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風の守り神『シロクマ文芸部』

風車かざぐるまが回るたび、小さな村は色とりどりの風が立ちます。

村の中心にある広場には、大小様々な風車が立ち並び、風が吹くたびにくるくると軽やかに回転しています。
その中でも一際大きな風車は、村人たちに「風の守り神」と呼ばれ敬愛されていました。

ある日、いつものように風は吹いているのにその一際大きな風車が止まってしまったのです。
村人たちは心配し、風車の周りに集まりました。

風車の製作と修理をずっと担ってきた爺さんは、すぐに風車の調子を調べに行きましたが、さっぱり分かりません。
それでも爺さんはコツコツと点検を繰り返し、ついに壊れたところを見つけました。

壊れたところが見つかり修理ができると聞いた村人たちはホッと一息。
そして懸命に修理する爺さんの一挙手一投足をそわそわしながら見つめるのでした。

そしてついに完成。
爺さんが風車から手を離すと勢いよく回りだす……はずでした。

完璧に治すことができたのに……落胆する爺さんと村人たち。

その時、一人の少女が風車に近寄り息を吹きかけました。
風車は少女の息を頼りにゆっくりと回り始めました。
少女がもう一度息を吹きかけると、風車は弾みをつけて回り始めたのです。
すると村中のあちらこちらにある大小さまざまな風車も回り始めました。

村人たちは風車の回る姿を見て、再び笑顔を取り戻しました。
大人たちは、風車の修理の行方に注目するあまり、風が吹いていないことにも気が付きませんでした。

一人の少女のたった一息で村は日常を取り戻し、風車からは色とりどりの風が立つのでした。

「風車」から始まるに参加させていただきます
小牧幸助さま よろしくお願いいたします


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