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京男は「いけず」らしい

 京都という町は夏はイヤになるほど暑くて、冬は昔ほどではないにしろ盆地特有の底冷えがして寒いし、いい季節だと思う頃は人が多くて (実は年中多いのだけれど) 、物価も結構高いし、交通の便もさほど発達してないし (バス1日乗車券は9月末で発売中止に) 、道は狭くて一方通行が多いし、こんなに住みにくい所はないなぁと思いながらもなぜか抜け出せない。
 仕事の都合でわずかの期間京都を離れたこともあったが、望郷の念は拭い去れなかった。
 それに「いけず」が加わる・・・のか?


 そんなんなんぎしかありまへんわな (そんなん 難儀しか ありまへん わな)


 なぜ「いけず」が加わるかというと、寺町京極の骨董品店を舞台にしたアニメを見たからに他ならない。

 そもそも「いけず」とは、関西弁で「意地悪な人」とか「邪魔な人」とか「憎たらしい人」に対して使われる言葉だが、相手を非難する言葉と思って差し支えない。
 物事を捕らえて直接的に非難するのではなく、やんわりと冗談ぽく非難する時に使うことが多いようだ。
 しかし京都では「いけず」という言葉に艶が含まれると私は思っている。これは多分に私の感覚で「いけず」という言葉を色街以外で聞いた記憶がないからかもしれない。
 これも私の感覚かもしれないが「いけず」という言葉は女性が使うことが圧倒的に多い、というか男性が使ってるのを見たことも聞いたこともない。室町や西陣の旦那衆辺りは使うのかもしれないが。


 色街に暮らす京女は「いけず」という言葉とともに艶がよく似合う。
 色街の女性をからかった時に「もういけずやわぁ」などと言われると目尻が下がりっぱなしになる。ほとんど条件反射のようなものだ。パブロフの犬状態とも言われるのかもしれない。
 こんなに優しくて穏やかな私をつかまえて「いけず」もないものだが (皆さんはご存じないだろうが) 。

 また、「いけず」を連続して使うような女性に巡り合えたとしたら、それは甘えの表れで「イヤよイヤよもスキのうち」と解釈してほぼ間違いない。
 責任は持てないが。


 私の家は代々の京都人で京男以外にはなったことがない。
 「いけず」という言葉が京男に通じるのならば、それは甘んじて受けなければならないだろう。
 だが、もう一度くらい艶やかな「いけず」を聞きたいものだと思っている。

 懐かしそうに遠くを見つめ

 いろごとの はじまりに聞く いけずかな


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