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都七福神3

今回のお目当ては大黒様。

都七福神の大黒天は、五山の送り火の「妙法」の「法」の山の中腹にある日蓮宗のお寺、妙円寺の中にあります。

まずは妙円寺のご説明を。
ご本尊は久遠実成本師釈迦牟尼仏くおんじつじょうほんししゃかむにぶつ
本堂の前には日蓮上人が険しい表情で立ってらっしゃいます。
比較的新しく江戸初期に開創された寺院で、日蓮上人のお弟子さん、日像上人によって法華経が広められ、一時松ヶ崎村 (当時) は全戸が日蓮宗に改宗したとも言われています。

さて、松ヶ崎大黒天は広大な敷地を有するわけではなく、住宅街の中に突然「大黒天」の扁額を掲げる鳥居が現れます。

真っすぐ進んでくださいね

そこから山の方へ向かうことしばし、真っすぐ進み石段を登れば白雲稲荷神社。

白雲稲荷神社への鳥居と石段

左の坂を上って行けば (途中から急な石段になりますが) 松ヶ崎大黒天に到着します。

松ヶ崎大黒天に向かう参道に建つ燈籠

大黒様を最初に目にするのは階段途中にある大黒殿の中の抜魂された多くの大黒様。
仏教ってスゴイと思いました。
魂を抜くことができるんだ。
調べてみると魂を入れることもできるんだとか。

こちらの大黒様はすべて抜魂されています
黒光りしていますが福々しい大国様です 抜魂されていますけどね

そして山門をくぐると珍しい夫婦大黒天の石像があります。

階段を上がりきると山門
夫婦大黒天の石像

夫婦大黒天が祀られている神社は奈良の春日大社だけだといわれています。
こちらの夫婦大黒天はオブジェでしょうから祀られているわけではないようです。
それにしてもこの奥方はどなたなのでしょうね。


さて肝心の大黒天のお話しをしましょう。
大黒堂に祀られている大黒天は伝教大師 (最澄) の作と言われています。
大黒堂の中は薄暗く多くの大黒様が祀られており一種異様な雰囲気を醸しています。


皆さんは大黒様にどんな印象をお持ちでしょうか?
打ち出の小槌を持ち、米俵の上に乗って、福々しいお顔で笑ってらっしゃるという感じでしょうか?

実は大黒天はヒンドゥー教・インド密教の神様で、仏教を通じて日本に伝わったので仏のお仲間といえます。
インドではマハーカーラ、または摩訶迦羅まかからとも呼ばれており、財運の神であり武人であり破壊神であり死神です。
マハ―は大きい、カーラは黒いということらしく、日本語にすると大きな暗黒となり、大黒が定着することになります。

滋賀県に日本最古といわれる武人姿の大黒天が残ってらっしゃいます。
お姿はまるで印象が違いますが、金運の神とされています。
天台宗・金剛輪寺  滋賀県愛知郡愛荘町松尾寺874

これが大黒天の本当のお姿


ではなぜ福の神となられたのか。
答えは簡単で大黒だいこく様と大国だいこく様が読み方が一緒というだけで神仏習合した結果、元々福の神である大国主のイメージで出来上がっていったようです。
かたや破壊神、かたや国造りで有名な神。
習合するには無理がありそうですよね。

皆さんがご存じの大黒様は基本的に大国主のイメージです。
ですがここ松ヶ崎大黒天の縁起書によると、大黒天と大国主はまったくの別物だと書かれています。
大黒堂の大黒様も夫婦大黒天も福々しいお姿のままだというのが少々残念です。
三羽 烏

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