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どこでも暮らせる時代に、アイデンティティはどこに帰属するのか

昨日、こんな記事に出会いました。

この記事で紹介されている、移住希望者向けのサービス『SMOUT』にも惹かれましたが、冒頭の問いかけに引き込まれした。

Living Anywhereの時代では、海外で暮らすことも当たり前になっていく。そうなったとき、人はどこで暮らし、アイデンティティはどうなっていくのだろう。

以前から考えてきた、海外移住者にとってのアイデンティティの在りかについて、自分なりに考えてきたことを今日はお伝えしたいと思います。

帰る場所がなくなって、初めて気づいた「家」の必要性

日本を離れて、もう少しで2年になります。

「離れて」というのは、日本の賃貸アパートを解約したという意味です。海外を拠点にしながら仕事をして、日本に戻ってきた時は、ホテルや友人宅に泊まる。そんな移動生活がしばらく続いています。

不便はそんなにありません。大きなスーツケースとバックパックが一つずつあれば、生活や仕事に必要なものはほぼ全て事足りることを知りました。また、新しい土地や人々との出会いはお金だけでは買えない財産であり、自分で足を動かしながら生きていく今の生活は、決して嫌いではありません。

ただ、それでも急に不安になる時があります。

それは「いつでも帰れる場所がない」という不安です。変化に少し疲れた時、もしくはただ気持ちが沈みがちな時、自分が「何か」を取り戻す場所、「家」の必要性を改めて感じました。

建物があれば良いというわけではありません。そこには自分にまつわる何かがあって、RPG風にいうのであればHPやMPが自然と回復するような、そんな場所と時間が欲しいと素直に思ったのです。

私がアイデンティティという言葉を意識にするようになったのもこの頃した。

異国にて我有り

もうぼんやりとした記憶でしかないのですが、大学生の頃に中国を旅していた時に「異国有我」という言葉に出会いました。

中国の古いことわざで、「海外にいることで、自分(たち)のことが見えてくる」という意味だそうです。

この意味は、日本を離れてから一層理解できるようになりました。交通ルールを守ること、ゴミはゴミ箱に捨てること、どちらも当たり前のことですが、途上国をはじめとした海外に出てみると、それがどれだけ特別なことなのか、日本人がどんな人たちなのか、よく見えてきます。

景色だけではありません。海外の人たちと仕事をすると意見が合わないことが多々あります。背景の違い、価値観の違い、自分と異なるものを持つ人たちと出会うことによって、自分がどのような人間なのか、何度も見つめ直します。

そして、ようやく私は、私が日本で生まれ育った日本人であることを自覚し始めました。好きなところも、嫌いなところもあります。変えたいなと思うダメなこともあります。でも、そんなダメなところも最近ちょっとずつ愛せるようになってきました。

仕事も生活も日々変化する中で、どうしようもなく変わらない自分の内面があります。以前だったら蓋をしたくなるようなものだったかもしれませんが、どこか懐かしさや温かさがあり、最近はそんな内面と再会するたびに少しホッとします。

これも一つのアイデンティティではないでしょうか。

最後に

どこでも暮らせる時代に、アイデンティティはどこに帰属するのか。

十人十色の答えがあって良いと思いますが、私はどこでも暮らせる時代だからこそ、アイデンティティは自然と浮かびあがってくるものだと最近よく思います。

少なくとも私の場合、日本を離れたからこそ、日本という国のことを深く知り、自分という人間とゆっくり向き合うことができました。

嫌だと思うことも変だと思うこともありますが、そんな不完全な日本を、日本人を、そして自分自身を、以前よりも愛することができるようになってきた。そんな気がするのです。

さて、最後に質問です。

みなさんのアイデンティティはどこにありますか?

もしパッと答えられない方は、一度外に飛び出してみるのはいかがでしょう?夏休みでも、週末でも、今いる場所から少し離れてみることで、新しい発見がある。そんな旅に出かけてみるのはいかがでしょう?

よかったら、ぜひご一緒に。

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三輪開人

NPO法人e-Education代表。「最高の授業を世界の果てまで届ける」をミッションに途上国で教育支援。元JICA職員。Forbesが選ぶアジアの若手リーダー「30 UNDER 30」選出。NHK『明日世界が終わるとしても』出演 https://bit.ly/2F2ondB

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