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2022年9月19日(月•祝)ポーランド国立放送交響楽団2022日本ツアー@神奈川県民ホール

このnoteは、ポーランド国立放送交響楽団日本ツアーの千秋楽に参加したmiwaが、この日の記憶を少しでも留めておくために書いたものです。
コンサートの翌日書いており、感動の中に記憶が埋没しております。
ご容赦ののうえ、読んでいただけたらうれしいです。

【コンサート概要】

◆コンサートタイトル
ポーランド国立放送交響楽団 2022 日本ツアー
◆公演日時
 2022年9月19日(月・祝)14:00開場 15:00開演
◆会場
 神奈川県民ホール
◆出演
 ピアノ(ソリスト):角野隼斗 Hayato Sumino
 指揮:マリン・オルソップ Marin Alsop
 オーケストラ:ポーランド国立放送交響楽団 Polish National Radio Symphony Orchestra

【プログラム】

◆バチェヴィチ オーケストラのための序曲
◆ショパン ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11
◆ドヴォルザーク 交響曲 第9番 ホ短調 《新世界より》作品95 B.178

【アンコール】

◆1部アンコール
 ・作曲:バーンスタイン(編曲:ネストル・パヨナ)〈キャンディード〉序曲
 ・作曲:ガーシュウィン(編曲:角野隼斗) アイ・ガット・リズム
◆2部アンコール
 ・作曲:モニュシュコ
  歌劇《ハルカ》第1幕:マズルカ(1857)
  歌劇《ハルカ》第3幕:高地の踊り(1857)

【前置き】

なにから書いていいかわからない。

チケットは公演主催者のサンライズプロモーションのメルマガ会員枠(FC枠よりも早い)で取った。しかし先に川口のチケットを取っていた自分。夫の許可が下りるかたぶん無理だろうと思われ、でも横浜を諦めきれなくて受付開始の翌日におそるおそる尋ねたら、「祝日だから大丈夫」とのこと。川口とは違うコンサートの体で尋ねたのがよかったのかもしれない。夫には感謝しかない。でも1日遅れて申し込んだから席はあまり期待できないと思っていた。6月20日、ミニストップで発券してそおっと席番号を見たら「1階1列31番」。調べたら最前列の真ん中!!びっくりするしかなかった。どんな風に見える席だろう?音は?でも絶対に楽しい席に違いないと、わくわくしながら当日を迎えた。

13日で11公演を行うこのツアー。お天気や交通機関やコロナや、いろんな影響が想定され、いつ公演が休止になってもおかしくない状況だったけれど、音楽の神様は導いてくださった。1公演も1人も抜けることなく千秋楽を迎えることができた。この奇跡に心から感謝したい。

カトヴィツェでのリハからチームの結束と信頼はどんどん高まっていった。サントリーホールでは終演後ステージでの撮影会(かてぃんさんも合流)が行われ、松本ではかてぃんさんがみなさんにぶどうの差し入れ。そして横浜では・・(後述)

当日は大型で猛烈な台風14号が西から横浜をうかがっていた。案の定朝からは晴れたかと思ったら小雨になり、止んだかと思ったら、激烈な雨になる、猫の目のような天気。襲来のタイミングによっては、開催中止になるかもしれない。開催されても帰りの交通機関が止まるかもしれない。もう数日前からドキドキして、無事に開催されますようにと祈ってばかりいた(被害があった地域の方には心からお見舞い申し上げます)。

そして横浜公演は無事に開催され、大盛会のうちに終了した。

【はじめに】

前置きが長くてすみませんでした。以下、たぐいまれなる席にいたにもかかわらず、感動の波に包まれ網羅的にはなにも覚えていないmiwaによる雑文です。見たまま聴いたままを書こうとしていますが幻覚幻聴である可能性が多すぎます。どうかご容赦ください。

