだ。
この最後のシーンはフランスの勝利を確信するものだった。

ジャンヌの意志、魂は生き続ける!!!

演出、脚本、音楽、衣装、照明、アクション、他

・瞬時に場面転換が行われる演出も私には新鮮だった。

・兵士が振る剣が光っていることで、剣と剣がぶつかり合うのを表現されているように思い、そのシーンも映像を切り取ったかのようで印象的だった。

・シーンが切り替わる時に徐々に切り替わっていく感じが何が起こるんだろうってドキドキさせた。

・火刑台でのジャンヌの最期、暗転の中音楽だけが流れる。この時が悲しく、涙が止まらなかった。

・プロモーション映像のシャルルの顔が半分が陰になっているのも、シャルルには2つの側面があることを表しているのではないか。(一般的かどうかはわからないが)ジャンヌを見捨てた冷酷なシャルルとその中に私たちには見えない優しいシャルルがいる。

※追記予定

カーテンコール

キャスト全員がカーテンコールの最後まで役に徹しているのも良かった。
もちろん、キャストの言葉がほしいのは正直なところだが、今回のジャンヌ・ダルクに関してはその世界観を大事にされているのがわかった。

舞台キングダムの時でも思ったが、カーテンコールで前に出てくる時の小関さんが私は好きだ。自分の作り上げてきた役が観客に届けられたという自信に満ちた表情が。最後の最後までシャルルとして生きていた。
最後に胸に力強く手をおくところは小関さんの、この舞台に対する熱い想いがこめられていて、言葉はなくともその想いはちゃんと伝わった。

キャストの皆さんと観客の私たちが感想を言い合っているようなコミュニケーションを取っているような感覚になるのが、カーテンコールの素敵な時間だと思う。

観劇を通して感じたこと

まずは、無事に全公演完走されたこと、おめでとうございます!
私には想像することしかできないが、キャストの変更などがあったこともあり、開幕から大千穐楽までカンパニー全員で乗り越えてより絆の強いチームになったのではないかと感じる。このときスウィングの方々が何役も覚えて備えていると知って、その重要性と共に尊敬したし、感謝した。
公演を止めないで私たちに作品を届けてくださり、ありがとうございました!

この作品から私は「信じることの強さ」「つながり」「愛と成長の物語」をテーマに感じた。

ジャンヌは神、自分の意志を信じ、シャルルはジャンヌを信じた。フランス軍もジャンヌを信じた。ジャンヌを信じた皆の想いが集まり、強いエネルギーとなり、フランスの勝利へと導いた。信じるモノがあるということはこんなにも強いものになるのだということをジャンヌとシャルルから感じた。
そして、同時に思うことがある。それは自分を信じること、信じ続けることの強さ。ジャンヌは自分の信念を最後まで貫いた。自分を信じ続けた。
現代でもSNSなどいろんな声を見聞きする。他が見る自分の姿と自分が見る自分自身の姿とは必ずしも一致することがなく、苦しくなることもあるだろう。そんな時、自分を信じることの強さが前と進む力となる。
※ジャンヌは男の服を着たかったわけでも女の服を着たくなかったわけでもない。ただ自分の信念のために何をすればいいかを考えていただけなのだ。

また、作品全体を通して、ジャンヌがシャルルを導き、シャルルがジャンヌに託し、最後はジャンヌの意志を受けシャルルの覚悟につながっていく。
このジャンヌ→シャルル→ジャンヌ→シャルルの意志の「つながり」の尊さを東京千穐楽で初めて感じて、私はこの作品の深さに感動して、号泣しました。このつながりこそ、シャルルが勝利王になれた要因のひとつだと思った。これはレイモンがジャンヌに”生きる”ことを伝え続け、それを受けてジャンヌが自分の意志を取り戻したことでも感じることだ。フランスの兵士達がジャンヌと出会い、彼女を信じたこともそうだろう。
いつの時代も人は「つながり」の中で生きている。そのつながりが私達の原動力となり、強い意志へ変化していく。

そして、シャルルの成長から、”愛する”ことがいかに人を成長させるかを感じた。自分に与えてもらうことばかり考えていたシャルルだが(それも背景があるのだが)、ジャンヌという妹と出逢い、与えることを知った。愛の喪失を感じていたシャルルだが、与えることでジャンヌへの愛を感じることができた。

※自分の中でまだ落とし込めていないことが多く、追記修正予定です。

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