当日はいつものようにかなり早出してゆっくりタイムを作りながらの現地入り。まずは地元のモスバーガーでブランチ。いつものメニューはくつろぐ(ちなみに海老カツバーガーとオニポテとコーラ)。そして電車で移動して日本大通りへ。会場の神奈川県民ホール近くのKAAT(神奈川芸術劇場)のカフェでお茶。KAATでは事前に13時開演の舞台があることを確認していたので、12時40分くらいに着いて少し並んで舞台客の退出を待てば座席が取れると思って行ったら、その通り12時50分くらいに入店できた。県民ホールのカフェは混むだろうと思い避けた。ここではじめましてのフォロワーさんと合流ししばし楽しい会話。14時過ぎになったところで県民ホールに移動。すでに多くの聴衆が来場していて(ヘッダー画像参照)、千秋楽らしく華やかに高揚した空気に包まれている。パンフレットの列は、これまでの公演で買われた方が多いからか、とても短かった。ポスター類は密対策のため場内には掲示されていなかった。

そして客席へ入場。近づくにつれステージが迫ってくるように(でもステージはあまり高くないから圧迫感はない)近づいてくる。心拍数が上がる。客席につく。少し上を見上げる。近い。ほんとに近い。ピアノの椅子まで3メートルあるかないか。オケはほとんど見えないと思っていたら、すごくよく見える。オルソップさんはコンチェルトでは完全に隠れるけれど、新世界よりでは完全に見えそう(お顔は横顔だけ)。でもこの位置でかてぃんさんの顔は見えるだろうか。ピアノで隠れてしまう?気になりつつも近さに圧倒されて過呼吸になりそうになる。お隣りにフォロワーさんが見えたのにもびっくり。


最前列まん中の席からステージを臨む

影アナが入る。コロナ対策で演奏中はCOCOAが稼働できるようにスマホを設定してくださいとのこと。機内モードにしサウンドをOFFにしBluetoothをONにした。あとは楽しい音楽の時間を待つのみ。


【バチェヴィチ オーケストラのための序曲】

オケの方々の入場。すでにあったまっている会場から大きな拍手。自席からは第1バイオリンとビオラとチェロの方がとてもよく見える。

オルソップさんの入場。にこやかな笑顔。あいかわらず颯爽としてかっこいい。

川口で聴いた時よりもさらに音がまとまって(縮こまってではない)いいサウンドになっていた。遠くから少しずつ少しずつ迫って来る曲調を今日はより強く感じた。チェロの主席の方が見た目も音も(たぶんあの音だ)かっこよくて素敵だった。輝かしい未来を感じる曲で、このツアーを通じて大好きになった。

【ショパン ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 作品11】

◆1楽章
かてぃんさん颯爽と登場して丁寧にお辞儀。座られたすぐにはお顔が見えなかったけれど1楽章がはじまると半分は表情が見える。あらためてすごい席だと実感した。

オケによる主題のはじまりでは曲に合わせて首を左右に小さくゆっくり振り、時々ふと目を閉じて宙を仰ぎ、金管が「パパパパパ」と鳴るところではそれに合わせてくちびるで「パパパパパ」と歌っていた。オケが進むにつれだんだん曲の世界に入っていっていく。まっすぐピアノと向かい合う。以前の公演で右頬に大きめの吹き出物が出ていたのが気になっていたけれど、ほとんどなだらかになっていたから安心した。

ピアノの入り。納得するしかない。素晴らしかった。この音が、このフレージングが欲しかった、その音が見事に届いてきた。その先もずっとそうだった。なんてわたしの欲しい音を全部くれるのだろう。川口も素晴らしかったけれどそれ以上に広々と生き生きと、曲が命を持って輝いているのを感じた。

スケールが続く時、1回目と2回目で音色や弾き方を変えている、その変え方が美しくてうっとりした。かてぃんさんの音色は、以前ラボの時には21あると言われていたけれど、このツアーを経て30くらいにまで増えたのではないかと感じている。

自席からのピアノの音、もっと固くておなかに響くかと予想していたけれど、角がなくてまろやかで豊かでそれでいて強さも芯もある、よく響く音だった。オケとのバランスも良くてとても満足した。

◆2楽章
しあわせと愛と感謝と。かてぃんさんの顔が体がしあわせに溢れていて、これまでのことを思ってこみ上げてくることがあり過ぎて、あまりコンサートで泣くタイプではない自分がほろほろ涙しそうになった。でも演奏が素晴らしくて涙が溶けていった。オケがかてぃんさんの気持ちを汲んで寄り添っている。いや寄り添っているというよりも同じ気持ちを共有して一緒に音楽を作っている。客席もみんなしあわせと愛と感謝に包まれていた。極上の空間。あの場所にいたすべての方に、いやこのツアーを見守り支えてくれたすべての方(SNS上でつながってるみなさん含む)にありがとうの気持ちでいっぱいだった。

そういえば2楽章で「無」になるところが素敵という声を以前見かけたのだけど、わたしには「無」は感じられなくて、やわらかに弧を描きながら着地するギリギリまで響きがすぅーっと残って、空気に完全に溶けるコンマ零数秒前に次の音が入っていてとても美しいと感じた。

「追憶」で使われている2楽章のモチーフの入り前は8分休符だけど、川口では少し長めだった休符がこの日はちょうどに刻まれていてそれでもほぉっと息が出てしまいそうになるほど美しい入りだった。このきらめきの部分の音色が明確で、未来が確実に見えているのを感じた。

◆3楽章
This is Cateen。かてぃんさんにしか弾けない3楽章だと思った。トリル大好きかてぃんさんがトリル多めに、楽譜に書いてある通りだけれどタラララがほかの人が弾くよりも多い感じだった。ダンスダンスダンス!

ころがる音も、広がる音も、ふくらむ音も、強い音も、やさしい音も、全部がショパンが喜ぶ音だった。ラボで練習していたところが川口よりもさらに充実した音と流れになっていて、わたしも喜ぶのみだった。

膝の上で右手でタララララとオケの旋律を奏で、左手でトントントントンとリズムを刻んだり、曲と同化してるのを感じた。オケが終わるのを惜しむように、でも最後まで心を合わせて一緒に奏でてくれている。

オケとタイミングを合わせるところでは、オルソップさんとかてぃんさんが目を合わせ2回3回うなずきあって曲がどんどん進んでいく。聴衆がみんな曲の世界に包まれ盛り上がって最高の気分になっているのが背中からあたたかく感じられた。

そしてフィナーレ、この音しかないと思えるようなスケールと弾き切った笑顔のかてぃんさん。オケがまだ弾いている途中に後方から雪崩をうって押し寄せてきた拍手喝采、スタンディングオベージョン。最高オブ最高。オルソップさんと熱いハグ。こちらを向き直ったかてぃんさんの目が潤んでいる。

おめでとう!おめでとう!おめでとう!

【1部アンコール】

カーテンコールのたびにどんどん高揚していく客席。オケからもブラボーの声が飛ぶ。客席の後ろの方からもブラボーが聴こえる。

そしてアンコールかと思ったらかてぃんさんが話し始めた(以下ニュアンス)

今日はお出でいただきありがとうございました。
無事ツアーファイナルを迎えることができました。
アンコールを毎回変えてきて(ここで客席から拍手)
千秋楽はなににしようかと思って
オルソップさんへのリスペクトをこめて師匠のバーンスタインの「キャンディード序曲」をピアノでやるつもりでいたのですが、「いやせっかくだからオーケストラと一緒にやろうよ」(客席沸く)と言われて、副指揮者のネストルさんが急遽楽譜を作ってくれてやることになりました(客席拍手喝采)

かてぃんさんのお母様のブログによると、オケとのコラボが決まったのが金曜日(3日前)でそれから楽譜にして合わせは前日と当日のみ。それに応じてくれたネストルさんもオケも素晴らしいと思うし、誰よりもオルソップさんが喜んだだろう。かてぃんさんのリスペクトと感謝の気持ちが届いていて会場でも泣いてしまいそうになった。

◆作曲:バーンスタイン(編曲:ネストル・パヨナ)〈キャンディード〉序曲
亀井さんとの2台ピアノコンサートの演目の曲ということもあって、かてぃんさんが踊るようにファンタスティックに弾いてる。オケも2日で作ったとは思えない演奏で、会場全体が祝祭に包まれてる。オルソップさんは後ろ姿しか見えていないけれど、すごく弾んでいた。泣きそうだったのではないかしら。

先ほどのお母様のブログによると、楽屋ではオルソップさんとNOSPRのみなさんが「キャティンディード!!(Ca(teen)ndide)」と叫んで盛り上がっていたとのこと。かてぃんさんほんとに愛されてる!!!

このキャティンディード序曲をこの日この場にいた人の思い出だけにするのはもったいな過ぎる。ぜひお留守番も含めてみなが見れるようになって欲しい。このスペシャルな演奏は見たい人みなで共有されるべきだと思うし、そうなるように願っている。

◆作曲:ガーシュウィン(編曲:角野隼斗) アイ・ガット・リズム
そして来てほしいと思っていたダブルアンコール。英雄ポロネーズかなと思っていたらアイ・ガット・リズムだった。どこまでもオルソップさんへのリスペクト。冒頭からグルーブマシマシのアレンジで、そういえばこの曲英雄ポロネーズが入ってる!ちゃんと弾いてくれました!

素晴らしい拍手!そこここからブラボーが聴こえる。かてぃんさんが口に人差し指をあてて微笑む。やっとブラボーが止む。

【ドヴォルザーク 交響曲 第9番 ホ短調 《新世界より》作品95 B.178】

ピアノが移動してオルソップさんがはっきり見えるようになった。なんてきびきびわかりやすい指揮をされる方だろう。間違えなくオケと信頼関係を結べる方だと思った。聴かせどころでは「タタタタタ」と細かくでも大きくしっかりと指示を出し、気持ちを伝えるところではからだの傾きや手のニュアンスで伝える。オケも安心して弾ける。

わたしは木管とバイオリンとチェロが大好きで、とくに2楽章のコールアングレとそれを支えるバイオリン、とりわけバイオリンの音色には感動に震えた。わたしを待っている人がいるからそこに帰っていけばいいのだと心強くなった。4楽章はまるでかてぃんさんの次のステージを新しい世界から呼んでいるエールのように感じた。素晴らしい演奏だった。

【2部アンコール】

新世界よりにもかてぃんさんへ向けてと同じくらいの大きなスタンディングオベージョンが送られた。なんどもなんども。その度にオルソップさんは笑顔で応じてくれた。ちょっとのどの調子が悪いのかなとしぐさを見て気になったけど、軽快にアンコールを振ってくださった。まさにポーランドな2曲。オケがしあわせにあふれてる。グルーブがすごい。ありがとうしかない。

なんどもスタオベに応えて、オルソップさんがオケに指示して全員でお辞儀をすること2回。無事に公演が終わった。舞台からはけるオケメンバー全員に客席から大きな拍手。メンバーも拍手やお辞儀や投げキスや指でハートマークを作ったり、いろんな形で応えてくれた。ステージで即席撮影会をするメンバーもいて微笑ましい。

【旅の終わりに、そしてはじまりに】

ツアーの完遂にはたくさんの難関があったと思う。それらをひとつひとつ乗り越えて素晴らしいチームを作りすべての公演を大盛会のうちに行ったかてぃんさん、オルソップさん、NOSPRのみなさん、スタッフ関係者のみなさんに心からありがとうをお伝えしたい。あなたがひとりでも欠けたら成功することがなかったのだから。

こんなに聴衆にとっても生涯忘れられないようなツアーになることは、奇跡的なことだと思う。それは誰からも愛されるかてぃんさんの人柄、誰をも愛するオルソップさんの人柄によるところが大きいと自分は思う。

これからのおふたりとNOSPRのみなさんの未来がしあわせと輝きに満ち溢れますように。あらためて何度でもありがとう。

かてぃんさん、ツアー完走おめでとう!

初日のコンチェルトを聴いて、かてぃんさんはご自身のショパン・コンクールに「。」が打てたなと感じたのですが、千秋楽を聴いてかてぃんさんは大きな大きな「○」を得た、それはショパン・コンクールの完結であり、いまを自分を認め信じる○であり、未来に向かう道が輝きと光に満ちた正しい道であることの○であると感じています。どうか肯定と自信と誇りと愛を胸にこれからも歩いて、いえ駆け抜けてください!あなたは一人じゃない、たくさんの支えてくれるひとがいる。そのこともたくさん感じたツアーでした。ツアー前よりもこれからの楽しみが何十倍も膨らみました。期待しています。

最高の笑顔とあなたの未来に乾杯!



とても雑文になりました。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
(おわり)

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